ドイツ出身の写真家ヴォルフガング・ティルマンスの大規模な個展「ヴォルフガング・ティルマンス Your Body is Yours」展が、7月25日(土)より国立国際美術館にて開催される。近作・新作を中心に約200点近くが展示されるほか、映像作品も見ることができる。

 

　ティルマンスは、自身を取り巻く日常的な光景をとらえた写真で1990年代初頭から注目を集め、雑誌『i-D』や『Interview』への掲載でも知られるようになる。また、ティルマンスが撮影対象とした特徴的なモチーフには、街頭の若者や身近な友人たちのポートレート、またセクシュアリティーやジェンダーといったテーマへの問いかけなどがあり、私的な部分と社会的な要素が混在したものが見受けられる。また、作品そのものだけでなく、展示空間を強く意識し、異なるサイズの写真を額装を施さずにイメージが泳ぐがごとく自由に展示する、斬新なインスタレーションで大きな衝撃を与えた。

 

　2000年には現代美術界で重要な賞の一つ、イギリスのターナー賞を受賞。さらに本年、偉大な業績を上げた写真家に贈られるハッセルブラッド国際写真賞の受賞も決定するなど、ティルマンスは現代写真表現の最前線にいる作家と言えるだろう。

 

　本展は、日本の美術館では11年ぶりとなる待望の個展。さらに国立国際美術館でのみの開催で、他館への巡回はないとのこと。また、ティルマンス自身がデザインした展示空間にて、日本初公開となる写真作品はもちろん、昨年ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展で発表された２台のプロジェクションによる《Book for Architects》といった映像インスタレーションを堪能できる。日本ではほとんど見る機会のなかった映像作品にも注目だ。