ホーム > インタビュー&レポート > お客さんも参加してメンバーの一員に! 『STOMP』が22年ぶりに来阪
――まず、皆さんのバックグラウンドと『STOMP』に参加した経緯を聞かせてください。
アダム・バックリー(以下、アダム):僕はロンドン出身のタップダンサーで、クラシックバレエの学校に16歳から19歳まで行き、リズムタップと呼ばれるタップダンスも学んだ。ウエストエンドで『STOMP』のショーを見て、やりたいと思い、3回目のオーディションでやっと合格したんだ。
フィリップ(フィル)・バチェラー(以下、フィル):僕はイギリス出身で11歳からドラムをたたき始め、それ以降、いろんなものをたたき続けている人生です(笑)。15歳の時に学校で清掃員のアルバイトをしていて、音楽室にドラムセットがあるのを発見して、そこでドラムを叩いていたら、音楽の先生が来て。怒られるかと思ったら、『STOMP』のビデオを見せてくれて、その存在を知ったんだ。ダンスのプロじゃなくてもOKだと知って、大学生の時オーディションを受けて合格し、参加したら楽しくて、そのまま18年間居続けることになったんだ。
ジャスミン・ジョイナー(以下、ジャスミン):私はニューヨーク出身で、4歳からダンスを始め、ロサンゼルスに行ってダンサーになるのが夢だったの。『STOMP』はオーディションに慣れるための訓練として受けたんだけど(笑)、オーディションでいろんな動きをするのが楽しくて、やってみたいなと。タップダンスやアフリカンダンス、チアリーディングなど今まで私が経験してきた要素も取り入れながら、自分らしくもできるのが魅力ね。
ショーン・パーハム(以下、ショーン):僕もニューヨーク育ちで、子どものころからドラムセットと一緒に育ったんだ。10歳のときに、両親が『STOMP』の公演に連れて行ってくれて、「これって仕事にできるの?」と思わず聞いたぐらい(笑)。大学でクラシック音楽やマリンバを学び、卒業後は舞台俳優も始めた。『STOMP』はどうしてもやりたかったから、オーディションはアダムと同じく3回受けて遂に合格した。今、自分の人生はほとんど『STOMP』で占められていて、ここにいること自体が夢みたいなんだ。
――STOMPERになるには、身体的、音楽的にも高度な技術が必要だと思います。どんなスキルが必要ですか?
フィル:僕らはミュージシャンやダンサーなどいろんなバックグラウンドを持ったメンバーの集まりだけど、確実にリズムセンスがいるね。あとは人と一緒にうまくやっていける能力。
ショーン:ジムに行ってウエイトトレーニングをするメンバーもいるよね。ショーのために鍛える筋肉がものすごく独特だから。
フィル:『STOMP』にふさわしい筋肉。
ショーン:そう。ショーをやって身体を馴らしていくしかない。100分間ノンストップだからすごいスタミナと持久力が必要で、それをまず筋肉に覚えさせる。ショーをするのが一番のトレーニングなんだよね。
アダム:カンパニーに入ってまず2週間半は朝からみっちりトレーニングをしたんだ。初めは考えることもできないほど、脳みそがどっかに飛んで行ってしまった。でもいろいろな発見があって、すごくいい経験をしていると思う。
――大阪では22年ぶりの来日公演です。初めて見る人が多いと思うので、皆さんが思う見どころを教えてください。
アダム:ショーのすべて(笑)。
フィル:お客さんは最初は見ているだけだけど、メンバーが「手をたたいて、リズムをとって」と盛り上げるから、段々、お客さんも何かたたきたくなったり、リズムをとりたくなったりして、『STOMP』のメンバーになっていく感覚。メンバーが8人だったとしたら、お客さんが9人目だね。
ジャスミン:皆、音楽やムーブメントに夢中で、なかなか気づかないかもしれないけど、ショー自体は本当に面白くて笑えるの。私が観客として見た時は、音楽とダンスだけではない、それ以上のものがあると思った。しゃべらなくても物語性があるし、私の9歳の弟や85歳の祖母も見に来て同じように楽しんでくれた。あらゆる世代が楽しめるから、どこも見逃せないわね。
ショーン:ペンキ缶や新聞紙、チューブなどを使う色んな演目があるけど、僕が思うのは2つで、お客さんとのエネルギッシュな交流とメンバーの団結力だね。僕らは舞台でキャラクターを演じているけど、それはほぼ僕らそのものなんだ。また、即興のシーンもあって、僕がデッキブラシを使った「ブルーム」という演目をやるときは、感じたままにデッキブラシでリズムを取っている。ソロのシーンでは色んなところを変えるから、毎回、違うよ。アメリカで『STOMP』を30~40回も見たことがある熱狂的なファンがいて、「今日はアラバマで見たけど、ここが違ったね」と言ってくれたんだ。それにメンバーは皆、仲のいい友人だし、ストンプファミリーと呼んでいて、その絆はショーを見てくれたら分かると思うよ。
――そのデッキブラシを使う「ブルーム」は、激しい動きなので、公演中、ヘッドが取れて舞台に転がったことがあるそうですね。
全員:毎回だよ(笑)。
――ヘッドブラシは1本につき、どのぐらいもつのですか。
ショーン:人によるね(笑)。
ジャスミン:私は1本をショーの終わりまで使えるわ。
アダム:たくさん壊すよね。ものにもよるけど、たわむと壊れやすい。
――スタッフによると、10週間のツアーでデッキブラシは300本、ゴミ箱の蓋は100個、必要だそうですね。
全員:アッハッハ。そうそう。
フィル:でも、捨てるのではなくて、ツアーの後にちゃんとリサイクルして使うんだよ。
――今回、ビニール袋など色んな小道具が登場しますが、どれが一番難しいですか。
ジャスミン:スーパーマーケットのカートね。とても重くて、カートをコントロールしながら回したり、動かしたりしなきゃいけない。すごく難しい。
ショーン:僕はドラム缶をたたく「ウォーカーズ」という演目。大きくて重い20キロぐらいのふたつのドラム缶にスキーブーツがついていて、そこに片足ずつ入れて、ドラム缶を動かして音を鳴らすんだ。腸腰筋やお尻の筋肉をやられるね(笑)。
フィル:僕は暗転して照明が付いたり消えたりする「ポルターガイスト」という演目。暗闇の中に突然ものが出てきて消える演出なので、どこに何があるかを覚えてないといけないし、それをメンバーがたたけるように、位置を覚えるのが難しいんだ。
アダム:確かに。ほかの演目は練習を繰り返して、筋肉が覚えるんだけど、「ポルタ―ガイスト」は、ものが飛んできて、メンバーにそれを渡すので、すごく大変なんだ。
――日常生活でも、つい、何か音を鳴らしてしまったりしますか。
全員:しょっちゅう(笑)。
――アフリカンダンスやラグビーのハカ、サムライ風の殺陣など、シーンによって、いろんな文化が交じり合っているように感じます。
ショーン:各パフォーマーのバックグラウンドを感じると思うよ。ジャスミンと僕は同じグループでトレーニングを受けていたんだけど、ゴミ箱と蓋を使う演目は、僕は得意じゃないんだ。でもジャスミンはそれをすごくうまくダンスで表現している。彼女ならではの動きと、僕のドラムのリズムの刻み方も、ほかにはない僕独自のものだと思う。個々のパフォーマーの個性とそれに付随する文化が表現されていて、それがショーが進化し続けている理由だと思うよ。
ジャスミン:今回、「スカート」という、腰に缶や鍋を付けてそれを叩くという演目があるんだけど、それを作った女性はカリブ諸島出身なの。もともとブラジルのリズムだったものに、彼女がカリビアンの動きを取り入れているから、ぜひ、見てほしいわ。
――最後にメッセージをお願いします。
ショーン:大阪に呼んでくれてありがとう! 22年ぶりなので、一番最高のショーをお届けし、借りを返します。
ジャスミン:絶対、見逃さないでね。次はいつ大阪に来られるのか分かんないわよ(笑)。
フィル:小さい子どもからお年寄りまで楽しめるので、皆さんもぜひ参加してください。
アダム:高級な楽器だけではなく、家にある日用品でも音を出して、音楽は身近なもので楽しむことができると伝えたい。ショーの後は台所で色んなものを鳴らしてみてね(笑)!
取材・文:米満ゆう子
写真:Steve McNichola
(2025年8月22日更新)
【東京公演】
▼8月20日(水)~9月2日(火)
東京国際フォーラム ホールC
チケット発売中 Pコード:532-909
▼9月6日(土)・7日(日)
(土)13:00/17:00 (日)12:00/15:30
オリックス劇場
STOMPシート-12800円(1階席5列目以内)
S席-10800円 A席-8800円 B席-6800円
[出演]STOMP ストンプ カンパニー
※3歳以下入場不可。チケットはお一人様1枚必要(ひざ上での鑑賞は不可)。公演中止の場合を除き、お客様の体調不良によるチケットの払い戻しは致しません。出演者の変更による払い戻しは致しません。車椅子をご利用のお客様は、キョードーインフォメーションまでお電話にてお問合せ下さい。公演当日は、収録やメディアによる取材が行われる場合がございます。予めご了承ください。
※チケットは1人1公演6枚まで。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888