ホーム > インタビュー&レポート > ミュージカル『愛の不時着』の大阪公演が開幕 ふたりの出会いは偶然か、それとも運命か―― ユ・ヨンジェとジョン・ユジが国境を超えた恋愛模様を好演
ミュージカル『愛の不時着』の大阪公演が12月6日、COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールで開幕した。
2019年12月に韓国でドラマが放送され、世界的な人気作となった『愛の不時着』。2022年9月には国内でミュージカル化。2024年2月に日本初上陸を果たして、話題と好評を集めた。同年7月に日本での再演がスタートし、そして今回、大阪での上演を迎えた。

同作は、パラグライダー飛行中の事故で北朝鮮に不時着してしまった韓国の財閥令嬢のユン・セリと、朝鮮人民軍軍人のリ・ジョンヒョクの恋愛模様を描く物語。リ・ジョンヒョク役にはボーイズグループ・B.A.Pの元メンバーで、ドラマ『美しい私たちの夏』(2024年)などに出演したユ・ヨンジェ、ユン・セリ役にはガールズグループ・BESTieの元メンバーで、ミュージカル『フリーダ』などに出演したジョン・ユジが務めている。

そんなミュージカル『愛の不時着』の見どころのひとつは、ジョンヒョクとセリの国境を超えたラブストーリー。当初は、思いがけず北朝鮮へ辿り着いてしまったセリを韓国へ帰すために、ジョンヒョクが秘密裏の作戦を実行するだけの間柄だった。しかし、共に時間を過ごす中で恋愛感情を抱くように。ただ、ふたりは敵対国家の国民同士。セリの帰国が叶えば、それは二度と会うことができないことを意味する。その葛藤の中、ジョンヒョクとセリは、その出会いは偶然のものなのか、それとも運命なのかを互いに問いかけていく。「また会いたい」という気持ちを募らせるふたりの姿に心が揺さぶられる。

また、登場人物の感情をあらわす歌とダンスも圧巻。不時着したセリと、それを発見して彼女を確保しようとするジョンヒョクと部下たちが、追いつ、追われつを繰り広げるコミカルな場面では、明るいポップソングと軽快なダンスで表現されている。一方で、アコースティックギターの音色に乗せて湧き上がる想いを歌い上げていくところは、温かい感動に包まれる。中でも注目は、ふたりで初雪を見る場面。ヨンジェ、ユジの澄んだ歌声が情景の美しさをより際立たせ、ジョンヒョクとセリの心が通い合っていく様子もしっかりと伝わってくる。


アクションシーンも見逃すことはできない。ジョンヒョクは、自分やセリの行方を追う部隊と激闘を繰り広げるが、そこで見せるヨンジェのハイキックなど生身のアクションの数々は手に汗を握る。ほかにも「(南北が)統一したら必ず会おう」という台詞や描写もあり、両国が抱えている現実をあらためて実感させる。

キャストの好演ももちろん注目だ。ヨンジェは、不器用ながらもセリを優しく包むジョンヒョクを丁寧に演じている。勝気なセリに振り回される様子も微笑ましい。ユジは、北朝鮮で暮らすことになったセリの不安な心模様を、観客にきっちり届けてくれる。また、セリのかつての見合い相手で韓国の若き実業家ク・スンジュン役のジンホとKAZUTA(いずれもWキャスト)、ジョンヒョクの婚約者でデパート社長令嬢のソ・ダン役のパク・ギュリとソン・ミンジェ(いずれもWキャスト)も、複雑な事情を抱えた各キャラクターの背景を見事に演じている。
それぞれの愛の行方はいったいどこへ辿り着くのか。国境や立場を超えて愛を貫こうとする人々の物語は、観る者の胸に深い余韻を残す。
取材・文:田辺ユウキ
撮影:三上富之
(2025年12月 9日更新)
チケット発売中 Pコード:537-194
▼12月14日(日)まで上演中
COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
SS席-19000円(オリジナルグッズ付(非売品))
S席-17000円 A席-14000円 B席-10000円
[出演]ヨンジェ/チョン・ユジ/JINHO、カズタ(※Wキャスト)/パク・ギュリ、ソン・ミンジェ(※Wキャスト)/ホ・ギュ
[問]キョードーインフォメーション
■0570-200-888