90年前に存在した理想の住宅。
知られざる名建築「聴竹居」、
その発見と再生を綴った1冊が発売。
京都府乙訓郡大山崎町に、ひっそりと佇む「聴竹居(ちょうちくきょ)」。これは、1928(昭和3)年に、建築家・藤井厚二の自邸として建てられた名作住宅だ。和洋の生活様式の統合とともに、日本の気候風土との調和を目指した昭和初期の「日本の住宅」として、先駆性、歴史的・文化的価値が高く評価され、昨年、国の重要文化財に指定されている。
“実験住宅”と称した家を何棟も建て、住み心地を検証し続けた藤井厚二の最後の作品でもある「聴竹居」は、細部にわたって凝らされた意匠のみならず、さまざまな住居としての創意工夫が施されている。現在は一般公開もされ、地元住民を中心とした維持・保存活動が行われている「聴竹居」は、「環境共生住宅の原点」といわれ、日本の住宅の理想形を実現した建築と認められながらも、長らく知る人ぞ知る存在であった。
そんな「聴竹居」は、どのようにして発見され、再生されたのか。その歩みを綴った1冊『木造モダニズム建築の傑作 聴竹居 発見と再生の22年』が3月17日に発売される。著者は、一般社団法人「聴竹居倶楽部」代表理事であり、総合建築会社・竹中工務店の設計本部副部長でもある松隈章。実は「聴竹居」は2016年より竹中工務店の所有となり、維持・保存が進められてきた。そして「聴竹居」を建てた藤井厚二は、竹中工務店の初期の社員でもあったのだ。こうした事実や、「聴竹居」にまつわる現在までの紆余曲折が本書には詳細に記されている。本書から「聴竹居」の魅力を通して、地域に根ざした建築物の価値とその歴史や文化を見直し、古い建物を未来へ引きついでいくことの大切さを感じることができるだろう。
※「聴竹居」に関する展覧会が開催!
聴竹居 -藤井厚二の木造モダニズム建築-
▼5月12日(土)〜 7月16日(月・祝)
竹中大工道具館1Fホール
9:30〜16:30(入館は16:00まで、月曜休館)
一般500円 大高生300円 中学生以下無料 65歳以上の方200円
※常設展観覧料を含む
078-242-0216
(2018年2月13日更新)
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『木造モダニズム建築の傑作 聴竹居 発見と再生の22年』
松隈章
2018年3月17日発売
1300円+税 ISBN978-4-8356-3848-5