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2年ぶりの「三人噺」で春蝶、吉弥、一之輔が
“本気の長尺”で古典の名作落語を熱演!

11月26日にSkyシアターMBSで開催された『春蝶・吉弥と一之輔 三人噺 2025』。関西で人気の噺家、春蝶と吉弥、そして江戸落語界当代きっての売れっ子、一之輔による落語会で、いずれも40分以上のトリネタ三席を披露。2年ぶりに開催された今年は、桂吉弥が「蛸芝居」、春風亭一之輔が「らくだ」、そして桂春蝶が「紺屋高尾」でトリを担った。また、前田春香MBSアナウンサーがお茶子を務めた。

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オープニングでは3人がぞろぞろとステージへ登場。今回は「撮影会つき前方指定席」という新たな席種が発売され、さっそくその席種について言及する。吉弥は当初、需要はあるのかと懸念したそうだが、予想以上に大好評で杞憂に終わったという。さらに話題は落語中の着信音や私語について及び、近ごろはスマホの会話型AIまで反応すると盛り上がった。

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いよいよ本編へ。トップバッターの吉弥は高座に座るとぱちぱちと手を叩いて、観客の拍手に呼応して笑顔を見せる。マクラでは観光大使を務める山形県真室川町の話題に触れ、代表的な民謡「真室川音頭」を、仕草を交えながら歌い上げた。そして、上方落語特有の演出である「はめもの」について説明し、三味線や鳴り物の奏者を紹介。芝居好きの一家の、とある一日を描いた「蛸芝居」。吉弥は歌舞伎のまねごとをする登場人物を躍動感たっぷりに描き出し、その確かな腕を惜しみなく披露した。クライマックスの蛸が出てくる場面では、大きな目をさらにまん丸にして口をとがらせ、家の主人と対峙する蛸を熱演。そのユーモラスな表情に客席から笑いが沸き起こる。だんまりの場面では表情や動きで状況を表し、最後は六方を踏む仕草で華やかに演じた。

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一之輔はマクラもそこそこに本ネタへ。「らくだ」というあだ名がついた乱暴な男が、毒フグにあたって死んだことから、らくだの兄貴分の「丁の目の半次」が紙くず屋を巻き込み、らくだの葬儀を出そうと画策する。粗暴な半次とは対照的に、見るからに気の弱そうな紙くず屋だが、ほんの少しのほころびを描く一之輔。紙くず屋も一筋縄ではいかない男であることが見え隠れする。半次は迫力たっぷりに、SkyシアターMBSのステージが小さく見えるほど存在感を増幅させた。「らくだ」の見どころでもある「死人のかんかん踊り」では、無表情で人形振りのような動きをする一之輔に会場は大爆笑。後半で紙くず屋と立場が逆転する場面では、半次の思いがけない愛嬌を見せるなど、終始、巧みな人物描写で観客を笑いの渦へと巻きこんだ。

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今年の大トリは桂春蝶。江戸が舞台の「紺屋高尾」を、藍染めの歴史が江戸より100年長い上方から職人が江戸へ下ったという設定で口演。2011年に自身も大阪から東京に拠点を移したことから、まずは‟上京エピソード"で沸かせる春蝶。不動産屋での一幕も明かして笑いを誘った。そして徐々に会場の灯りを落とし、観客の視線を高座へと向けさせる。江戸時代に実在したとされる最高位の遊女・高尾太夫と、紺屋の職人の久蔵との身分違いの純愛を描いた本作を、生き生きと演じる春蝶。花魁道中の高尾太夫に一目ぼれした久蔵をピュアに描きつつ、親方とのやり取りでは現代的な表現も取り入れ、時空を自由自在に行き来する。高尾が廓言葉を使う場面では、大河ドラマ「べらぼう」の世界も彷彿させる。江戸の市中のにぎわいも臨場感たっぷりに描き、春蝶カラーの「紺屋高尾」を好演した。

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三者三様の個性を発揮して古典落語の面白さと奥深さを伝えた「三人噺」。年齢を重ねるごとに味わい深くなることは必至、次回の開催も楽しみな一夜となった。

取材・文:岩本
撮影:大西二士男




(2025年12月10日更新)


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『春蝶・吉弥と一之輔 三人噺 2025』

日時:11月26日(水) 17:00
会場:SkyシアターMBS(大阪)
出演:桂春蝶/桂吉弥/春風亭一之輔


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