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多くの現代美術家にも影響を与える
榎忠の大規模展覧会が地元・神戸で開催

 60年代後半から現在まで神戸を拠点に活動を続けるアーティスト榎忠。回顧展も兼ねた彼の最大規模の個展「榎忠展-美術館を野生化する-」が、兵庫県立美術館にて開催中だ。

 はじめは 絵を描いていた榎だが、70年代に入ってからさまざまなパフォーマンスを展開。'77年には、全身の毛髪(頭髪や髭から陰毛に至るまで)を半分だけ剃り落とした「半刈り」を発表。しかもこのスタイルを左右の剃りを逆転させながら4年半も続け、途中、その姿で実際にハンガリーに出かける「ハンガリー国へ半刈(ハンガリ)で行く」というパフォーマンスを決行、一躍その名を知らしめた。また「BAR ROZE CHU(バー・ローズチュウ)」ではバーのママ「ローズ」に扮し、個展会場を3日間バーに変えるパフォーマンスを行う。その一方で、鉄の廃材や機械部品を用いた造形作品も制作。銃や大砲など現代社会における刺激的な題材を扱ったり、金属の廃材をほとんど加工しないでそのまま作品として提示したりと、ユニークな活動を行ってきた。機械部品の無数のスクラップで構成される「RPM-1200」は榎の代表作で、その精密かつ堂々とした作品の存在感は圧巻だ。

 美術館の地は、かつては神戸製鋼という製鉄所であった。その場に惹かれた榎は、鉄を始めとする金属の野生で美術館を満たそうとしたのが本展覧会である。上で述べた作品の他、本物の薬莢や溶けた鉛、変形・切断された鉄材などが並ぶ。

 美術館はどのように変貌をとげているだろうか? 多くの現代美術家にも多大な影響を与えた榎忠の世界をたっぷりと体験して欲しい。 




『榎忠展-美術館を野生化する-』
発売中
Pコード:764-824
※販売期間中はチケットぴあ店頭での直接販売および通常電話[TEL]0570(02)9999にて予約受付。インターネット販売はなし。

▼11月27日(日)まで
兵庫県立美術館
一般当日1200円 大学生900円
※10:00~18:00、金・土曜日は20:00まで。最終入場は閉館の30分前まで。

兵庫県立美術館 078-262-0901
http://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_1110/index.html

(2011年10月24日更新)


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《RPM-1200》2006-09年 撮影:金子 治夫
《薬莢》1991-2年 参考図版
《AK-47、AR-15》 2000年