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世界初公開の黄金の至宝、千年の輝き
特別展「草原の王朝 契丹(きったん)」

 長らく、草原に消えた“まぼろしの国”であった「契丹」。その王朝の黄金の至宝を世界初公開する「草原の王朝 契丹 きったん」展が、4月10日(火)より大阪市立美術館にて開催される。

 
 今からおよそ1100年前、唐王朝の滅亡をうけて東アジア各地に新たな国が登場する「変動の世紀」。そんななか、遊牧系民族が中国北方の草原に樹立した広大な帝国が[契丹]だ。遊牧と農耕を中心としながら巧みな騎馬戦術や北宋、高麗、西夏、ウイグルなど周辺諸国と交流を保ち、200年にわたって豊かな国家を形成した。ところが契丹は自国で編纂した歴史書や周辺国による関連史料なども乏しいため、長らく草原に消えた「まぼろしの国」となっていた。 
 
 
  近年、契丹の領域における学術調査が進められたことにより、契丹王族の墓や仏教寺院の遺跡などの新発見が相次ぎ、その繁栄と文化レベルの高さを具体的に示す品々が、長い眠りから覚めつつある。1125年に国が滅びた後も、ロシア語の「Китай(キタイ)」、英語の「Cathay(キャセイ)」のように、中国大陸を指す言葉として「契丹」の名はいまに伝わり、彼らがのこした文化遺産はいまも輝いている。 
 
 
 2003年に発見されたトルキ山古墓は、非常に簡素な作りの墓でありながら、中は豪華な副葬品であふれていた。副葬品の多くは唐の遺風を感じさせ、その質の高さは被葬者が第一級の皇族クラスであることを示す。黄金の仮面や腕輪、銀の宝冠や靴。銀に玉石をあしらった馬具。シルクロードを経て運ばれた西方のガラス器、瑪瑙・トルコ石のネックレス。北宋よりもたらされた白磁器。今なお彩色をのこす壁画や板絵。さらには白大理石の仏像や銀の舎利塔など、それは1000年のタイムカプセルから取り出された、想像をはるかに越える豪華な美術作品である。 
 
 
 本展では、中国・内蒙古自治区で発見され、世界初公開を含む国家一級文物[中国の国宝]約40件、中国国外初公開約50件を中心とした、貴重な作品約120件により、知られざる契丹の多彩な文化と美術を紹介する。特に、2羽のオウムが舞う鏡と、その鏡の寸法にあわせて特注した豪華な「鏡箱」は、箱の表面に嵌め込んでいた玉や貴石などプリンセスが長く愛用したことを示唆する。また金箔の鳳凰や牡丹唐草をあしらう豪華な「彩色木棺」は、蓋に傾斜をつけた片流れ式といわれる形状の棺。こうした豪華で美しいプリンセスの遺品の数々も本展の目玉だ。
 



 

特別展「草原の王朝 契丹」
発売中 Pコード:765-017
▼4月10日(火)~6月10日(日) 
大阪市立美術館 
前売一般1100円 高大生900円
当日一般1300円 高大生1100円 
※9:30~17:00。最終入場は閉館の30分前まで。休館日は月曜日。但し、4/30は開館。中学生以下、障害者手帳等をお持ちの方は無料(要証明)。販売期間(~4/9)中はチケットぴあ店頭での直接販売および通常電話通常電話0570(02)9999にて予約受付。インターネット販売はなし。なお、本展覧会は大阪市内在住の65歳以上の方も有料。
大阪市立美術館
06-6771-4874

(2012年3月29日更新)


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鏡箱(かがみばこ) 通遼市ホルチン左翼後旗 トルキ山古墓出土 木、漆、銀、鍍金、貴石、玉 10世紀前半 内蒙古文物考古研究所
彩色木棺(さいしきもっかん) 通遼市ホルチン左翼後旗 トルキ山古墓出土 木、金箔、彩色、銅、鍍金 10世紀前半 内蒙古文物考古研究所
鳳凰文冠(ほうおうもんかんむり) 通遼市ナイマン旗 陳国公主墓出土 銀、鍍金 開泰7年(1018) 内蒙古文物考古研究所
金製仮面(きんせいかめん)通遼市ナイマン旗 陳国公主墓出土 開泰7年(1018) 内蒙古文物考古研究所