現実と虚構の境界が曖昧な映像作品が
「真実」の行方を問いかける。
映像表現の登場以降、その技術確信は現実と虚構を曖昧にさせるような様々な表現を可能にしてきた。そんな映像の中にある本質的な真実を考察しようとする展覧会「夢か、現か、幻か」が、2013年1月19日(土)~3月24日(日) 国立国際美術館にて開催される。
写真や映像の登場時、その技術は、ありのままの現実を映し出すリアリズムと結びついていた。しかし今では現実には存在しないような光景を、リアリティを持って映し出されたり、またドキュメンタリー性を持った映像が虚構のものとして示されることもある。こうした、まるで現実と虚構の境界が曖昧な映像作品が今、次々に登場している。そして作家たちは、その作品の中で「真実」の行方を問いかける。
国内外の作家10名による映像作品を主に展示する本展。例えばドイツの作家クレメンス・フォン・ヴェーデマイヤーの作品は、1960年代に実際に起こった、“タサダイ族”と呼ばれる未開民族を発見したとして世界を騙した出来事を素材にしたもの。フィンランドのエイヤ=リーサ・アハティラは、キリスト教美術において古くから重要なテーマである受胎告知を取り上げ、人々がいかにイメージを受け取るかを映像で表現する。また台湾の杜珮詩(ドゥ・ペイシー)は、アジアで起こった過去の出来事に関連する60名の写真イメージを引用し色鮮やかなアニメーションを用いて、悲劇的歴史の真実と現在を結びつける。
彼らが生み出す映像作品は、現実を使ったフィクションかもしれないが、それゆえに普段は見落としている本質に気付かせてくれるかもしれない。様々な映像から立ち現れる「真実」を本展で感じ取って欲しい。
「夢か、現か、幻か」
▼2013年1月19日(土)~3月24日(日)
国立国際美術館
当日:一般 850円 大学生450円
団体:一般 600円 大学生250円 ※団体は20名以上
※10:00~17:00(金曜日は19:00まで)。入場は閉館の30分前まで。休館日は月曜日(ただし2/11は開館、2/12は休館)。高校生以下、18歳未満、心身に障害のある方とその付添者1名は無料(証明できるものを提示頂く場合があります)
国立国際美術館
06-6447-4680
(2012年12月13日更新)
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クレメンス・フォン・ヴェーデマイヤー ≪死への抗い≫ 2009年 © Clemens von Wedemeyer, VG Bild-Kunst courtesy KOCH OBERHUBER WOLFF, Berlin & Galerie Jocelyn Wolff, Paris
エイヤ=リーサ・アハティラ ≪受胎告知≫ 2010年 © Crystal Eye Ltd, Helsinki Courtesy of Marian Goodman Gallery, New York and Paris Photo © Antti Ruusuvuori
杜珮詩(ドゥ・ペイシー) ≪ビジブル・ストーリー≫ 2012年 © Pei-Shih Tu