20世紀前半の東アジア近代美術を
“官展”という切り口で考える
20世紀の前半、東アジア各地で政府主導のもとに行われた官設の公募美術展を示す「官展」。この官展という切り口から東アジア近代美術を考えるはじめての展覧会「東京・ソウル・台北・長春 官展にみる近代美術」が、6月14日(土)より兵庫県立美術館にて開催される。
1907年に東京ではじまった文部省美術展覧会(文展)にならい、1922年にソウル(旧京城)で朝鮮美術展覧会(朝鮮美展)が、1927年に台北で台湾美術展覧会(台展、のち府展と改称)、1938年に長春(旧新京)で満州国美術展覧会(満州国展)が創設された。各地の官展は美術を志す人の登竜門であり、新たな時代の美術にふれる機会となっていた。また若い作家にとって官展における成功は、美術の道で生きていくために重要なものであった。こうして近代美術の形成の基礎となるいっぽうで、日本人による審査や入選が決められ、制度に対する反発もあった。穏健で保守的な傾向の官展と、自分ならではの自由な表現がせめぎあい、さまざまな葛藤の中から時代を代表する作品が生まれたのである。
本展では、官展出品作や審査員をつとめた作家の作品を中心に、各国作品約130点を紹介する。日本、韓国、台湾、中国東北部(旧満州)の4地域から集約された、絵画、書、彫刻、工芸から、共通する部分とオリジナリティ、それぞれの近代美術が形成された様が浮かび上がってくる。
東京・ソウル・台北・長春
官展にみる近代美術
▼6月14日(土)~7月21日(月・祝)
兵庫県立美術館
前売一般1100円 大学生700円 高校生・65歳以上550円
当日一般1300円 大学生900円 高校生・65歳以上650円
※10:00~18:00 ※金・土曜日は~20:00(入場は閉館30分前まで)。休館日:月曜日(7/21は開館)。中学生以下無料。※以下日程で一部作品の展示替えあり(前期6月14日(土)~29日(日)/後期7月1日(火)~21日(月・祝))
兵庫県立美術館
078-262-0901
(2014年5月19日更新)
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