全方位的な芸術活動で、戦前/戦後に活躍した
“日本のダヴィンチ”村山知義の初の大規模個展!
戦前戦後の日本を代表する美術家であり、劇作家、演出家、舞台美術家、小説家、挿絵、装幀、アニメ制作、映画脚本にダンスパフォーマンスも行い「日本のダヴィンチ」と呼ばれた村山知義(1901-1977)。そんな彼の大規模な初の展覧会『すべての僕が沸騰する-村山知義の宇宙-』が、4月7日(土)より京都国立近代美術館で開催される。
本展は、1920-30年代に展開された美術の仕事を中心に、その時代背景を伝える国内外の作品・資料を参照しながら、村山知義の宇宙的な多様性を紹介するもの。20世紀の初めに生まれ、ベルリンでダダや構成主義などの新興芸術を吸収し1923年に帰国した村山は、まもなく「マヴォ(MAVO)」や「三科」といったグループの活動を通じて、大正末期から昭和初期にかけ日本の近代美術に決定的な影響を与えた。当時の日本美術界にアヴァンギャルドな表現を持ち込んだだけでなく、ダンスパフォーマンスや演劇人としての仕事をはじめ、日本文化全体に大きな影響を与えたと言えるだろう。
油彩、コラージュ、版画等の希少な現存作品を一堂に集めるほか、機関誌『マヴォ』、自ら設計し新興芸術の拠点となった自邸兼アトリエ「三角の家」をはじめとする建築と室内装飾、築地小劇場での演劇『朝から夜中まで』に代表される舞台美術、ポスターデザインや装幀といったグラフィックなど、その多彩な仕事の全貌を現存する700点超の作品を記録資料とともに紹介。村山知義がドイツ滞在時に大きな影響を受けたカンディンスキーやクレー、活動を共にした和達知男や永野芳光の作品も展示する。その活動を俯瞰すれば、あまりにも多彩な内容に驚かされるに違いない。
さらに、『子供之友』などの児童雑誌を中心に発表された、子どものためのイラストレーションの仕事も多数紹介。妻・籌子(かずこ/1903-1946)の文章をはじめとする数多くの児童文学に添えられた美しい原画は、10代から晩年にいたるまで挿絵作家「Tom」として活躍し、いまなお瑞々しい魅力を放ち続ける村山知義のもうひとつの面をみせてくれる。
関連企画として、やなぎみわ演劇プロジェクトや、講演会や関連映画上映、絵本ワークショップなどを開催(詳細は京都国立近代美術館ウェブサイトを参照)。村山知義が夢みた全方位的な創造力の開放、その沸騰の軌跡を検証する本展は、様々な人々にとって興味深いものとなるだろう。多面的なその魅力をぜひ体感して欲しい。
すべての僕が沸騰する-村山知義の宇宙-
発売中 Pコード:765-038
▼4月7日(土)~5月13日(日)
京都国立近代美術館
前売一般700円 大学生350円
当日一般850円 大学生450円
※9:30~17:00、金曜日は20:00閉館。最終入館は閉館30分前まで。休館日は月曜日。但し、4/30は開館。高校生以下、心身に障がいのある方と付添者1名は無料(入館の際に証明できるものをご提示ください)。本料金でコレクション展もご覧いただけます。販売期間中はチケットぴあ店頭での直接販売および通常電話0570(02)9999にて予約受付。インターネット販売はなし。
京都国立近代美術館テレホンサービス
075-761-9900
(2012年3月21日更新)
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