ホーム > インタビュー&レポート > 宝塚歌劇団雪組公演『波うららかに、めおと日和』 原作者・西香はち氏×主演・朝美絢 対談インタビューが到着!
■瀧昌となつ美の関係性、ふたりの心情の変化や成長に注目
――漫画「波うららかに、めおと日和」が宝塚で舞台化されるとお聞きになったときのお気持ちは?
西香はち(以下、西香):正直、信じられなかったです。公演ビジュアルを拝見して、「準備が進んでいるんだ!」とようやく実感しました(笑)。
朝美絢(以下、朝美):私はドラマ版を、「私の大好きな、キュンキュンするストーリーだ!」と毎週観ていたので、その漫画が原作の舞台をさせていただけると聞いて、とてもうれしかったです。
――西香先生は先日、朝美さん主演の雪組公演をご覧になったそうですね。
西香:キラキラしていて美しくて、もう別世界! 衝撃で、記憶が飛ぶぐらいでした。
朝美:(笑)。
西香:宝塚さんなら絶対いいものを作ってくださるだろう、という確信があるので、「すべてお任せします」という気持ちです。
朝美:ありがとうございます。演出してくださる小柳奈穂子先生は、漫画原作を手がけられることが多く、私も絶対的な信頼をおいています。舞台では長いお話を約3時間で完結させないといけないですが、宝塚ならではの世界観と、「波うららかに、めおと日和」の漫画とのコラボレーションを、今から楽しみにしています。
――西香先生にあらためてお聞きしたいのですが、この作品の見どころは?
西香:やはり瀧昌となつ美がメインなので、ふたりのやり取りをしっかり見ていただけたらと思います。関係性がどう変わっていくのか。さらに関係性が変わることで、ふたりの心情がどう変化し、成長していくのか、というあたりに注目していただけるとうれしいです。
――昭和11年という時代は、今の読者に新鮮にうつると思うのですが、そのあたりも想いを込めて創作されているのでしょうか。
西香:そうですね。この時代のことにも、やっぱり興味を持ってほしいという思いはあります。大変な時代で、この後には(戦争が始まり)世の中が悪くなっていく。今の私たちの平和はその時代、流された血の上にあるのは確かで......。ちょっとだけでもいいので、そういうことも知ってもらえたらと思っています。
朝美:私は漫画を読んで、涙が止まらなくなるところがたくさんありました。今なら携帯電話ですぐ連絡がとれるけれど、そうはいかない。現代の私たちにはわからない感覚がありますよね。そこをきちんと滲ませながら、大切に演じたいです。
■ポスターは「結婚式の証明写真」のよう!?
――江端瀧昌の人物像について教えてください。
西香:真面目で仕事一筋の人。堅物だけれど、なつ美と関わっていくことで、どんどん柔らかくなり、家族を持つことで、自分の考え方も変わっていきます。軍人である前にひとりの人として、変化していく人物ですね。
朝美:やはり仕事一筋という生真面目さ、日本男児の確固たる心の強さ、というのは漫画を読んでいてとても感じます。なつ美と出会うことで、瀧昌のいろいろな面が出てきますよね。瀧昌の過去も漫画でたくさん描かれているので、彼を形づくった過去も大事に役作りをしていきたいです。
――朝美さんは『ベルサイユのばら』(オスカル役)や『愛の不時着』(リ・ジョンヒョク役)など、原作ものも近年演じられていますが、どんなところを意識して取り組まれているのでしょうか。
朝美:映像や漫画など原作で描かれているキャラクターの第一印象を大切にしたい、と思っています。その第一印象を軸に、男性も女性も関係なくひとりの人間として、何を目的に生きているのかというのをいつも大事にしています。瀧昌についてもこれから稽古を重ねて、深めていきたいです。
――「波うららかに、めおと日和」のミュージカル化で楽しみにしていることは?
西香:どんな音楽がつくのかがやっぱり楽しみです。この作品をイメージして曲を作られるのですか?
朝美:はい! 演出家の先生や音楽家の先生が、この作品や登場人物たちの心情などをイメージしながら創作されると思います。
西香:もう未知の世界なので、どんな感じなのかソワソワしちゃいます!
朝美:(笑)。漫画の人物たちの背景が、リアルに浮き出てくるような音楽がつくのではないかと思います。やっぱり音楽がつくことによって、そのときの情景がより鮮明に描かれるように思います。舞台でもいつも感じるのですが、音楽がその場面の心情を表してくれるんです。
西香:は~!(感心の声)
――ビジュアル撮影で特に意識されたことは?
朝美:まずリアルに日本人の男性に見えるよう、メイクが濃くなりすぎないことや、切れ長に目を描くなど意識しました。音彩(唯)も、漫画のなつ美のような、丸みのある愛らしさが出るメイクをしていて。そういう意味でも、キャラクター作りはメイクの段階から始まっているなと思いました。
――おふたりが並んでいるポスタービジュアルなど、とても大きな反響がありました。
朝美:結婚式の証明写真というか。本当に「結婚しました!」という気持ちになりながら撮影ができ、新鮮でした(笑)。ポスター撮影というより、街の写真館での撮影みたいで和みましたね。
西香:ポスターを拝見しましたが、本当に新婚さんでした! きちんと言語化ができないのですが、朝美さんは「えぐい!」というぐらいカッコよくて、音彩さんはとても愛らしくて。衣裳もすごいなと思いました。あの軍服は作られたのですか?
朝美:はい、作っていただきました。
――原作へのリスペクトを感じるビジュアルですよね。
西香:とてもありがたいです!
――そんな朝美さんの瀧昌に、西香先生が言ってもらいたい台詞はありますか?
西香:やっぱり「問題ありません」かな。
――この台詞は西香先生のなかで、最初からキーになっていたのでしょうか。
西香:実はそんなことはなくて。漫画を描いていて「なんだかこの台詞多いな。もう瀧昌の口癖にしちゃえ」と思って、そうなりました。
朝美:え!?
西香:私、結構アシスタントさんとの連絡で、「問題ありません」と言ってて。
朝美:西香先生の口癖なんだ!
西香:そうかもしれないです(笑)。
朝美:瀧昌はその「問題ありません」というひと言に、すべての感想を込めていますよね。あの台詞を実際に舞台で言えるのかなと思うと、とても楽しみです。
■日常の「心温まる」エピソード
――西香先生にとって思い入れの深いシーンはありますか?
西香:私が気合いを入れて描いたのは、やっぱり2巻に登場する旅館の場面、なつ美と瀧昌がキスをするところです。あと、8巻の最後の「共犯になろ?」というくだりは、この話の肝(きも)みたいな部分で、とても大事に描きました。
朝美:旅館のシーンは、情景そのものが素敵ですよね。それに(なつ美が)酸欠になるというのが......! なつ美も瀧昌も可愛いのですが、それを描いている西香先生の発想が本当に可愛くて、素敵だなと思いました。
西香:そんな!(照れ笑い)
――この作品は心温まる純愛ラブストーリーです。そこで朝美さんに、最近「心が温まった」というエピソードがあれば、ぜひ教えてください。
朝美:私は犬を飼っていて毎朝散歩をしているのですが、前を歩いている犬が、振り返ってくれるんですよ。それが私的に心温まります。何気ないことなんですけど、「ちゃんといるかな」と気にかけて、頼ってくれているようにも感じて。
西香:わかります! 私は猫を飼っていて......。この漫画に出てくる猫は、実はうちの猫です。
朝美:そうなんですね!
西香:あんな感じで、ふてぶてしいのですけど(笑)、たまに膝に乗ってきて可愛いなと思います。気づけば目の前にいて、餌を要求してくることも。太ってしまうのが気になるので、餌をあげる時間を決めているのですが、その時間の前にねだって、カプッとかんでくるときも。
朝美:可愛い! そのお話、「心温まります」(笑)。
――最後にこの舞台を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。
朝美:梅田芸術劇場メインホールという大きな空間で、この物語がどういう世界観で広がっていくのか、私もとても楽しみです。出演者みんなでこの時代や役柄としっかり向き合い、作り上げていきたいなと思っているので、いろいろな方に観に来ていただきたいです。
西香:原作者という立場ではありますが、皆さんと同じく、いち観客として楽しむので、ぜひ皆さまも楽しんでください。
取材・文/小野寺亜紀
(2026年3月 2日更新)