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梅棒のメンバー11人で魅せる、見どころ満載の舞台
『FINAL JACKET』

セリフはほぼ使わず、既成の人気楽曲にダンスと演技を融合させて物語を繰り広げる、ダンスエンターテインメント集団・梅棒(うめぼう)。20回目の舞台は客演を入れず、3年ぶりにメンバー11人で挑む。本来なら20人ぐらいで上演する世界観の舞台、まさに総力戦だ。荒廃した世界を舞台に、物語の主軸は人の心を掌握できるという伝説のジャケット"ファイナルジャケット"。5つのパーツに引き裂かれ、世界に散ったジャケットを巡って展開する男たちの熾烈な戦いと冒険を描く。誰がファイナルジャケットを手にするのか。そして最後のパーツが収まった時、いったい何が起こるのか。ワクワクドキドキ、そして笑いを織り交ぜて贈る、まさに立体的少年漫画の世界。梅棒らしからぬ男臭い舞台に、これぞ梅棒! というエンディング。客席の興奮と笑いの中、東京、愛知を経て大千秋楽を迎える大阪公演の初日を観劇した。

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客席通路から登場する茶髪の少年・レオン(鶴野輝一)。観客をちょいイジりつつ物語の前説、そしてレオンのセリフとなって、自分は憧れの用心棒・マグナス(櫻井竜彦)の仕事の窓口係だと誇らしげに話しながら舞台へ。そのマグナス、まるで映画に出てくるような男臭さ満載のアウトローでかっこいい。櫻井は優しく温厚な人柄、これまでは素顔に近い役柄が多かった。しかし、このキャラクター感はまさにハマリ役。物語の主人公としてレオンを連れ、バイクを駆ってジャケットを探しに行く。この導入部から登場人物紹介的なシーンをはさみ、全員の群舞へ。スピード感ある展開で、ロック音楽を多用しつつジャケットの5つパーツを巡ってドラマが疾走する。軍がやっきになって探している、この世のすべてを手にすることができるジャケットとは...!?

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登場人物はみな強烈な個性の持ち主だ。軍の司令官・ギデオン(遠山晶司)と、従順を装い自分の出世が一番な部下・カリム(多和田任益)。そしてジャケットのパーツのひとつを持つ、クセのあるヤツらたち。カンフーの国で師範代を務める老人・王八宝(SuGuRu)とその下で働く純粋な少年・バオズ(野田裕貴)、狂信的な信者を抱える宣教師・ピエール(天野一輝)、ボンデージ姿がセクシーなサーカスの団長・アロン(楢木和也)。さらに絶海の監獄リヴァイアサンには、ファイナルジャケットで世界征服を企む凶悪な囚人・バルザック(伊藤今人)と監獄で長く生き延びてきた子分の囚人チャド(梅澤裕介)、ギデオンの指揮で監獄の所長を務める冷徹なルシャール(塩野拓矢)。キャラクターが登場するたびに、客席から拍手と歓声がわく。メンバーそれぞれに見せ場があり、その役柄や立場に合わせた多彩なダンスが、かっこよく、またコミカルに繰り広げられる。

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さらにマグナスとギデオンの因縁やレオンの思い、友情や裏切りなど、関係性をドラマチックに見せて飽きさせない。セリフがないのに、まるでセリフを聞いているように感じて伝わるのは梅棒の唯一無二の特性。楽曲の歌詞と音楽が適所に選曲され、言葉と感情の増幅をもたらす。物語はそれらを集約し、後半30分で大爆発する。その圧倒的なアクションシーンが大きな見どころだ。映像など使わない。アナログで勝負。刀を用いる殺陣にカンフーアクション、そして最後は殴り合い。ひとつ納得したことがある。肉体を駆使して表現するダンサーたちは、アクションもキレッキレでうまい、ということ。その迫力! 今回、梅棒に新加入した最年少のSuGuRuも、ジャッキー・チェンのファンと言うだけあるカンフー技を繰り出す。

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作・総合演出を担う伊藤は、「最初で最後かも」という近年の梅棒公演では珍しい大きな役を得て、終始強烈な悪の怖さを漂わせながら、最後に1人対10人の殴り合いをフルパワーで魅せる。そして、ファイナルジャケットの最終章へ。なんと梅棒らしいラストだろう。客席は大爆笑と大拍手の渦。初めて梅棒を観た人は必ずやファンになるに違いない。最後を知ってから、もう一度観たいという東京・名古屋からの追っかけなど、これまでと比べてリピーター率が高いのもうなずける。これまでにない梅棒、そして、やっぱり梅棒。2時間5分、みんなが笑顔で劇場を後にしていた。

取材・文:高橋晴代
撮影:飯野高拓、角田大樹




(2026年1月 9日更新)


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梅棒 20th Breakdown
『FINAL JACKET』

▼12月5日(金)~7日(日)
COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
[作・演出]伊藤今人 [振付・監修]梅棒
[出演]伊藤今人/梅澤裕介/鶴野輝一/遠山晶司/塩野拓矢/櫻井竜彦/楢木和也/天野一輝/野田裕貴/多和田任益/SuGuRu


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