ホーム > インタビュー&レポート > 楽しく長く生きる秘訣がいっぱい!? 高橋惠子×川中美幸×山村紅葉 京都・南座『三婆』インタビュー
──高橋さん、川中さん、山村さんは今作が初共演になりますが、お会いになるのも今回が初めてですか。
高橋 三人とも一度もお会いしたことがなかったんですけど、3月に作品のキャンペーンがあってそこで初めてお目にかかったんです。有吉佐和子さんの故郷の和歌山へ行って、記念館にも行かせていただいて。
川中 楽しかったですね。初めてお会いしたとは思えない感じで。
山村 はい。楽しかったです。
高橋 前から知っているような感じでね。これなら(芝居で)喧嘩もできるし(笑)、何があっても大丈夫という信頼感と楽しさがありました。公演が楽しみです。
川中 私も楽しみです。だって、子どもの頃から拝見していた高橋さんと。
高橋 何言ってるの。変わらないでしょ(笑)。
川中 いえもう高橋さんといえば、若いのに綺麗で色っぽいなと思いながら観ていた方でしたから。今も凛となさっていて、松子にぴったりだなと思いますし。紅葉さんも、大村崑さんとの2時間ドラマで演じておられたキャラクターのイメージで、それこそ今回のタキにぴったりですし。そして私はというと、愛人キャラにぴったりかなと(笑)。
高橋・山村 ぴったり(笑)。
川中 だから、この三人でお芝居ができるんだと思うとワクワクしました。
山村 私もやっぱり、高橋惠子さんはスターですから、私のようなけっこう変わっている人間は受け入れてもらえるかな?と......。
高橋 変わってる? みんな変わってるから大丈夫よ(笑)。
山村 でも大丈夫かなと心配で前もって内偵したら、「すごくいい方ですよ」と皆さんおっしゃっていてその通りの方でしたし。川中美幸さんも、すばらしい歌手でいらっしゃいながら舞台では面白いトークもなさっていてきっと楽しくなるだろうなと思っていたら思っていた通りでしたし。おふたりに混ぜていただくのが本当に光栄でワクワクしています。
川中 個人的には、来年川中美幸として50年になるので、これでまた新たな扉が開くような気がしていて。私、お芝居が大好きで、お芝居だけの舞台に呼んでいただいてチャレンジしたこともありましたから、オーバーかもしれないですけど、その集大成にしたいなと思っているんです。しかも、今だからできる作品じゃないですか。酸いも甘いも経験して、人生が少しはわかってきて。
高橋 この作品は、若いときには出せない味が必要ですものね。
──その意味では、そもそもこの『三婆』のオファーを受けられたとき、どういうお気持ちになられたのでしょうか。
高橋 実は10年くらい前に別のところでお話をいただいたことがあって、そのときは「もうちょっとあとになってからでもいいかな」と思って丁重にご辞退させていただいたんです。でも今回は、「やっとその時期がきた。今でしょう」という感じで(笑)、喜んでお受けさせていただきました。
川中 私はびっくりしました。まだこんなに若いのに......というのは冗談ですけど(笑)、『三婆』は客席で拝見してきたので、「本当に私でいいんですか」という驚きがあって。でも、それこそ人生を重ねてきた今だからこそできるのかなと。できるできないは周りが評価してくださることですし、怖いですけど、今かと思ってお引き受けしました。
山村 『三婆』の三人の役は、代々いろんな芸達者の芝居のお上手な方がやっていらっしゃるので、嬉しいけど私にできるのかなとまず思いました。でも、私はしょっちゅう舞台に立っているわけでもなく、おふたりのように身体も鍛えていないので、これ以上歳を重ねるとできないかもしれないなと思って。だから、今がちょうどいいタイミングでした。
──作品については、どんな印象をお持ちですか。
高橋 私はこれまでの舞台を拝見したことがなくて、今回の脚本も早く上がってこないかなと待っているところなので(笑)、有吉さんの原作を読んだだけなんですけど。こんな年齢を重ねた人の話を30代後半で書かれていたというのにまずびっくりしました。でも、みんな必ず歳を取っていくんだなと改めて思いましたし、この敵同士だった三人も同じように歳を重ねていく姿をお互いに見ているわけで、そのなかでいろいろバトルがあるのが面白いんですよね。今回のチラシに「爆笑喜劇」とあるんですけど、私初めてなんです、爆笑とついた喜劇をやるのは。だから、お腹抱えて笑って隣の人の肩を叩きながら観ていただけたらいいなと思っています。
川中 隣の人の肩を叩くの、私もやっちゃいますけど(笑)、それくらい笑っていただけたらいいですよね。そして、しみじみほっこりしていただけたらいいなと。前半は、図々しく本妻の家に勝手に住みついて、喧嘩して言いたいこと言い合っているんですけど、最後のほうはもう歳取って助け合って生きていかなきゃいけないようになっていて、みんなが肩寄せ合っていて。やっぱり人はひとりで生きていけないんだなと思います。
高橋 そういうところは時代が変わっても変わらないですものね。松子もそのぬくもりを感じて、孤独より人がいるほうがいいと思うのでしょうし。前半と後半の落差を感じてもらうためにも、喧嘩のシーンは遠慮なくやりたいですね。
山村 本気でやりたいです。
川中 そうやって懸命に生きる姿が愛おしいですし。今、ますます高齢化社会になっていますから、観れば元気をもらうと思います。
山村 私は公演のときは66歳になりますけど、同級生が60歳で一度リタイアして再雇用などで働いていて、今いよいよこれからの老後を考える時期がきているんですよね。本当に仕事を辞めてしまうのか。別の場所で仕事を続けるのか。ボランティアという形で頑張るのか。私が『三婆』に出るという話をしたら、同級生たちがそういう老後の話で盛り上がったんです。だから、これからどうやって生きて楽しんでいくかということを考えるきっかけになる作品じゃないかなと思いますし。原作が発表された1961年当時よりみんな元気で、老後が長くなっていますからなおさら、考えることが大切になってくるでしょうし。このお芝居を観ている間だけでも笑い転げることで、自分の人生の見方が変わったり、幸せな気持ちになったりしてもらえたらいいなと思います。
高橋 笑うことって身体にもいいですしね。
川中 免疫力アップって言いますよね。
高橋 だから私も、健康のためにも笑う、くよくよ悩まない、ちょっと失敗しても「人間だもんね」と自分を許すようにしています。
川中 楽しい気持ちで突き進んでいくことを私も大切にしています。だからもう、食べたいもの食べて、やりたいことやって、いただいたお仕事をありがたく楽しくやる。
山村 私も同じです。やっぱり楽しむことが一番で。朝から深夜までドラマの撮影が続いたときも、「帰りにコンビニでビールを買って、ケータリングのあのおかきをおつまみにいただこう」とか思って乗り切るんです(笑)。そういう目先の楽しみと、「来週姪っ子ちゃんと会える」とかっていうちょっと先の楽しみと、「11月になったら『三婆』が始まる!」という長いスパンの楽しみがあればという感じで、大変なことがあっても振り返りません。
高橋 そう、振り返らない。
川中 だんだんそうなってきましたね。
山村 あと、私は「ゆうもあくらぶ」の理事長もやらせていただいていて、笑いを広めることも女優として目指しているので。その意味でも、笑いがいっぱいある『三婆』に出られるのは嬉しいですし、いっぱい笑って帰っていただきたいなと思います。
──本妻の松子、愛人の元芸者の駒代、妹のタキという、それぞれ演じられる役についても教えてください。
高橋 夫は生きている間は愛人のところに行っているので、松子にとっては死んでからやっと「正妻」という立場がものを言うわけで。生きているときは妻らしいことが全然なかったのに、「私は正妻よ」というプライドが、ふたりと戦うにあたっての水戸黄門の紋所みたいになっているところに、私は笑っちゃったんですけど。その戦いを稽古で深めていくのが楽しみですし、今回は、松子以外は台詞が関西言葉になるので、東京言葉と関西言葉のやりとりも面白くなりそうです。
川中 それこそ私は関西人なので、関西言葉のほうが情は出しやすいかなと思いますけど。「愛人」という人格だけで終わらせるのではなくて、何を求めて何を守って何を願って生きてきたのか、一生懸命愛に生きた女性を健気に表現できたらいいなと思っています。「だから愛人に走ったんだよ」と思ってもらえるような(笑)、かわいらしい人を。
高橋 私も「この人だったらしょうがないわね」って思うかもしれないですよね。
川中 そういう情の深いかわいい人になれたらなと思うんですけどね。
高橋 大丈夫。実際のところは知らないけどそう見える(笑)。
山村 はい、見えます(笑)。
高橋 こういうことが言える三人なんですよ(笑)。紅葉さんもタキさんに見える。
山村 ですよね。この人、一回も結婚もしていないし、その自由奔放に生きてきた感じが滑稽だったり、ちょっとかわいそうだったりするんですけど、常識にとらわれていなくて、少女のまま大人になっている感じは、私と近いものがあるかなと。
高橋 紅葉さんそのままよ。
川中 演じなくていい(笑)。
山村 そうなんですよ(笑)。演出の齋藤雅文先生はなるべく本人の持っているいいところを引き出そうと演出してくださって、別人格を演じなさいと言う方ではないので、このままでいけるかなと思っています。
川中 齋藤さんは私も松平健さんの舞台でご一緒させていただいたんですけど、とても熱心で愛のある方だな思いました。私が芝居好きなこともよく知ってくださっていると思いますので、どう料理して引き出してくださるのか、楽しみです。
高橋 私は『日本橋』の演出と『ガブリエル・シャネル』の脚本でご一緒したんですけど、本当に熱心で、お芝居がお好きなんだなと感じました。今回も楽しみです。
──京都・南座という劇場にはどんな印象をお持ちですか。
高橋 新しくなってからは初めてなんですけど、花道があって、揚幕がシャーンと開いて花道に出ていくのも気持ちが引き締まっていいんですよね。やっぱりほかの劇場にはない良さがあります。
川中 広さもお芝居にちょうどいい感じで、私も好きです、南座の空間。
山村 桟敷席でお弁当を食べられたり、本当にお芝居を楽しめる感じがいいですよね。
──そういう場所で若い世代にもお芝居の楽しさを味わっていただけたらいいですね。
高橋 だから、おばあちゃまとお母さまとお孫さん、三世代で一緒に来ていただいて。
山村 むしろ若い方にこそ観ていただきたいくらいです。若いときにどんな老後を迎えたいかを考えて逆算して、仕事のことや結婚のこと、経済的なことを準備しておかないと、歳取ってからでは取り返しのつかないこともいっぱいありますから。学生さんとか、まだ将来が決まっていない人たちにこそ、一度観てもらって、進学や就職のことを考えてもらえたらいいかもしれないですよね。もちろんただ笑って考えることを忘れちゃってもいいと思いますし。笑ったあとにふと考えさせられることもあると思いますし。とてもテンポ良く面白くできているお芝居なので、お芝居を観たことがない方も楽しめるのでぜひ来ていただきたいです。絶対楽しませます!
高橋 私、おばあちゃまたちだってこれからだと思うんですよ。今、「婆」の字を見ていて、「波に女なんだ。なんでだろう。シワが波に見えるのかしら」と思ったんですけど(笑)、高齢化社会と言われている今はもう、波に乗ってサーフィンをするくらいの気持ちでいれば楽しめるんじゃないかなと。そういう意味では、私自身もお二人と一緒にお芝居することを楽しいと思っているわけで、そんなふうに新しい波に乗っていけるおばあちゃんになりたいなと思いますし。こういうお芝居を観るのも楽しむことの一つで、本当に楽しんでほしいなって思います!
川中 三人三様ですから、きっと誰かに共感してもらえると思うんです。たくさんの方にお越しいただけたら嬉しいです!
取材・文/大内弓子
(2026年10月 7日更新)
10月9日(金)一般発売 Pコード:538-485
▼11月3日(火)~25日(水)
南座
一等席(1,2階)-14000円
二等A席(3階1列目)-7000円
二等B席(3階2列目以降)-4000円
[出演] 高橋惠子/川中美幸/山村紅葉/松村龍之介/澄風なぎ/戸田ルナ/丹羽貞仁/曽我廼家寛太郎/他
〈ぴあ貸切公演〉
Pコード:544-375
▼11月11日(水)15:30
三婆特別席-8888円(88席限定の南座特別席(1階左右列桟敷席、2階席最前列))
三婆にかぶりつき席-8500円(1階席3列目以内(一等席))
一等席-7000円
3人揃えば修羅場セット券-11640円(3枚セット。1階席後方(一等席))
二等席A-3500円 二等席B-2000円
※4歳以上はチケットが必要。本公演チケットを「チケット不正転売禁止法」の対象となる「特定興行入場券」として販売いたします。興行主の同意のない有償譲渡は禁止いたします。
[問]南座■075-561-1155