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自由で大胆なデザインの数々に興奮!
チェコの映画ポスター展覧会が京都で。

 絵本、人形劇、アニメーションなどの分野でよく知られ、映画ポスターのデザインでも数々の名作を生んできたチェコ。映画ポスターというジャンルに独自の表現を打ちたてたチェコのポスターを紹介する「チェコの映画ポスター テリー・ポスター・コレクションより」が、3月21日(金・祝)より京都国立近代美術館にて開催される。
 
 チェコは、それまでの社会主義リアリズムから脱却した1960年代に、カレル・タイスィク、ミラン・グリガル、ズデニェク・ズィーグレルに代表される新世代のグラフィック・アーティストが台頭し、映画作品のエッセンスを巧みに引き出しながら、時に映画を大胆に異化するその創意によって、様々な魅力的な映画ポスターを生み出してきた。
 
 この展覧会では、東京国立近代美術館フィルムセンターと京都国立近代美術館の共催により、プラハの映画ポスター専門ギャラリー〈テリー・ポスター〉が所蔵する、チェコスロヴァキア時代の1950年代後半から1980年代までに制作された映画ポスター82点を紹介する。1960年代に〈チェコ・ヌーヴェル・ヴァーグ〉と称されたチェコスロヴァキア映画のほか、ヨーロッパ各国の作品やアメリカ映画、さらには日本映画のポスターにも注目し、映画とグラフィックの出会いから生まれる緊張感と優美さ、そしてユーモアを呈示するものとなっている。
 
 展示構成は「チェコスロヴァキアの映画」「日本の映画」「世界各国の映画」に分けて紹介する。 60年代にはヨーロッパ有数の規模を誇るバランドフ撮影所を基盤に、検閲緩和も追い風にして、ミロシュ・フォルマン(ミロス・フォアマン)ら若い才能が開花。またアニメーションにおいてもカレル・ゼマンやヤン・シュヴァンクマイエルら世界を代表する作家たちが誕生する。そうした状況の中、プラハ中央映画管理局は、新世代のアーティストを試写に招き、自由なポスター制作の場を保障した。その自由で独創的な作風は外国映画において顕著で、既存のビジュアルイメージが強い作品などは「あの映画をこんなデザインで表現するとは!」と驚かされるだろう。これは、当時は本国のプロダクションがチェコ国内で映画宣伝に介入する権利がなかったため、結果的にチェコの映画ポスターを実験的で多様なものにしたという背景がある。
 
 チェコという国の歴史と文化の関係性を考えるうえでも非常に興味深い本展。期間中には阿部賢一立教大学准教授による「社会主義時代におけるチェコ芸術」や、ペトル・ホリー氏(チェコセンター前所長/チェコ蔵代表)による「チェコ・ヌーヴェル・ヴァーグの時代」といった講演会も開催される。詳細はオフィシャルサイトを参照のこと。



チェコの映画ポスター
テリー・ポスター・コレクションより
▼3月21日(金・祝)~5月11日(日)
京都国立近代美術館
当日一般420円(4月1日以降430円) 大学生130円
団体(20名以上)一般210円(4月1日以降220円) 大学生70円
9:30~17:00。会期中の金曜日は20:00まで。いずれも入館は閉館30分前まで、月曜休館。ただし4月28日(月)、5月5日(月・祝)は開館。※高校生、18歳未満、65歳以上の方は無料。心身に障がいのある方と付添者1名は無料(入館の際に証明できるものをご提示ください)。
京都国立近代美術館
075-761-4111

(2014年2月 6日更新)


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『やさしい女』映画:1969年/フランス/ロベール・ブレッソン監督 ポスター:1970年/オルガ・ポラーチコヴァー=ヴィレチャロヴァー
『女は女である』映画:1961年/フランス=イタリア/ジャン=リュック・ゴダール監督 ポスター:1968年/ヨゼフ・ヴィレチャル
『ナック』映画:1965年/イギリス/リチャード・レスター監督 ポスター:1966年/ミラン・グリガル
『甘い生活』映画:1960年/イタリア/フェデリコ・フェリーニ監督 ポスター:1962年/カレル・ヴァツァ
『羅生門』映画:1950年/日本/黒澤明監督 ポスター:1970年/ベドジヒ・ドロウヒー