ホーム > インタビュー&レポート > 人気ゲームシリーズ「悪魔城ドラキュラ」を、 宝塚歌劇がオリジナルストーリーで舞台化!
多彩なアクションで魅せる
永久輝が演じるのは、ドラキュラ伯爵と人間との間に生まれた青年・アルカード。ゲームシリーズのうち「月下の夜想曲」の主人公として登場するキャラクターだ。「母親が人間に"魔女"だとされて殺されてしまい、そのため、父親であるドラキュラ伯爵は人間に復讐をしようとします。でも、アルカードは"復讐をさせないでほしい"という母からの遺言を受け、それを自分の宿命として生きています。アルカードは400歳でして(笑)、400年間生きているとはどういうことなのか模索中です。人に対する接し方や、意外と人間らしい部分もあるのではないかという点にも着目しています。立ち居振る舞いから、400年生きてきた彼から出る孤独感や虚無感が滲み出るよう、アルカードという役を突き詰めたいです」。
前回の大劇場公演『エンジェリックライ』では天使を演じた永久輝。2作続けてのファンタジー作品だが「役を深めていく作業は人でも人でなくても同じ感覚です。人間ではないキャラクターが中心に描かれている作品だからこそ、人間の良さや強さ、弱さが浮き彫りになると思います。そうした部分をうまく表現してお届けできればと考えています」と話す。アルカードの他にも個性的なキャラクターが多く「私以外にもヴァンパイアや、魔物、コウモリなどが登場しますので、人間ではない役の方が多いのではないかと思います。しかも大きな斧を持っていたり、マントをつけていたりしますので、稽古場がちょっと独特な雰囲気です(笑)」。
アクションシーンの多い今作。永久輝の新たな挑戦も見られそうだ。「もともと、アルカードがどんどんボスを倒していくというゲームなので、基本的に私がすべて戦わなくてはいけません。自分で数えるだけでも立ち回りが9場面あり、剣で戦う場面もあれば、LEDパネルを使った立ち回りや、ダンスで見せるシーンもあります。1対1の戦いや、ボスと多くの魔物がいる中で戦う場面など、様々なアクションシーンがあるので、お客様も飽きずにご覧いただけるのではないかなと思います。これだけの量の立ち回りを毎日同じクオリティでお届けできるよう、今、お稽古しています。敵を倒すごとにアルカードが成長していき、最後の敵にたどり着くというドラマ性がとても大事だと思うので、そうした部分も感じていただけるよう挑戦していきたいです」。また、組を率いる中で、ダンス力の高まりを感じている永久輝。「今回の作品でも活かせられるのではと思っています。生の舞台で、目の前での迫力を感じていただければうれしいです」。
トップ娘役・星空美咲が演じるのは、若きヴァンパイアハンターのマリア・ラーネッド。ふたりの関係性にも注目したい。「マリアはゲームでも人気のキャラクターです。今回はオリジナルストーリーで、幼少期のマリアをアルカードが助けたという設定があります。そこからマリアはずっとアルカードに憧れて、いつか共に戦いたいと願いながらヴァンパイアハンターとして生きてきました。マリアと出会うことで、アルカードが人間の良さや、両親に対しての気付きがあり、二人の距離が近づいていく様子もお楽しみいただければと思います」。
宝塚らしさあふれるロマンチック・レビュー
第二部のレビュー『愛, Love Revue!』は岡田敬二が作・演出を手掛けるロマンチック・レビューのシリーズ第23弾。華やかで美しく、香り高い宝塚歌劇ならではのオリジナルレビューだ。「本当に盛りだくさんの印象です。お客様が息をつく暇もないくらい、後半にかけて畳みかける展開があります。私自身、今まで出演してきたレビューの中でも、ここまで宝塚らしさあふれるものは初めてではないかと思うほど、宝塚歌劇の魅力が詰まっています」。中でも、永久輝にとって今回の挑戦は「名場面のオマージュ」だと話す。「いくつかのオマージュシーンがあり、そこにかける思いはとても覚悟のいるものだと実感しています。もちろん、自分が初めて作る場面も挑戦ですが、歴代の素晴らしい先輩方が思いをかけて作ってこられた場面に挑戦するということは、男役としても、宝塚の一員としても、とても気合が入ります」。
また、2023年の『GRAND MIRAGE!』でも岡田敬二作品に出演した永久輝。そのレビューの魅力は「宝塚への愛の深さ」だと語る。「稽古場でも岡田先生が宝塚を愛されていることを強く感じますので、先生のもとで作品に携われることはとても幸せです。今回の作品は、スタイリッシュでクールなイメージです。先生の作品に共通しているのは、男役と娘役が最大限素敵に見えることだと思いますので、男役としてどう見せるか、どう表現するかを追求していきたいです」。
トップスターに就任して約1年、「毎日必死です」と話す永久輝。理想のトップ像については「人前に出ることがあまり得意ではないんです」と苦笑する。だからこそ、花組の仲間たちと共に進んでいきたいという思いが強くある。「みんなと作る空間がすごく好きで。グイグイと先頭に立って引っ張るというよりも、組を見渡しながら、一緒に作っていける立場でありたいと思っています。そのためには視野を広く持ち、この作品がどのようなものか、どの方向に進んでいくべきなのかを早くとらえて周りに伝えたり、組のみんなが今何を考え、どう表現したいのかを、できるだけ気付いてあげられたらと思っています」。
取材・文/黒石悦子
(2025年6月11日更新)
チケット発売中
▼7月20日(日)まで上演中
宝塚大劇場
SS席-12500円 S席-8800円 A席-5500円 B席-3500円
[出演]永久輝せあ/星空美咲/他
※3歳以上は有料。
[公演に関するお問合せ]宝塚歌劇インフォメーションセンター 0570-00-5100
公式サイト
https://kageki.hankyu.co.jp/
【ぴあ貸切公演】
7月9日(水)15:30 宝塚大劇場
8月31日(日)15:30 東京宝塚劇場
【宝塚大劇場公演 千秋楽 ライブ中継】
7月20日(日)13:00 全国各地の映画館