世界が恋した日本のデザイン!
「型紙」が欧米に与えた影響を紹介
布地に柄を染めるために使われる「型紙」は、19世紀後半に欧米に渡り、アーツ・アンド・クラフツやアール・ヌーヴォーといった当時の美術・工芸改革運動に大きな影響を与えた。そんな「型紙」の魅力を国内外約70ヵ所から集めた約400点もの作品で紹介する展覧会「KATAGAMI Style もうひとつのジャポニスム」が、7月7日(土)より京都国立近代美術館にて開催される。
19世紀後半、万博などを通じて海を渡った日本の美術・工芸品は、西洋の人々に驚きの目をもって迎えられた。“ジャポニスム”と呼ばれるこの現象において、工芸はその技法の多様さのため、これまでスポットをあてられる機会はほとんどなかった。特にこの「型紙」は、江戸時代より優れた技術とデザインを誇りながらも、消耗品として消費されてきた現状から、収集保存がなされてこなかった。そして業者が廃業する際に、まとめて海外に売られるなどして流出したと考えられている。その流出時期は主にデザインの革命期である1880年代から1890年代であり、アーツ・アンド・クラフツやアール・ヌーヴォーに積極的に採用された。
そんな型紙が西洋の芸術家たちの創作活動にどのような影響を与えたのかを紹介する日本で初めての試み。本展のコミッショナーが数年に渡り研究・調査を進めた中で見えてきたのは、美術・デザインのみならず、ポスターや家具、陶磁器やテキスタイルなど、様々な分野への広がりだ。
本展は、日本で生まれた型紙が海を渡り、染色という本来の用途を超え、西洋の美術・工芸改革運動の中で豊かな広がりを見せていった様相を俯瞰できる、これまでになかった展覧会。
「KATAGAMI Style もうひとつのジャポニスム」
発売中 Pコード:765-093
▼7月7日(土)~8月19日(日)
京都国立近代美術館
前売一般1200円 大学生800円 高校生300円
当日一般1400円 大学生1000円 高校生500円
※9:30~17:00。金曜日と8/16は20:00まで。最終入場は閉館の30分前まで。休館日は月曜日。但し、7/16と8/13は開館。中学生以下、障がい者手帳をお持ちの方とその付添の方(1名)は無料。本料金でコレクション・ギャラリーもご覧になれます。会期中、展示替えあり。
京都国立近代美術館(岡崎公園内)
075-761-4111
(2012年6月11日更新)
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