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「オモシロ要素はお笑い番組を見て研究します!」
矢吹奈子が福田雄一演出のミュージカル
『サムシング・ロッテン!』に出演

ミュージカルのパロディやシェイクスピアのセリフが随所に織り交ぜられ、爆笑の連続だった福田雄一演出のミュージカル『サムシング・ロッテン!』が再演される。今回、『ロミオとジュリエット』をモチーフにした登場人物ポーシャ役を演じるのは、アイドルグループHKT48を卒業し、現在は俳優として活動する矢吹奈子だ。「福田さんが手掛けた映画『銀魂』やドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズなどをめちゃくちゃ見ていました。今回初めて、それもミュージカルでオファーをいただいて、福田さんの世界観に入れるのがうれしいです」と喜びを隠さない。 

『サムシング・ロッテン!』は2015年にブロードウェイで初演されたミュージカルコメディ。ルネサンス時代のイギリスで、劇作家のニック(中川晃教)は、時代の寵児シェイクスピア(加藤和樹)の栄光の陰に隠れて、売れない劇団を弟のナイジェル(大東立樹 CLASS SEVEN)と運営している。シェイクスピアに嫉妬し、すべてに行き詰まったニックは、妻のビー(瀬奈じゅん)に内緒で予言者ノストラダムス(石川禅)のもとを訪れるが...という物語だ。日本版の初演は2018年に中川を主役に迎え、劇場中を笑いで揺らした。再演では、中川と瀬奈以外のキャストを一新する。

「初演を拝見して、新しいミュージカルだなと。まだミュージカルというものがこの世に生まれていない時代を描いているので、ノストラダムスの予言を受け、ニックたちが世界初のミュージカルを作ろうとするのが面白いんです」。その場面では、『CHICAGO』『RENT』などミュージカルの名シーンが早送りのように歌とダンスに盛り込まれ、大いに盛り上がる。「今までいろんなミュージカルをご覧になってきた方はすぐに分かると思います。私はミュージカルはあまり見たことがなくて、全然詳しくないのですが、それでも、『アニー』『キャッツ』『レ・ミゼラブル』は分かりました。詳しくない方もそこは分かると思いますし、すごく楽しめるシーンです」と力を込める。

矢吹は、ナイジェルと出会った瞬間から惹かれ合う、清教徒のポーシャ役。「一目ぼれという運命的な出会いがすごくかわいらしいなと。彼女は明るくて元気で、自分の意思をしっかり持っていて、それをちゃんと言葉で表現できる女性です」。交際を父親から反対されているが、「自分の気持ちで彼を選び、父親もナイジェルも信じている。その強さがカッコよくて憧れます。初演の二人とはまた違い、今回、大東さんとどういうカップルを作っていけるのか今からワクワクしています」と期待を寄せる。 

面白くてバカバカしいセリフの中に、『ロミオとジュリエット』をはじめ、『十二夜』『リチャード三世』など多くのシェイクスピア作品の珠玉のセリフが交ざり、シェイクスピアファンは見逃せない。ポーシャは"シェイクスピアオタク"という設定だが、「教科書に載っていたかも覚えていなくて(笑)。名前は知っているけど、歴史上の人物という感じですね。これからいろいろと学んで、ポーシャに近づけるように頑張ります」と意気込んだ。

今年、多くの社会的な作品を手掛ける栗山民也演出の『ブラック・ジャック』でミュージカルデビューを果たした。「栗山さんは動きも綿密に決まっていて『あと3㎝足を前に出そう』などと細かく突き詰めていかれる。自我を出さず役に徹することを学んだ」と振り返る。一方、「個人で面白いことをやったヤツが勝ち!」を信条とし、コメディ道一筋の福田からは、稽古前に「面白い要素を準備しておいてほしい」と指示されたと笑う。「福田さんは栗山さんの演出の仕方とは真逆だと思いますので、ミュージカル初挑戦ぐらいの気持ちで頑張ります(笑)。関西の人は別だと思いますが、私、ボケようとか、人を笑わせようってあんまり思ったことがないので(笑)。お笑い番組を見て研究しようと思います」と少し戸惑いつつも、やる気を見せた。

美しい歌声はアイドル時代から評判だ。過去には日韓合同のグローバルガールズグループIZ*ONEのメンバーとしても活動していた。「韓国ではデモの段階で声色や歌い方が作曲家チームによって決まっていて、一音も狂わせてはいけない。どれだけデモに寄せるかなんです。ダンスも髪まで踊らせたりと細かいんですよ。でも、ミュージカルは、言葉を伝えないといけないし、その日の自分の感情で表現の仕方が大きく変わる。今までやってきたことを生かすよりかは新しい感覚です。生かしながらもまた別物を作っていきたいですね」。
強みは、初めてのミュージカルでもまったく緊張しなかったこと。「アイドル時代のほうが緊張していたかも。なぜ緊張しないんだろう?と自分でも驚くぐらい平然としていました。でも、今回はお客さんが笑ってくれるかな?という違った緊張感が生まれるかもしれません(笑) 」と言うが、そんなに肝が据わっているなら心配無用だろう。どんなコメディエンヌぶりを見せてくれるのか、楽しみに待ちたい。

取材・文/米満ゆう子




(2025年12月 2日更新)


Check

ミュージカル『サムシング・ロッテン!』

【東京公演】

▼12月19日(金)~1月2日(金)
東京国際フォーラム ホールC

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:535-143
▼1月8日(木)18:00
▼1月9日(金)13:00/18:00
▼1月10日(土)12:00
▼1月11日(日)12:00/17:00
▼1月12日(月・祝)12:00
〈昼公演〉S席-15000円 A席-10000円 B席-7000円 U-25券(引換券)-6000円(25歳以下のみ対象/当日座席引換券/要身分証)
〈夜公演〉S席-14000円 A席-9000円 B席-6000円 U-25券(引換券)-5000円(25歳以下のみ対象/当日座席引換券/要身分証)
オリックス劇場
[作詞・作曲]ウェイン・カークパトリック/ケイリー・カークパトリック
[脚本]ケイリー・カークパトリック/ジョン・オファレル
[演出]福田雄一 [翻訳・訳詞]福田響志
[出演]中川晃教/加藤和樹/石川禅/大東立樹(CLASS SEVEN)/矢吹奈子/瀬奈じゅん
岡田誠/高橋卓士/横山敬
植村理乃/岡本華奈/岡本拓也/神谷玲花/小山侑紀/坂元宏旬/髙橋莉瑚/高山裕生/茶谷健太/横山達夫/吉井乃歌/米澤賢人/小林良輔(スウィング)/七理ひなの(スウィング)
※未就学児童は入場不可。チケットはお一人様1枚必要(ひざ上は不可)。車椅子をご利用のお客様はS席をご購入の上、【問】までお電話にてお問合せ下さい。U-25チケットは当日引換券です。座席・席種はお選びいただけません。注釈付きのお席になる場合もございますので、予めご了承ください。U-25券は2026年1月12日(月祝)時点で25歳以下の方のみご購入いただけます。生年月日が記載されている身分証明書をお持ちになって会場にお越しください。原則公演延期・中止の場合を除き、チケットの払い戻しはいたしません。やむを得ない事情により出演者が変更になる場合もございます。出演者の変更による払い戻しは致しません。
[問]ミュージカル「サムシング・ロッテン」大阪公演事務局■0570-666-255