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河原の丁寧な演出でKERAの台詞がより鮮明となり
多彩なキャストのチャーミングさで笑いと恐怖が際立つ
KERA CROSS 第六弾『消失』観劇レポート

ケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下、KERA)の過去の戯曲を、才気溢れる演出家たちが新たに立ち上げる連続上演シリーズ《KERA CROSS》。その第六弾で、新シーズン一作目となる『消失』が、1月18日に東京・新宿の紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAで幕を開けた。

shoshitsu_0606_r.jpgKERAが主宰する劇団、ナイロン100℃の本公演として2004年に初演、2015年に再演され、また現在までに国内外さまざまなカンパニーによっても上演されているKERA戯曲の中でも人気が高い本作。今回演出を担うのは河原雅彦、KERA CROSS 第三弾『カメレオンズ・リップ』(2021)、『室温~夜の音楽~』(2022)につづいてKERA戯曲の演出は3度目となる。

物語はクリスマスの夜、兄弟が暮らす家に集まった6人の"善意"がかけ違うことによって日常が破滅していくさまが描かれる。劇団公演では大倉孝二が演じた兄チャズを藤井隆が、みのすけが演じた弟スタンリーを入野自由、客演の八嶋智人が演じたガス修理業者ジャックを岡本圭人、三宅弘城が演じた闇医者のドーネンを我が家の坪倉由幸、犬山イヌコが演じた弟が想いを寄せるスワンレイクを佐藤仁美、松永玲子が演じた家を間借りしにきたネハムキンを大人計画の猫背椿が務める。

shoshitsu_1048_r.jpg劇団での上演が伝説として今も語り継がれている名作だけに、どのように創られるのか想像もつかない方が多いのではないだろうか。その予想を見事に裏切るかのように、まさに本シリーズのテーマのひとつである"異なる味わい"になっている。

shoshitsu_1510_r.jpgとにかくキャスト6名のチャーミングさを最大限に生かしたことで、KERA戯曲独自の笑いと恐怖、そして台詞の面白みが際立った。河原の演出により、極論すれば、モノクロからカラーへ、近未来から現在へ、寓話から記録へと変化を遂げた印象。それにより、兄弟のみならず、登場人物すべてに温かみや愛情を感じられ、現在の世界情勢も影響してか舞台上のディストピアが身近なものとなり、胸が締めつけられる。実に残酷な物語であるのに人間讃歌にも思えるのは、このカンパニーならではだろう。

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音楽、舞台美術、照明、衣裳などのスタッフワークも大きく作用しているのは言うまでもない。クールで文学的だった『消失』が、ロマンティックなエンターテインメントへと立ち上がった。熱を帯びているぶん、消え失せていくさまが哀しい。本公演開幕直前、残念ながら映画監督デイヴィッド・リンチが旅立ってしまったが、KERAがリンチ作品からも影響を受けているのを『消失』からも見い出せるかもしれない。

shoshitsu_1990_r.jpg東京公演を終え、大阪は2月6日(木)・7日(金)、サンケイホールブリーゼにて上演。チケット発売中。




(2025年2月 3日更新)


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KERA CROSS 第六弾『消失』

チケット発売中 Pコード:530-350
▼2月6日(木)18:30
▼2月7日(金)13:00
サンケイホールブリーゼ
全席指定-10500円 U25★-4800円(当日座席指定引換券)
[作]ケラリーノ・サンドロヴィッチ
[演出]河原雅彦
[出演]藤井隆/入野自由/岡本圭人/坪倉由幸/佐藤仁美/猫背椿
※未就学児童は入場不可。U25★(チケットぴあ前売のみ取り扱い)は観劇時25歳以下対象・当日座席指定引換券・要身分証提示。お座席はお選びいただけません。
[問]ブリーゼチケットセンター■06-6341-8888

公式サイト
https://www.cubeinc.co.jp/archives/theater/keracross_6

「KERA CROSS 」X (旧Twitter)
https://x.com/keracross2019

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