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チェコの鬼才、ヤン・シュヴァンクマイエル。日本のために制作された新作を含む展覧会が開催!

 ヤン・シュヴァンクマイエルは、1934年チェコスロバキア・プラハ生まれのシュルレアリストの芸術家であり、アニメーション作家・映像作家・監督。妻の故エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーも様々な表現活動で共同作業を行っていたことで知られる。今夏には、ヴェネツィア国際映画祭に出品されたヤンの新作映画『サヴァイヴィング・ライフ‐夢は第二の人生』の日本公開も予定されている。
 そんな夫妻の展覧会『ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展』が、先ごろリニューアルされたばかりの京都文化博物館にて、7月22日(金)~8月14日(日)と、10月7日(金)~10月23日(日)の前後期に分けて開催される。本展覧会の前期では、絵画、版画、ドローイング、コラージュなど、多岐にわたる作品群が展示される。しかもそのほとんどは日本初公開の作品であり、中でも注目は新たに日本のために制作した、新装版表紙の『アリス』や、シュヴァンクマイエルが下絵を描き茨城と京都の彫り師と摺り師が、江戸から伝わる伝統的な技法で制作した木版画の作品などである。さらに、現在制作中の最新作、ラフカディオ・ハーンの「怪談」のための挿絵は関西初公開となる。また、日本が世界に誇る世界的な写真家、細江英公が撮ったシュヴァンクマイエルのポートレートの展示も予定されている。
 後期では、すべて関西初となる様々な素材を使ったオブジェや、今までの映画に使用されたセットや美術品など シュヴァンクマイエル夫妻らしい作品構成となる。全面リニューアルされた映像ホールでは、貴重な映像作品も特別上映。美術と映画の境界を自由に行き来するヤンの独特な作品を、十二分に堪能できる機会と言えるだろう。

 オブジェやドローイングに見られる独自の世界観だけでなく、映像においては、大量の人骨を用いた装飾で有名なセドレツ納骨堂を描いた『コストニツェ』(1970年)などの短編から、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』を大胆に脚色した『アリス』(1988年) や、チェコの民話・食人木「オテサーネク」を取り上げた『オテサーネク 妄想の子供』(2000年)など、実写、アニメ共にストップモーション・アニメーションを多用し、CGなどは一切利用しないのも特徴だ。
 「戦闘的シュルレアリスト」を標榜するシュヴァンクマイエルは、社会主義・全体主義・商業中心主義などに抵抗を試みる作品・発言が多い。政治的な主張が含まれた作品も多く、それらは検閲を回避するために非常に歪曲的な表現となっている。それはチェコ(スロバキア)という国の歴史について、深く考えさせる奥行きを持っている。今なお現役で自由なスタイルで様々な作品を生み出すヤン・シュヴァンクマイエルの魅力を、存分に味わって欲しい。




(2011年7月 8日更新)


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Exhibition Data

『ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展 the works for Japan』(前期)/『ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展 ~映画とその周辺~』(後期)


7月22日(金)~8月14日(日)/10月7日(金)~10月23日(日)
10:00~19:00
京都文化博物館 別館ホール
<前後期共通前売り券>
大人1500円/大学生1300円/中高生1100円/12歳以下無料
<各期当日券>
大人800円/大学生700円/中高生600円/12歳以下無料

※最終入場は閉館30分前まで。
[問]株式会社月眠:TEL&FAX 0743-73-3601