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年に1度の『正倉院展』が今年も開催
貴重な宝物の魅力を堪能

 奈良時代・天平時代の約9000件もの宝物が納められている正倉院。普段は非公開であるこの数々の宝物は、奈良国立博物館で年に一度開催される「正倉院展」にて出展。今年も10月29日(土)より開催の『第63回 正倉院展』にて、約1250年に渡って守られてきた宝物の一部が公開される。
 本年の正倉院展は、北倉7件、中倉26件、南倉26件、聖語蔵(しょうごぞう)3件の総計62件の宝物が出陳される。時機を得た宝物、仏教関係の宝物が充実致しており、また例年よりやや多い、17件を数える初出陳の宝物にも注目だ。
 昨年、奈良時代に正倉院から出されて以降、所在不明となっていた「陰宝剣(いんのほうけん)」と「陽宝剣(ようのほうけん)」が、調査により過去に東大寺大仏殿で発見されていた大刀に当たる可能性が高まった。その話題となった宝刀の出蔵について記した文書「出蔵帳(しゅつぞうちょう)」が出陳されるのも大きな話題だ。また、古代の名刀として高名な古式を伝えるさまざまな刀剣も併せて出陳される。
 そして、聖武天皇が着装された可能性もある七条織成樹皮色袈裟(しちじょうしょくせいじゅひしょくのけさ)やその包みや容器、その箱を収めた袋など一連の品が、復元模造とともに出陳される。模造七条織成樹皮色袈裟は平成19年~21年度にかけ、3ヵ年度を費やして復元されたもので、正倉院宝物にしかみられない「織成」技法の復元に取り組んだ貴重な品。このほかにも聖武天皇・光明皇后が推進した奈良朝仏教を考える上で重要な品々が並ぶ。
 さらに、香道が盛んになる中世以降「蘭奢待(らんじゃたい)」と呼ばれ、希代の名香として織田信長など時の権力者にも珍重された黄熟香(おうじゅくこう)をはじめ、香に関する宝物が香炉類とともに出陳されるのも話題のひとつ。
 このほか古代の染織技法の一つである臈纈(ろうけち)によって制作された宝物、碧地金銀絵箱(へきじきんぎんえのはこ)などの華やかな工芸品、地方自治体の戸籍や決算報告書、公文書の授受報告書など古代の生活を伺い知ることのできる文書類、古代の東大寺の地図など、奈良時代を間近に感じることのできる宝物が充実。
 年に一度しか見ることのできない、奈良時代・天平時代の煌きを今に伝える正倉院展で、貴重な宝物の魅力を堪能できる。




『第63回 正倉院展』

発売中
Pコード:764-826
※販売期間中はチケットぴあ店舗での直接販売および通常電話 0570(02)9999にて予約受付。インターネット販売はなし。

▼10月29日(土)~11月14日(月)
奈良国立博物館 東新館・西新館
一般前売900円 高校・大学生600円 小・中学生-300円
当日1000円 高校・大学生700円 小・中学生400円
※9:00~18:00、金曜・土日祝は19:00閉館。最終入場は閉館30分前まで。会期中休館日なし。障害者手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料。本料金でなら仏像館および青銅器館もご覧になれます。

奈良国立博物館
ハローダイヤル 050-5542-8600
http://www.narahaku.go.jp/index.html 

(2011年10月26日更新)


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碧地金銀絵箱(へきじきんぎんえのはこ)
金銀鈿荘唐大刀(きんぎんでんそうのからたち)
黄熟香(おうじゅくこう)