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演劇×落語のコラボで魅せる新作演劇シリーズ始動!

「古典落語を新作の芝居として上演しよう」と、演劇プロデューサーの細川展裕と落語好きのプロデューサー・浅生博一が、立川志の春の落語から着想を得て、H&A企画を立ち上げた。企画第1弾は、古典落語の『死神』。借金に苦しむ八五郎が死神に出会い、死期が迫る人を見分けて助ける術を授かる。医者として成功するが、欲に負けて死神をだまし、死ぬはずだった人を助けてしまう。禁じ手を使った八五郎は......というストーリーだ。ベースとなる三遊亭圓朝の『死神』は、上方落語でもおなじみのネタだが、噺家によってサゲ(話の最後、落ちの部分)にさまざまなバリエーションがあるのが特徴。笑いと恐怖を織り交ぜたこの噺を、演劇×落語のコラボという初のオファーに倉持裕が作・演出を担当、新作演劇として作り上げる。しかも「ちょいと、音楽劇」だとか。八五郎を演じるのは、今や数多くの舞台で活躍中の牧島 輝。そして死神役には水野美紀。原作で死神は老人の男として登場、女の死神は落語でもめずらしい。また、志の春も役者で出演。プロデューサーの浅生が、企画の内容と意気込みを語った。

「古典落語には、話のト書きにいろいろな人が出てくる。話芸だけでももちろんおもしろいものだけど、それを演劇にすることによって、銘々の役柄のドラマを描けてより深まるんじゃないかという思いから立ち上げた企画です」。浅生は『両国花錦闘士(りょうごくおしゃれりきし)』(2020年)や『きたやじオン・ザ・ロード~いざ、出立!!篇~』(2025年)などを手掛ける演劇プロデューサーだ。学生時代から落語を聴いていた浅生は、2016年に志の春と出会い、ライブハウスで落語以外のエンタメを実験する会を定期開催。そこで生まれた志の春の『阪田三吉物語』は、2020年1月に三山ひろしの明治座公演で芝居の原案に採用された。「志の春さんと巡り合っていなかったら、今企画は誕生していないと思っています」。

第1弾の演目に『死神』を選んだのは、長く劇団☆新感線の製作・運営に携わっていた細川が「米津元帥さんの『死神』にハマっていたこともある。イメージできていたみたい(笑)。僕は、『死神』はあらゆる噺のなかで五本の指に入るくらい有名と認識、純粋に話がおもしろいと思っていた。落語好きのお客さんも、落語をあまり聴かないお客さんにとっても、わかりやすく親しみやすいだろうなと思いました。」。そして、『歌妖曲~中川大志之丞変化~』(2022年)でガッツリ組んだ倉持裕にオファー。「コメディも得意な方ですが、人間の喜怒哀楽を表裏両面から如実に描かれる方でもある。私は、秀逸な作演出家のひとりだと思っています。今作には、人間の欲を通した怖さや楽しさを描くことが大事だったので、倉持さんにお願いしました」。倉持は快諾。子どもの頃、初めて落語に触れたのが六代目三遊亭圓生の『死神』だったそう。「死神を女性にしたのも、主に倉持さんのアイディアです。物語は、倉持さんによる巧みな描かれ方、結末も倉持さんらしいサゲですね。ご観劇を戴いたお客様は、意外性のある展開に吃驚されるのではないかと思います」。水野美紀は、企画書の段階で「私が死神!? おもしろそう!」と、とても喜んでいたという。牧島 輝は、「伸びしろのある芝居と魅力的な声色」に注目していた浅生が、『きたやじ~』を経て今回は主演に抜擢。牧島は「とてもうれしく、楽しみで仕方ありません」とコメントを寄せている。

志の春には、落語の助言を沢山もらった。彼は、「今作には、あくまでも俳優のひとりとして参加させて戴く」という意気込み。大家と越前屋の旦那の二役を演じ分ける。他のキャストは、基本的に本役は一役しか演じない。ほか共演には、樋口日奈、浅利陽介、玉置孝匡、香月彩里ら。「役者としてご出演される志の春さんが隠し味に、彼を含めて、銘々の場において活躍されている7人のキャストが集結、倉持さんという料理人と彼らが掛け算して、どんなおいしいディナーが食卓に上がるのか、乞うご期待ください。喜怒哀楽に満ち溢れた人情噺と、幻想的怪談を織り交ぜた作品です。上演時間は88分を目指し、観劇料金は、台所事情はカツカツながら(笑笑)も、1万円以下(9999円)に抑えました。普段、落語や演劇を触れることの少ないお客様、落語と演劇が大好きなお客様、幅広いお客様に気楽にご観劇いただきたいと思っています」。

また、今作の音楽監督である中村 中の作詞作曲で、牧島に当て書きしたテーマ曲『愚人の流儀』は、今、SNS上にミュージックビデオが配信中。踊り出しそうになるごきげんなメロディとさすがの歌詞。「まさに、この曲は今作を象徴している」と倉持もお気に入りだ。

取材・文/高橋晴代




(2026年4月23日更新)


H&Aプロデュース企画 第1弾『死神』

【東京公演】

チケット発売中 Pコード:538-519
▼4月26日(日)まで上演中
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA

Pick Up!!

【兵庫公演】

チケット発売中 Pコード:538-822
▼5月2日(土)13:00/16:30
▼5月3日(日)13:00
▼5月4日(月・祝)13:00
兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
全席指定-9999円
[作・演出]倉持裕
[出演]牧島 輝/水野美紀/樋口日奈/浅利陽介/玉置孝匡/香月彩里/立川志の春
※未就学児童は入場不可。出演者変更に伴う払戻し不可。車いす席をご利用のお客様はチケットをご購入の上、事前に問合せ先にご連絡下さい。2枚以上でご購入されたお客様は、状況によっては連席でご案内できない場合がございます。予めご了承ください。公演中止を除き、払い戻しはいたしません。予めご了承下さい。
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