ホーム > NEWS > 草間彌生、京都で初の大規模版画展開催 見ごたえある約330点もの作品が集結
世界に名高い前衛芸術家・草間彌生の初めての大規模な版画展『松本市美術館所蔵 草間彌生 版画の世界-反復と増殖-』が、4月25日に京都市京セラ美術館(京都市左京区)にて開幕した。
本展では、世界最大級の草間コレクションを誇る松本市美術館(長野県松本市)が所蔵する版画作品を中心に、本人所蔵の作品を加えた約330点を、前期(4月25日(金)~6月29日(日))と後期(7月1日(火)~9月7日(日))で作品を総入れ替えして展示、全会期を通して草間が手がけてきた版画芸術の全貌が紹介される。
会場内はテーマごとに6つに章立てられ、花や食べ物など日常のモチーフを描いた初期作品から、草間作品を象徴する「カボチャ」をエッチング、木版画などさまざまな技法で描いた章、近年の大型シルクスクリーン「愛はとこしえ」シリーズまで、幅広く網羅されている。
なかでも注目は、第1章「わたしのお気に入り」に展示されている、2014年に制作された「富士山」の木版画。草間自身が富士山のふもとを訪れ、現地で得たインスピレーションをもとに描いたキャンパス作品を原画として、浮世絵木版の技術を継承する版元との「共創」で創られた作品で、巨大キャンパスには1万4000個以上の水玉が職人の手作業で刻まれており、草間が描いた原画の息吹をそのまま感じさせ、観る者を惹きつける作品空間となっている。
ほかにも、ラメ粒子を用いた版画作品が数多く展示されている第2章「輝きの世界」や、カボチャの形を模した展示レイアウトもユニークな、草間芸術の代表的なイメージである南瓜の作品を集めた第3章「愛すべき南瓜」、水玉や網目など草間の創作における「無限」への欲求が強く表れた作品が並ぶ第4章「境界なきイメージ」、モノクロームのエッチング作品が並ぶ第5章「単色のメッセージ」、黒色のマーカーペンで100号のキャンパスに描いた原画をシルクスクリーン作品にした第6章「愛はとこしえ」まで、それぞれの章ごとに見どころ満載の展示空間となっている。
今回の展示作品の多くは、草間の出身地である長野県松本市にある松本市美術館に、開館前の2000年に草間自身が寄贈したものが中心で、長年同館ではその一部しか公開していなかったが、開館20周年を機にすべての額装を終え、2022年より大規模公開が実現。京都会場では前後期合わせてすべての版画作品が観られるのも魅力だ。この機会にぜひ足を運んで、草間版画の世界に浸ってみてはいかが。同展は前期が6月29日(日)まで、後期は7月1日(火)から9月7日(日)までの開催。
取材・文・撮影/滝野利喜雄
『松本市美術館所蔵 草間彌生 版画の世界-反復と増殖-』
開催期間:4月25日(金)~9月7日(日)
前期:4月25日(金)~6月29日(日)
後期:7月1日(火)~9月7日(日)
※前期・後期で作品を全入れ替え
会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
(京都市左京区岡崎円勝寺町124)
開館時間:10:00~18:00(最終入場は17:30まで)
休館日:月曜 ※ただし4/28、5/5、7/21、8/11は開館
当日券:
一般 2200円
ペアチケット 2000円 ※1名分、2枚単位(4000円)での販売
大学・高校生 1400円
中・小学生 600円
問い合わせ:075-771-4334(京都市京セラ美術館)
公式ホームページ:https://yayoikusamahanga.exhibit.jp/
(2025年4月28日更新)
くさま やよい/1929年、長野県松本市生まれ。前衛芸術家、小説家。幼少期より水玉や網目を描く。1957年に渡米、ニューヨークを拠点にネット・ペインティング、ソフト・スカウプチャー、鏡や電飾を用いた革新的なインスタレーション作品を発表。1973年に帰国後、美術制作に加え詩や小説の文筆活動も行う。代表作に「無限の網」、「南瓜」、「わが永遠の魂」シリーズなど、2016年文化勲章受章、2017年、東京都新宿区に「草間彌生美術館」が開館。