フィンランドで生まれたモダン・デザイン
その原点を探る展覧会が開催
みんな大好き、フィンランドの森に住むトロール「ムーミン」をガイド役に、時代と地域を越えるグッド・デザインを生み出してきたフィンランドのモダン・デザインを展覧する「フィンランドのくらしとデザイン - ムーミンが住む森の生活」が、兵庫県立美術館にて2013年1月10日(木)~3月10日(日)に開催される。
画家・作家のトーヴェ・ヤンソンが生んだ童話「ムーミン」は、フィンランドの森の厳しい自然環境の中で暮らし、自由と冒険の精神を学んでいくことをテーマとした物語。それはフィンランドの風土やライフスタイルを学ぶための良きバイブルとなっている。
フィンランドのモダン・デザインは、近現代の建築・デザイン史において独自の位置を確立し、1950年代以降、国際的に高い評価を得てその後の世界のデザインシーンに多きな影響を及ぼした。北欧デザインの中でも、フィンランドのモダン・デザインは、年齢や性別、嗜好に限定されず、誰からも好まれるその「グッド・デザイン」と言えるもの。ムーミンをガイド役に、約350点を展覧する本展に出品される、アルヴァ・アアルトの家具やカイ・フランクの量産型食器、マリメッコのテキスタイルなど「くらしを豊かにする」フィンランドのデザイン。それらは、時代と地域を超えるロングライフ・デザインとして現在も多くの家庭で愛用されている。
これらグッド・デザインが生み出されてきた背景には「全ての人々にとってあらゆる観点から良いデザイン」を追求する一貫した姿勢がある。自然豊かなフィンランドの風土の中で生まれたこの哲学は、人間と自然との共存や地域コミュニティでの相互扶助を重視する、フィンランドの伝統的かつ本質的なライフスタイルを反映し、エコロジーやユニヴァーサルといった現代の課題をも内包しながら、今日まで受け継がれているのだ。
「ムーミン」に描かれたような森の生活の中に、フィンランドのくらしやデザインの原点を探る本展は、モダン・デザインの黄金期を彩ったデザイナーやブランドのプロダクトをはじめ、絵画、文学、建築、工芸など多分野に及ぶ作品約350点を、「黎明期」「黄金時代」「今」と3つのパートで構成。19世紀末から20世紀前半のナショナル・ロマンティシズムの動向を示す、画家アクセリ=ガレン・カレラやペッカ・ハロネン、建築家エリエル・サーリネンらの作品を展示。作家たちが創造の源泉とした「スオミ(=フィンランド)」の風景や民族叙事詩『カレワラ』の神話的世界など、後のモダン・デザインへとつながるフィンランドの精神に迫るほか、20世紀に黄金期を迎え、今日の礎を築いたフィンランドのモダン・デザインを紹介。さらに公共交通デザインやエコ住宅といった2000年代以降の最新の取り組みも紹介し、現代に継承されるフィンランドの「グッド・デザイン」の系譜を展覧する。
フィンランドのくらしとデザイン - ムーミンが住む森の生活
発売中 Pコード:765-428
▼2013年1月10日(木)~3月10日(日)
兵庫県立美術館
前売一般 1100円 大学生700円
当日一般 1300円 大学生900円 高校生・65歳以上650円 中学生以下無料
※10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで)。入場は閉館の30分前まで。休館日は月曜日(ただし1/14・2/11は開館、翌1/15・2/12は休館)。中学生以下は無料。高校生・65歳以上はチケットぴあでの販売はなし。前売り券の販売は1/9まで。
兵庫県立美術館
078-262-0901
(2012年12月11日更新)
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ペッカ・ハロネン 《冬の松》1908年 メリタ 美術財団 photo © Art Foundation Merita,Helsinki
トーヴェ・ヤンソン《シャンデリアとご先祖様を見上げるムーミン》(挿絵原画)制作・初版 1957年 タンペレ市立美術館 ムーミン谷コレクション photo by Jari Kuusenaho / Tampere Art Museum Moominvalley / © Moomin Characters™
アルヴァ・アアルト+アルテック社《2nd Cycle プロジェクトで収集したスツール》製造1935年以降、プロジェクト開始2007年 photo by© Artek
「マリメッコ」展示風景 写真提供:長崎県美術館