ホーム > インタビュー&レポート > 仁左衛門や鴈治郎ら歌舞伎俳優21人が道頓堀でお練り
大阪松竹座のさよなら公演「御名残四月大歌舞伎」「御名残五月大歌舞伎」を前に、3月29日に大阪・道頓堀で「大阪松竹座 御名残道頓堀お練り」が行われた。

片岡仁左衛門、中村鴈治郎、松本幸四郎、中村獅童ら歌舞伎俳優21人を乗せた人力車が堺筋側から道頓堀沿いを進み、沿道には多くの観客や観光客が集まった。拍手や大向うの掛け声も飛び交う中、俳優たちは手を振って声援に応えた。その後、大阪松竹座の前では出演者による式典が行われ、それぞれが劇場への思いや、御名残公演への意気込みを語った。
鴈治郎は、「道頓堀で人力車でのお練り、私も初めてです。いつもは船乗り込みですが、船乗り込みよりも皆様との距離がすごく近く、皆様の熱い思いを感じました。道頓堀にこれだけ歌舞伎が好きな方々が集まる。大阪は捨てたもんじゃない。その気持ちを感じました。御名残ということですが、さよならとは違うと思っております。大阪松竹座を忘れないでいただきたい、思いを残していただきたいと思います」と挨拶した。
片岡孝太郎は、「4月、5月と2カ月間、この道頓堀で歌舞伎ができるという。私は幸せだと思っております」と語り、「歌舞伎がなくなるわけではありません。皆様、これからもどうぞよろしくお願いします」と思いを込めた。
「御名残四月大歌舞伎」の昼の部で『大當り伏見の富くじ』を、夜の部で『寺子屋』、『河庄』に出演する幸四郎は、「お練りが始まって、太鼓が鳴り響いたときには、うれしさ、寂しさ、込み上げるものがありました」と心境を語り、「『大當り伏見の富くじ』は大阪で初演、再演させていただいて、大阪松竹座でしか上演していない。大阪松竹座が生んでくれた作品をさせていただきます」と意気込んだ。そして、「大阪松竹座は御名残ではございますけれども、歌舞伎の公演をあそこでやるということを言えるような目標を立てて、この四月の公演を楽しみたいと思っております。ぜひとも幸せになりに来てください」と来場を促した。
中村亀鶴は涙を拭う仕草を見せつつ、「どうぞ大阪松竹座に足を運んで、楽しんでいただきたいと思います」と劇場へ誘った。
大谷廣太郎は、「大阪は祖母やおじが住んでいるところで、僕にとっても特別な場所でございます。そんな大阪で4月の御名残大歌舞伎に出させていただきますことを大変嬉しく思っております」と笑顔を見せた。
中村虎之介は、「松竹座での思い出を振り返りながら、最後の2カ月の歌舞伎の舞台を楽しんでいただければ」と言葉を送った。
澤村精四郎は、師匠・澤村藤十郎が「関西で歌舞伎を育てる会」を発足した一人であることに触れ、「今回、師匠が来られませんが、私が出させていただくことを本当に嬉しく思っております。関西でも芝居を続けていきたいと思いますので、これからもどうぞ応援のほどよろしくお願いいたします」と意気込んだ。
片岡松之助は、「私の初舞台は道頓堀の朝日座でございました」と振り返り、「道頓堀の劇場がなくなってきて寂しい思いでございます。松竹座の2カ月公演、どうぞよろしくお願いいたします」と言葉を結んだ。
上村吉弥は、「2カ月にわたるさよなら公演に出演させていただきますこと、本当にありがたく思っております」と感謝を述べた。
市川門之助は、「松竹座にはいろいろな思い出がありますが、映画館だった頃に『E.T.』を見に来たのが最初でございました」と回想。「その後もスーパー歌舞伎や通常の歌舞伎公演でもたびたび伺わせていただきました。周りにもたくさんの馴染みのお店がありました。これからも大阪で公演があるときにはそちらへお邪魔しようと思っております。この御名残公演もどうぞご覧になっていただきたくお願いいたします」と話した。
市川高麗蔵は、「松竹座、中座も含めて、道頓堀の劇場でたくさんの経験をさせていただき、いろいろな思い出がございます。寂しくなりますが、これからも大阪で多くの方に歌舞伎を見ていただけるよう、一日一日精一杯務めます」と誓った。
松本錦吾は、「大阪は私の故郷でございまして、天王寺で生まれました。松竹座も大変お世話になっております。あと何年先かは存じませんが、新しい松竹座ができると思います。私は来月で84歳になります。その新しい松竹座にも出演いたしたいと、頑張るつもりでございます」と笑顔で語った。
澤村宗之助は、「松竹座の思い出は山ほどございますが、ここでは喋れないことばかり」と笑いを誘い、「あと2カ月の間にぜひとも劇場内に足を運んでいただきまして、皆様の思い出を作っていただきたい」と話した。
獅童は次のように思い出を語った。「こけら落としの時にも出演させていただいて、若手の頃はもうたびたび来させていただいておりました。初座頭として『丹下左膳』をやらせていただいたのも大阪松竹座でございました。勘三郎お兄さんとの思い出もたくさんございます。その大阪松竹座がなくなってしまうのは非常に寂しいですが、さよなら公演にこうして家族で出演させていただけること、非常に嬉しく思っております」。獅童の長男、中村陽喜も「僕は松竹座が初めてなので、さよなら公演に間に合って本当に嬉しいです。頑張って練習したので、ぜひ来てください」と呼びかけ、和やかな雰囲気に包まれた。なお、次男の中村夏幹が昼の部『毛谷村』の弥三松役で出演を予定していたが、2月末に足を骨折したため、陽喜が代役を務める。
中村隼人は「私は幼い頃から松竹座に出させていただいてまして、歌舞伎、そして歌舞伎以外の舞台でもたくさん出演させていただきました。5月で閉まってしまうのは寂しいですけども、4月5月、精いっぱい努めていきたいと思います」と語った。
中村壱太郎は、「4月、5月とたくさんのお役を務めさせていただきます。上方歌舞伎の役者として、これからも精一杯やっていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします」と挨拶。
片岡進之介は、自身が出演する『大當り伏見の富くじ』について「一発逆転のお話でございます」と紹介。そして「松竹座は閉まってしまいます。さまざまな嫌なこともあると存じますけれども、一発逆転、そういう気持ちで私も勤めさせていただきます」と気勢を上げた。
中村扇雀は、「2カ月御名残と書いてますけれども、歌舞伎が一生見れなくなるわけではございません。この2カ月の間で私たち一生懸命、歌舞伎の良さを再発見していただくために舞台を精一杯努めます」と力を込めた。
中村歌六は、「長い間お世話になった松竹座さん、ありがとう。道頓堀もありがとう。そして松竹座を愛してくださった多くのお客様たちに心からお礼を申し上げます」と感謝を述べた。そして、「道頓堀に松竹座という芝居小屋があったことをどうぞお忘れにならないでください。そしていつの日か道頓堀に新たな芝居小屋ができますことを祈願いたしまして、ご挨拶をさせていただきます」と願いを託した。
最後は片岡仁左衛門、「松竹座はとりあえず閉まりますけれども、関西での歌舞伎はどうなるのかと、ご心配のお声をよく聞くのですけれども、歌舞伎がだめで閉めるのではない」と説明。「御名残公演、お休み公演でございます。必ず道頓堀に小屋が建つと思います」と挨拶。式典の締めくくりには、「世界平和、皆様のご多幸、そして道頓堀に再び劇場が建つことを願って」という仁左衛門の音頭で大阪締めによる手締めが行われた。

1923年5月に大阪・道頓堀に開場した大阪松竹座は、関西初の本格的な洋式劇場で、歌舞伎を中心に演劇やレビューなど多彩な舞台を上演し、長く道頓堀の芝居文化を支えてきた。現在の劇場は1997年に再開場。2023年には開場100周年を迎えたが、惜しくも5月末に閉場する。
取材・文/岩本
(2026年4月 2日更新)
チケット発売中 Pコード:539-518
▼4月3日(金)~26日(日)11:00/16:15
※休演=4/10(金)・20日(月)
※貸切=4/19(日)昼・25日(土)昼
大阪松竹座
一等席-26000円 二等席-13000円 三等席-7000円
※4歳以上チケットが必要。
※日時・席種により取り扱いのない場合あり。
※部ごと、日ごとに出演者が異なります。詳しい出演者・スケジュールは公演公式ホームページにてご確認ください。
※3階席左右列のお席は劇場の構造上、舞台の一部が見えづらいお席となります。
※本公演チケットを「チケット不正転売禁止法」の対象となる「特定興行入場券」として販売いたします。興行主の同意のない有償譲渡は禁止いたします。
[問]大阪松竹座■06-6214-2211
チケット発売中 Pコード:539-519
▼5月2日(土)~26日(火)11:00/16:30
※休演=5/11(月)・19日(火)
※貸切=5/3(日)夜・22日(金)夜
大阪松竹座
一等席-26000円 二等席-13000円 三等席-7000円
※4歳以上チケットが必要。
※日時・席種により取り扱いのない場合あり。
※部ごと、日ごとに出演者が異なります。詳しい出演者・スケジュールは公演公式ホームページにてご確認下さい。
※3階席左右列のお席は劇場の構造上、舞台の一部が見えづらいお席となります。
※本公演チケットを「チケット不正転売禁止法」の対象となる「特定興行入場券」として販売いたします。興行主の同意のない有償譲渡は禁止いたします。
[問]大阪松竹座■06-6214-2211