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柴田理恵×風間杜夫が語る
キャスト4人があの手この手で作る『大誘拐』

中山優馬のほか、柴田理恵、風間杜夫、白石加代子のベテラン勢が揃う舞台『大誘拐』~四人で大スペクタクル~が再演される。推理作家・天藤真の人気同名小説を原作に、82歳の紀州随一の大富豪を取り巻く者たちが、国家やマスコミを手玉に取って実行した身代金百億円の誘拐事件の真相に迫る舞台だ。昨年、この4人で初演され、今年も同じメンバーが集結。柴田と風間が、キャストや作品の魅力から、若手に演技のアドバイスをするか? といった話まで、和気あいあいと語ってくれた。

――昨年に続き、同じメンバーが続投しての再演は、異例の早さで珍しいことですね。

風間 前回は全国13か所回って、お客さんは大喜びでした。

柴田 たくさん来てくださって、好評だったのでありがたいです。笑いも頻繁に起こりますし、グッと見入ってしまうところもある作品。風間さんはずっと舞台で遊んでいらっしゃいますけど(笑)。

風間 柴田さんが僕にアドリブをやらせるのよ。歌を歌うように仕向けたりね。

柴田 やっぱり風間さんの歌声は聴きたいです。風間さんは舞台では最高の自由人ですので、楽しく動いていらっしゃるのを見るのが私は好きなんです。

風間 舞台のセットに固定電話があるじゃない。あれ、家に電話している設定にしたら面白いと思わない?「大阪公演に来ているんだけど」と女房にかけるんだよ。

柴田 こうやって、チョコチョコチョコチョコ、作っていくんですよ(笑)。私もそれについ乗ってしまう。

風間 白石さんも乗りたいらしくて、前回、「風間さん、私のこともちょっといじってよ」と。いじられキャラになりたかったらしい(笑)。

柴田 こんなキャストが集まるので、毎公演、違って面白かったですね。

――中山さん演じる健次は、白石さん扮する大富豪・とし子の誘拐を企てる役です。

柴田 彼は素晴らしいですよ。

風間 芝居への向き合い方が誠実。

柴田 やっぱり若いし、身体はキレがあるし、真摯に向き合うからどんどん芝居がうまくなられて。要です。

風間 日々、成長の跡が見られましたね。

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――今回、再演に向けてどんな思いがありますか。

風間 まだ稽古が始まってないから浮かんでこないね。

柴田 私はヘリコプターをやりたい(笑)。

風間 物語にへリコプターが登場するんですが、前回は演出部の人が頭にヘリコプターを乗せてやっていた。それを今回、買って出て。

柴田 ブルブルブルブル(ヘリコプターのように全身を震わせる)。

風間 人間ヘリコプターで動きたいらしいですよ(笑)。

柴田 なるべく4人であの手この手でやるほうが楽しいし、前回、舞台袖から見ていて、あれ、私できるなと。

――(笑)。風間さんは、事件の捜査に乗り出す警察本部長の井狩、柴田さんは、とし子の元家政婦のくーちゃん役がメインですが、おふたりともひとりで何役もされます。さらに役が増えそうですね。

柴田 警察本部長はドシッと構えなきゃいけない役なので、ブルブルしている場合じゃない(笑)。今、勝手なことを言っていますが、演出の笹部博司さんが判断されることですから(笑)。

――「大誘拐」は、誰がどういう目的でとし子を誘拐したかが最後まで分かりません。舞台で体験されて、改めて感じた魅力はどこでしょうか。

柴田 サスペンスでもありつつ、大奥様のいろんなことがあった一生が浮かび上がる。それが白石さんの演技で見えた時に、いい話だなとジーンとくるところが私は好きです。

――柴田さん演じるくーちゃんは、とし子が大好きな役ですよね。

柴田 私はもともと白石さんが大好きで、高校生の時に地元の富山県の劇場に白石さんが出演なさって、こんなに美しくてすごい人がこの世にいるのかと。それで東京に出てきたんです。ずっと好きなので、その思いをそのまんまくーちゃんに託して演じていますね。白石さんがしゃべりながら立ち上がられると、空気がガーッと動くような感じがして、うわーっ、カッコいいな、素敵だなと。舞台袖からスマホでも撮りました。

風間 国というものは一体何なんだ、なぜ、百億円の身代金にしたのか。意趣返しというかね、根底にそういうものがあるから、どこか痛快な物語になっていますね。井狩もとし子に恩があって、俺が絶対、彼女を救い出してみせるという。ところが...、なんですよ。

柴田 風間さんの井狩はカッコいいんですよ。私生活が想像できないぐらいかっこいい部分とお茶目な部分とやさしさがあって魅力的。そこがすごく好きですね。

――風間さん、今のコメントを受けていかがですか。

風間 今の、僕の話?

柴田 そうですよ!

風間 人の話は聞いてないから(笑)。

柴田 舞台で自由に動く風間さんは世の中にこんな人はいないというぐらいエネルギッシュで、舞台のために生まれてきた人だとしみじみ感動します。

風間 もっと褒めて(笑)。でも柴田さんや白石さんもすごいですよ。もう驚きの連続で、名女優ふたりを目の当たりにして、僕は身がすくむ思いです。

柴田 嘘ばっかり(笑)。

風間 僕なんか、本当は人前に出るのは嫌いなんです。こういうインタビューも実は嫌い。

柴田 最近とても仲良しになれて、よくしゃべってくださるようになったんですが、本当は照れ屋さんで恥ずかしがり屋さんなんですよ。

風間 シャイボーイ。

柴田 舞台では別人ですけど、本来は繊細ですね。でも飲むと別人ですよ。

風間 飲むとどんどん人格が変わるんです(笑)。最近は人にアドバイスや説教はしないんですが、昔、宮沢りえちゃんに、「ギリシャ悲劇みたいな芝居のしゃべり方したらあかん」と堤真一君や小池栄子ちゃんもいた飲み会の席で言ったら、りえちゃんが怒って、ポロポロと涙を流して、持っていたポシェットを投げつけて帰っちゃった。翌日、騒ぎすぎたせいか、稽古場で僕は声が出なくなって。心配したりえちゃんが、のど飴を持ってきてくれたんですが、メモが付いていて、そこに「ざまあみろ。罰が当たった」と書いてあったんですよ(笑)。

柴田 アハハハッ。かわいいし、そんなメモを書くりえちゃんもユーモアが効いていて素敵。

風間 自分の劇団の後輩にはアドバイスするでしょ?

柴田 最近はしないですね、辞めちゃうから(笑)。若手の人に踊りを教えてもらったりして世話になっているから、厳しいことは言わないです。褒めて、褒めて育てる。でも、優馬君には「あそこ、絶対こうやったほうがカッコいいよ」と言ったらやってくれましたけどね。彼は真面目に真摯に取り組む方だから。

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――大先輩から学びたいという気持ちがあるのでしょうね。

柴田 言われないよりは、言ってもらったほうが自分のためになるのでね。風間さん、私にも言ってください。もうあんまり先が長くないですから(笑)。

風間 今はパワハラになるからダメだけど、昔は徹底的に役者を痛めつける演出家がいたもんです。ある舞台で、「お前なんか役者やめちゃえ」と演出家が役者に言い、その役者から「風間さん、何とかしてください」とアドバイスを求められたから、休憩時間に3つぐらいアドバイスをした。いざ、稽古が始まったら演出家がその役者に、「勝手に芝居を変えるんじゃねぇよ、バカヤロー!」と(笑)。

柴田 アハハハッ。よかれと思ってされたのに。

風間 余計なことしなきゃよかった。それを境に、僕は一切、何も言わないようにしています。

――それはもったいないですね。お二人とも舞台には精力的に出演されていますが、風間さんは「絶対、やらない」と言っていたミュージカルに2本も出演されました。

風間 最初のミュージカルは命を削る思いでやったんです。しばらくしたらもう一本やってくれと。僕はつかこうへいに「踊っちゃいけない」と言われているほど、踊れない役者なんです。2本目の作品『バンズ・ビジット 迷子の警察音楽隊』は、踊りはないし、歌はアラビア語だから間違えても分かりませんと(笑)。それで受けたんです。

柴田 風間さんの歌、すごく好きです。

風間 また依頼があったとしても、踊りがあれば、ミュージカルは断ります。

柴田 でも、踊りますからね。頼みもしないのに、『大誘拐』でも踊っていましたから(笑)。

風間 優馬君が踊っている後ろで(笑)。誰も見てないからね。

柴田 いえ、客席からは見えていますよ!

風間 今回もはっちゃけるかもしれません。

取材・文/米満ゆう子




(2025年10月 7日更新)


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写真左より)柴田理恵、風間杜夫

舞台『大誘拐』
~四人で大スペクタクル~

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード:534-625
▼11月7日(金)18:30
▼11月8日(土)14:00
サンケイホールブリーゼ
全席指定-9800円 
U25(1階バルコニー席)-3000円(公演当日25歳以下の方が対象/要身分証)
[出演]中山優馬/柴田理恵/風間杜夫/白石加代子
※未就学児童は入場不可。U25(1階バルコニー席)は、ステージの一部が見えづらい可能性があるお席となります。予めご了承ください。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

公式サイト
https://daiyukai.com/

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