ホーム > NEWS > ステレオポニーが歌う主題歌『ありがとう』に 阿部寛、ミムラ、桜庭ななみらが感涙! 『天国からのエール』舞台挨拶レポート
沖縄県本部町に存在する、すべて無料の音楽スタジオ“あじさい音楽村”。高校生たちのバンド活動を応援したい一心で、店のガレージを改造してこのスタジオを立ち上げた仲宗根陽の生き様を、阿部寛主演で映画化した感動作『天国からのエール』が梅田ブルク7ほかにて公開中だ。弁当屋を営みながら、若者の可能性を信じ、彼らに希望を遺して亡くなった実在の人物の物語を実際の場所で再現している。公開に先立ち、主演の大城陽を演じた阿部寛をはじめ、陽の妻・美智子を演じたミムラ、“あじさい音楽村”からデビューすることになるバンド“Hi-drangea(ハイドランジア)”のギター&ボーカル、アヤに扮した桜庭ななみ、そして本作が初監督作となる熊澤誓人が来阪し、舞台挨拶を行った。
本作は、実際の“あじさい音楽村”で1ヶ月間撮影された。まずは、4人にそんな本作の撮影について聞いてみると、阿部は「仲宗根陽さんは2年前まで生きてらっしゃった方なんですよね。だから、彼が実際に生活していた場所で撮影して、彼を知っている人がたくさんいて、若者たちの中に今でも仲宗根さんがイキイキと生きていて、そんな中で東京から来た、いち俳優が突然“にいにい”と呼ばれて撮影していることが、どのように受け止められるのかプレッシャーはありました。でも、いざ撮影に入ると(仲宗根さんの)奥さんとお母さんが「何でも聞いてください」と言ってくださったので、毎日のように取材させていただいてました」と、“にいにい”と呼ばれ愛されていた仲宗根さんの周囲の人々に自身で取材することで、よりリアルな大城陽像を作り上げたよう。そして、そんな阿部演じる陽と仲睦まじく暮らす妻を演じたミムラは、「仲宗根さんの奥さまとは天気の話や料理の話などの日常会話ぐらいで、阿部さん演じる陽さんに寄り添う妻を演じようと思っていました」と語った。また、本作で初めてギターに挑んだ桜庭は「ギターは初めてだったので、台本を読んだ時はびっくりしたんですが、他のバンドのメンバーと一緒に頑張りました。劇中で歌っている歌も、決してうまいとは言えないと思いますが、観ている方に何か伝わるといいなと思って歌いました」。最後に、熊澤監督は本作に込めた思いを「僕は、実際に仲宗根さんにお会いしたのですが、自分にも厳しいし、他人にも厳しい方なんですが、本質はすごく優しくて、映画化のお願いに行った時も「あじさいの子たちのためだったら映画にしてもいい」とおっしゃってくれたんです。そういう彼の優しさみたいなものがうまく伝わるといいな、と思って作りました」と語ってくれた。
それぞれのコメントを聞いていると、それぞれが語る言葉の根底のどこかに、本作から伝わってくる優しい気持ちや、人を大切に思う気持ちが感じられた。そんな中、スペシャルゲストとして、実際の“あじさい音楽村”からデビューし、本作の主題歌『ありがとう』を歌う3人組のガールズバンド、ステレオポニーが登場した。ボーカルのAIMIは、「私は、“にいにい”に伝えたいことがいっぱいあったんですが、なかなか伝えられませんでした。そして、“にいにい”のことをいつか曲にしたいと思っていましたが、“にいにい”の死と向かい合うことができず、なかなか作ることができませんでした。でも、この『天国からのエール』という映画に背中をおしてもらって、主題歌の『ありがとう』という曲を作ることができました。今でも“にいにい”が空から私たちの歌を聞いてくれていると思って、『ありがとう』という曲を作りました。この曲を聴いて、皆さんが大切な人を思い浮かべたら、伝えられる時に「ありがとう」と伝えてください」と言葉につまりながらも“にいにい”への心からの思いを語ってくれ、その後『ありがとう』を熱唱。AIMIのコメントを聞いた後で『ありがとう』を聴くと、「今だから言えるよ 心から伝えたい 『愛をありがとう』」というフレーズもより胸に迫ってくるものがあり、観客席からも鼻をすする音が聞こえてきた。また、歌を聴いている間は、阿部もミムラも桜庭も感極まった表情で歌に聴き入っていたようだった。特に、ミムラは今にも涙がこぼれそうな様子で「CDもいただいて、何度もこの歌を聴いていましたし、彼女たちがどれほど“にいにい”のことを思っているのか推し量っていたつもりだったんですが、生で音楽を聴くと、やっぱり感動しましたね」と絶賛。
最後に登壇者それぞれにコメントを求めると、ステレオポニーのAIMIは、「私は、この映画を初めて観た時に阿部さんが“にいにい”に見えて、阿部さんの瞳から“にいにい”を見ることができました。この映画を観て何か感じてくださるとすごく嬉しいです。“にいにい”も喜んでくれていると思います」と、映画を賞賛。熊澤監督は、「どんなに強い人でもどんなに弱い人でも必ず誰かの支えになっているし、誰かに支えられているということを、仲宗根さんをとおして教えていただいたので、その思いを作品に込めました。皆さんの周りの大切な人を思いながら観ていただけると嬉しいです」。そして桜庭は「命の大切さや人のありがたさ、夢を持つ大切さなど、たくさんのメッセージがある映画です。私も映画を観て頑張ろうと思いました。皆さんもこの映画を観て何かを感じてくだされば嬉しいです」。またミムラは「先ほどステレオポニーさんの“にいにい”へのメッセージと歌声を生で聴かせていただいて、いい作品に参加できたとは思っていましたが、さらにその思いが強くなりました」。最後に阿部は、「先ほどのステレオポニーさんのメッセージにもあったように、若者たちの中に今でも仲宗根さんはイキイキと生きていて、そういう人物の役を自分が演じていいのかというプレッシャーはありました。“にいにい”と呼ばれた仲宗根さんのひととなり、若者に夢を与える姿、そしてストレートな人物像、情熱を持って多くの人たちに何かを残していった彼を演じたことは、自分にとっても生涯の宝になりました」と、それぞれにとっても心に残る作品となったよう。実際に、自らが病に侵されながらも若者たちに夢を与え、時には怒り、たくさんの若者の父親となり、親しみを込めて“にいにい”と呼ばれた仲宗根さんの思いが伝わってくる、涙なくしては観ることができない感動作だ。
(2011年10月 4日更新)
●梅田ブルク7ほかにて公開中
【公式サイト】
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