地元・大阪の映像を35mmフィルム上映で!
第5回を迎える「中之島映像劇場」。
「映像と美術」を巡る作品を紹介してきた「中之島映像劇場」。国立国際美術館にて2013年3月16日(土)・17日(日) に開催される第5回目は、「大阪」をテーマに、記録映画と劇映画をそれぞれ35mmフィルムで上映する。
記録映画と劇映画、それぞれ戦前の大阪を描く映像は、この都市が持つ力が様々な局面で発揮されていた時代を映し出す。いずれも内容的も表現的も当時の先鋭的な映像だ。これらの映像は、東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵だが、何本かは個人やコレクターから寄贈されたフィルムからの復元。それは、この「中之島映像劇場」が近年映画館のデジタル化にともなうフィルム・メディアの危機的な状況に対して、35mmフィルム上映にこだわり、眠っている作品を調査し映像の発掘と保存に関して貢献するという姿勢をも表している。
今回の上映で最も古いのは、Aプログラム記録映画編・1917年の《大阪倉庫の爆發》[不完全版]で、この年5月に発生した安治川沿いの倉庫の爆発火災の様子を記録したと推定されるもの。また溝口健二監督も参加している《朝日は輝く》は、事件発生から取材、記事化、印刷、発刊、さらに運送まで、報道メディアとしての新聞の裏側を見せる。それは記録というよりも再現ドラマと呼ぶべき内容だ。また、Bプログラムの溝口健二監督作《浪華悲歌【なにわえれじい】》は、社会進出を果たした女性電話交換手(山田五十鈴)を巡るドラマ。大阪での撮影や大阪弁のほか、当時の大阪の音や風景が意識的に取り入れられている。
これら貴重な映像を通し、本上映会時に開催中の「夢か、現か、幻か」展とともに新旧の映像表現を堪能する機会といえるだろう。
「浪速の映像(キネマ)の物語」
▼2013年3月16日(土)・17日(日)
13:00 Aプログラム(記録映画編53分 ※冒頭に15分解説あり)
《アサヒコドモグラフNo.19》(1939年/製作:朝日新聞社/9分/トーキー)
《地下鉄の出來るまで》(1938年/製作:テラダ映画/15分/サイレント)
《大阪倉庫の爆發》[不完全版](1917年/製作:天活(大阪)/4分/サイレント)
《朝日は輝く》(1929年/製作:朝日新聞社/監督:伊奈精一・溝口健二/25分/サイレント)
15:00 Bプログラム(劇映画編72分)
《浪華悲歌【なにわえれじい】》(1936年/製作:第一映画/監督:溝口健二/72分/トーキー)
無料/全席自由/先着130名
(10:00より当日の各プログラムの整理券を配布/1名につき1枚)
※各プログラム入れ替え制
国立国際美術館
06-6447-4680
(2012年12月13日更新)
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溝口健二《浪華悲歌【なにわえれじい】》(1936年/72分)
溝口健二《浪華悲歌【なにわえれじい】》(1936年/72分)
伊奈精一・溝口健二《朝日は輝く》(1929年/25分)