ホーム > インタビュー&レポート > 小関裕太、注目のセリフは「好きみたいです」 ミュージカル『レッドブック』大阪公演、間もなく開幕!
――東京公演を終えて、いかがでしたか。
韓国でヒットして、何回も再演されてきた作品を、今回改めて日本初演として上演するということで、最初はお客様にも「どういうふうに観たらいいんだろう」とか、「どういう楽曲なんだろう」と、予習もしづらいような雰囲気があったように思います。そんな中、初日から楽しんでくださっていて、結構笑いが起きていることを感じていましたし、口コミなどで広がっていくにつれて、皆さんの受け入れ方や聴き方、感じ方がどんどん自由になっていったことも、ステージ上から感じていました。初演という緊張感と、この作品の力を多分に借りて、作品が受け入れてもらえたという安心感も増していき、東京公演の後半は、より楽しく、嬉しく出演できていました。これまでも初演作品の出演経験がありましたが、今回も、まず東京公演を成功できたなという実感が嬉しかったです。
――小関さんが思う、本作の見どころを教えてください。
まずは楽曲、そして台本ですね。楽曲には、家に帰ってふっと思い出せるようなキャッチーなフレーズがあって、全部キャッチーなのに、全部違うんです。意味を込めて同じ旋律を使うこともありますが、それでも全部違う雰囲気の楽曲になっています。聴きやすさと難しさのバランスが天才的だなと、やればやるほど思いました。台本は、華やかさやロマンチックな部分、コメディ感をちゃんと保ちつつ、しっかり社会派な作品になっています。テーマが骨太なので、そちらのバランスが天才的だなと思い、改めていいミュージカルだなと出演していながらも思いました。
――日本初演となる作品に出演することについては、どのような思いがありましたか。
海外で上演されていた作品を日本初演版としてやる場合、レプリカとノンレプリカの二種類があるのですが、今回はノンレプリカでした。脚本や楽曲はそのままに、演出を変える日本初演版です。ベースはあるけれど、もう一回ちゃんと構築する。それは新しい家を建てるような感覚で、みんなで作り上げてきました。なので、初演ならではの気合いと、お客様にどう受け入れてもらえるかなというドキドキ感がありました。
――演出の小林香さんは、どのように作品や役を深めていったのでしょうか。
特に香さんが大事にしていたのは、「紳士然としていること」でした。日本版として再構築していく中で、19世紀のリアル、19世紀ロンドンのリアルを思想として忠実に持つことを大切にされていました。例えば劇中に「貞淑」というワードが出てきます。僕たちはあまり使わない言葉なので、最初は実感がなく、「この時代の貞淑とは、どういうイメージなんだろう」と質問を受けたときは、ハッとしました。咲妃さんとも目を合わせて、「どういうイメージなんだろうね」と。そういう共通認識がすごく大事な作品だと思いました。この作品の時代背景は19世紀です。それだけに、客観的に、あるいは当時の人の考え方を主観的に作って理解していかないと、19世紀のイギリスを舞台にしている意味合いが薄まってしまうかなと思いました。今の僕から見ると、紳士とはこうあるべきだとか、がんじがらめになっていた時代だなと思います。でも、なぜそうなったのか。どういう教育があって、どういう思想があって、どういうことを恥ずかしいと思っていたのか。そういうことは、すごく考えました。
――そんな時代に生きるブラウンを、どのような人物として捉えていますか。
簡単に言うと、気真面目な新米弁護士です。時代背景もあって、「こうあるべき」というものに忠実です。誠実だからこそ、彼は型にはまりすぎてしまっている。そこから抜け出すきっかけもなかなかなく、それが正しいと思って生きてきているから、変わろうとするきっかけもない人物です。アンナが人から情報を得たり、人との関わりの中で成長していくのに比べて、ブラウンは本からしか学べない人。「こうあるべき」「こういるべき」「こういうもの」という定義を武器として身につけ、成長しようとしている。人から影響を受ける人と、本から影響を受ける人。そして、人から影響を受ける人が、本を通して自分を表していく。この構造がすごくよくできていて、面白いです。
――ブラウンを演じるうえで、一番大切にしていることは何ですか。
全部大切にしすぎて、特別に大切にしていることがないです(笑)。ブラウンは恋愛経験がなく、本の中で「恋愛とはこういうもの」とか、「人を大切にするとはこういうこと」、「女性とうまく付き合うには、こういうことに気をつけるべし」と学んできた人です。いざ心が動いたときに、それが「好き」ということだと自覚できない。言語化できない感情に出会ったときに、わちゃわちゃしているブラウンは面白いと思います。「好きみたいです」というブラウンの台詞がありますが、それが割とキーワードになってくると思います。ご覧になった方は、男女を問わずその台詞がずっと残っているみたいです。
――ロマンチックコメディを演じる面白さは、どんなところに感じますか。
本を読んだときはコメディだなと思いましたが、まったくコメディをやっているつもりはなく、コミカルだなと思います。テンポもいいですし。コメディに見えるのは、価値観の違いがぶつかり合って、お互いに理解できないという構造があるからだと思います。価値観の違うふたりが恋に落ちて、笑ったり泣いたりしているのですが、わりとぶつかり合って、言い合いをしているので、それが結果としてコメディになっていると思います。突っ込みたくなるような会話が結構多いですね。
――楽曲にはどんな魅力がありますか。
観に来てくれた方々が、「サントラがほしい」「もう一回聴きたい」「家でちょっと歌いたい」と思ってくれるみたいで、終演後にも軽く歌ってくれたりして、やっぱり覚えやすいんだなと思います。ミュージカルなので当たり前ですけど、楽曲とシーンがリンクしていて、すごくいい曲だなと思いますし、いろいろなジャンルの曲が詰め込まれています。それぞれのキャラクターに合わせて作られてもいるので、ブラウンにはクラシカルな楽曲が多いです。でも、ロックっぽい楽曲もあって、世界のいろいろな音楽をキャッチーなフレーズで聴いているような感覚になります。
――では、大阪公演に向けて、楽しみにしていることを教えてください。
自分でハードルを上げるようですが、東京公演から大阪公演まで約1カ月ほどあるので、また何か自分の中で育っているものがあるんじゃないかなと思っています。何か磨かれているもの、育っているものがあるといいなと思いますし、そうしたいです。そうしたいからこそ、どうやってこの時期を過ごしたらいいかなと、ワクワクしています。森ノ宮ピロティホールに立ったとき、自分もみんなもどんな状態になっているのか。それがまず楽しみです。
――ちなみに今、ブラウンは小関さんの中にいますか?
今は、ブラウンのことはいったん置いているので、彼は今、19世紀に戻っています(笑)。
取材・文/岩本
(2026年6月24日更新)
チケット発売中 Pコード:539-943
▼6月27日(土)17:00
▼6月28日(日)12:30/17:00★
▼6月29日(月)17:30★
▼6月30日(火)13:00
★=カーテンコールデイ
森ノ宮ピロティホール
〈平日〉13500円 〈土日〉14500円
[脚本]ハン・ジョンソク [作曲]イ・ソニョン
[演出・上演台本・訳詞]小林香
[音楽監督]桑原まこ
[出演]咲妃みゆ 小関裕太 花乃まりあ エハラマサヒロ
中桐聖弥 加藤大悟/田代万里生 他
※未就学のお子様はご入場いただけません。出演者並びにスケジュール変更の際は何卒ご了承ください。出演者変更の場合でも他日への変更・払い戻しいたしかねます。車イスでご来場予定のお客様は、予めご購入席番をお問い合わせ先にご連絡ください。
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