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「僕らの場合、踊れば全部解決」
男肉 du Soleilの新作舞台は「陰謀論」

芝居、ダンス、ラップを自在に織り交ぜ、独自の舞台表現を追求してきたダンスカンパニー、男肉 du Soleil。2005年の大学外での初公演から20周年を迎えた彼らが、活動21年目に送り出す新作が『陰謀論と朝まで踊れww』だ。都市伝説やSNS、AIなど、現代社会に渦巻くさまざまな「陰謀論」を題材に、男肉ならではのエンターテインメントへと昇華する。なぜ今、陰謀論を描くのか。そして20周年を越えた劇団は、どこへ向かおうとしているのか。団長・池浦毅に聞いた。

――今回、「陰謀論」を題材に選んだのはなぜですか。

男肉 du Soleilは、基本的に僕がその時に興味のあることをやっていく劇団なんです。僕はずっとオカルトや都市伝説が好きで、「いつかやろう」と言っていたんですけど、コロナ以降、陰謀論がものすごく過激になったじゃないですか。政治の話でも、「大きな法案が通る時に芸能人の不倫が出る」とか言われたりして、「ほんまなん? でも、あながち......」みたいに思うこともある(笑)。そういう、信じてはいないけどちょっと気になるものを、歌って踊って劇にできないかなと思って、テーマにぶち上げてみました。

――都市伝説も含めて、さまざまな「説」が登場するそうですね。

そうですね。日本にピラミッドがあるとか、河童とか、徳川埋蔵金とか、秘密結社とか。昔、『週刊少年マガジン』に『MMR マガジンミステリー調査班』という漫画があって、都市伝説や謎を追っていくんですけど、結局すべての答えを見せてくれるわけじゃないところがあって、それが面白かったんですよ。今回も「NMR(NIKU Mystery Report)」という集団を作って、みんなで都市伝説を暴こうとする会議室コメディみたいなところから始まります。でも、たぶん暴けない(笑)。未解決のものって、未解決だから面白いと思うんです。

――今回、池浦さんが演じる主人公はどんな人物なのでしょう。

43歳で、20年間引きこもっている「子供部屋おじさん」です。ネットで陰謀論好きの人を集めてサークルを作って、20年ぶりに家から出る。リーダーになって、みんなでキャッキャして、動画を撮ったらそれがバズるんですけど、今度はむちゃくちゃ叩かれて、仲間たちがバラバラになっていく。そこで「なんでこんなに叩かれるんだ」と、SNSにある悪意を調べ始めるという話です。ネットが普及したのがこの20~30年で、リテラシーが上がったかというと、むしろネット上の状況はえげつなくなっている気がするんですよ。SNSを見ているだけで、人の悪意に触れて落ち込むこともあるし、誰かの大きな声によって対立が生まれていく。その怖さも、都市伝説や陰謀論と混ぜながらやりたいと思っています。

――現代のネット社会そのものを扱う作品になりそうですね。

そうなんですよ。とはいえ、うちは口立てで作るので、取材を受けている今はまだ稽古が始まったばかりで、台本もこれからなんです。ただ、結末だけは決めていて、パソコンの中に「人間の悪意を伝播させるコンピューターウイルス」がいることが分かって、僕ら全員がパソコンの中に入って倒しに行きます(笑)。でも、ウイルスと戦おうとしたら、その前にウイルス対策ソフトにやられる。「俺たちはまず、こいつ(ウイルス対策ソフト)と戦わなあかんのか!」っていう(笑)。壮大な陰謀論を追いかけた果てに、そこへ行く。最終的には「みんな仲良くしようぜ」というところへ持っていきたいですね。

――陰謀論には、扱いにくいテーマもありますね。

人の生死に関わっている話もありますし、すごく過激な人たちもいる。だから僕らも勝手に答えを出すつもりはないです。「これは真実です」と言うのも怖いし、「絶対に嘘です」と言い切れることばかりでもない。謎が解けなかったら、「信じるか信じないかはあなた次第です」でいいと思うんですよ。僕らは研究者ではないですから。ただ、陰謀論を扱う以上、何か言われる可能性は当然あると思っています。SNSで叩かれる話を作っている自分たちがSNSで叩かれたら、それはそれでどうするんやろうと思いますけど(笑)。

――それでも、この題材を作品にしたい。

好きなんでね。やっぱり好きなことをやりたいです。全部を真面目に説明し始めたら、6時間半くらいの芝居になると思うんです。でも、理想は100分から105分。2時間は突破したくない。だから、できるだけたくさんの題材を出しながら、ラップや歌、ダンスでやっていきたいです。重たいテーマをそのまま重たく見せるんじゃなくて、男肉 du Soleilとしてどうエンターテインメントにするのか。僕らの場合、最後は踊れば全部解決しますから。

――2025年に20周年を迎えました。21年目の今、劇団に変化はありますか。

20周年以降に始めたことのひとつが、ゲストを呼ぶことです。しばらく団員だけで公演をやっていたんですけど、それも3回くらい続くと、「そろそろ何か変えたいな」となってくる。今回は鶴野呼々未さんと平井佐智子さんに参加してもらいます。劇団員も年齢を重ねて、家族ができたり、仕事があったりして、毎回全員が出演するわけではなくなりました。だからこそ、ゲストを呼んだり、ヒップホップの曲をたくさん入れてみたり、いつもと違う負荷をかける。それが僕ら自身の刺激になると思っています。

――この先、25周年、30周年に向けて、男肉 du Soleilをどう続けていきたいですか。
20年やって気づいたのは、「夢はでっち上げながら、粛々とやる」のが劇団なんじゃないかということです。10年くらい前からずっと海外公演をしたいと言っていますし、全国ツアーもしたい。北は北海道、南は沖縄まで行きたいです。でも、いきなり全部はできないから、「次は行ったことのない土地でやってみよう」とか、「ちょっと大きな劇場を借りてみよう」とか、少しずつ刺激を入れていく。そうやって毎年、自分たちが興味のあるものを作り続けていたら、気づけば高知でも公演できるようになりました。このペースなら、21年後くらいには海外へ行けるかもしれません。でも、それでもいいと思うんです。大きな夢を言いながら、目の前のことを粛々とやる。それを続けていきたいですね。

取材・文/岩本




(2026年9月 2日更新)


大長編 男肉 du Soleil
『陰謀論と朝まで踊れww』

Pick Up!!

【京都公演】

チケット発売中 Pコード:543-221
▼9月4日(金)19:00
▼9月5日(土) 13:00/18:00
▼9月6日(日) 13:00
THEATRE E9 KYOTO
自由席 一般-4000円(整理番号付) 自由席 学生-2000円(整理番号付、要学生証)
[脚本・演出]池浦毅(団長)
[出演]池浦毅(団長)/江坂一平/高阪勝之/城之内コゴロー/ すみだ/ チェン/吉田みるく/鶴野呼々未/平井佐智子/小石直輝(6日のみ)
※未就学児童は入場不可。
※9/5(土)公演は、終演後「アフターパーティー」あり。
※9/6(日)公演は、終演後「男肉大祓式・西の陣」あり。
[問] odsticket029@gmail.com

【東京公演】

▼9月18日(金)~20日(日)
小劇場B1


【高知公演】

▼10月2日(金)
新来島高知重工ホール・グリーンホール

公式サイト
https://oniku-du-soleil.boy.jp/

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