ホーム > インタビュー&レポート > 7ORDER・阿部顕嵐が初プロデュース×主演のミュージカルが大阪に
――まず、先に行われた東京公演の手ごたえを教えてください。
ライブパフォーマンスをはじめ、歌や踊り、芝居もあり、新しい感覚の、いい意味で観客を裏切る作品になったと思っています。最初は、お客さんがすごく緊張していて、どう反応すればいいか戸惑っていて、演者と観客が探りあっている時間があったのが「これが生のやりとりだな」と感じて面白かったです。中盤ぐらいのコミカルなシーンで、お客さんの緊張がほぐれ、物語が理解できてきたように感じました。僕も初めて台本を読んだ時は理解しきれなかったんですが、後半になるにつれ分かってくるという作りがこの作品の面白いところです。
――初めてプロデューサーとして作品を手掛けることになりました。
オファーがあり、ぜひ、やらせていただきますと。約1年前から演出家や脚本、キャストの大枠は決まっている中でスタートしましたが、長かったですね(笑)。僕はキャストとしてもオファーがあったので、ありがたいなと。
――もともとプロデューサー業に興味はあったのでしょうか。
ないといったらウソになりますね。でもやるとしたら30歳を超えてからかなと思っていました。
――どのように作品にかかわりましたか。
まずは、チラシやポスターのビジュアルをどうするか。主題歌のMVも作ったんですが、劇場で撮りたいと提案させてもらいました。
――チラシもMVもビジュアルはクールな感じです。
肌を感じるぐらい生っぽく、または、抽象的すぎない絵画っぽくとりたいとか、色々提案した結果、生っぽく、かつ人を感じるようなビジュアルに落ち着きました。2.5次元の舞台を中心に活躍しているキャストもいるから、この作品ではコンテンツ内の世界だけではなく、人として感じるものを打ち出したいというのがありましたね。
――舞台ではどのようなお仕事をされましたか。
この間、ニューヨークに1カ月近く行っていて、ブロードウェイの作品を15本ぐらい見たんです。今回の演出は松崎史也さんなんですが、「ブロードウェイの作品のあの部分の照明が良かったんです」とアイデアを提案したら、史也さんが「めちゃくちゃいいね」と取り入れてくださいました。またダンスの時は、振付担当の侑くん(福澤)とも「照明をもっとこうしたい」と提案して話し合って作りました。史也さんも「もっと若い風を入れたい」と、僕たちに"全任せ"してくれたんです。
――ニューヨークには、今回プロデュースすることが決まって行ったのですか。
それも込みですね。僕は英語をずっと勉強しているんです。それにプロデューサーという大義名分があるから、仕事といえるなと(笑)。旅が好きというのもあるんですが、仕事にも還元できました。めちゃめちゃいい刺激になりましたね。エンタメは最先端といえば最先端ですから。
――海外でもやってみたいという思いはありますか。
もちろんです。この作品を海外に持っていきたいというのはコンセプトの一つですし、海外の作品にも出てみたいです。
――今回、作品の筋や役柄が伏せられているのはなぜでしょうか。
役柄の名前が入ると、他者と自分との間に境界線ができるけど、あやふやなほうがお客さんも感情移入しやすいんじゃないかと思うんです。ライブがあったり、パペットが出てきたりしますが、僕らも最初、稽古場で「これは何だろう? 先が読めない展開だな」と。
――「これは何?」という引っかかりが、稽古を重ねるうちに腑に落ちてきたということですか。
そうですね。伝えたいメッセージやテーマは分かるんですが、細かいところまでは捉えきれない。脚本を書いた小沢道成さんに聞くと、「捉えきれてないのが正解だ」と。世の中と一緒で、「正解がない、正解は見つかることはない」というのがこの作品のテーマだから、やっていて不安もあるんです。それも小沢さんに言ったら「蜷川幸雄さんが『不安と自信を共存させて演じるのがいい役者になることなんだよ』と言っていた」とおっしゃっていて。だから感覚的には間違っていないんだと思いました。
――役にはどのようにアプローチしましたか? 難しい役ですよね。
難しいですね。基本的には、小沢さんが、キャスト6人全員にあてがきしたんです。小沢さんは、その人の抱えているものや性格が分かるらしくて、すごいなと思いました。
――阿部さんも自分のことが描かれていると?
そう思うところもあるし、違うところもあります。なるべく自然体に、作りすぎずというのは意識しました。
――ギターを弾き語りするシーンがあります。
エレキギターを軽くやっていたんですけど、アコースティックギターの弾き語りをしたことはなかったので、すごく練習しました。ハードルが高くて、ギターと友達になる日々で、指が痛いを通り越して硬いです(笑)。
――今回、プロデューサーをやってみて、またほかの作品も挑戦したいですか。
ご縁があったらやりたいです。今も自分が携わる作品は脚本を読んで、「ここをこうしたい」というのを言うようにしています。自分で責任を持つというか。人に意見するのはパワーを使いますが、文句やわがままではなく、作品を良くしたいからこそ言っています。相手もそれをくみ取ってくれるので、今は言うのが怖いと思わなくなりました。今回、プロデューサーとして、自分の意見を言える機会をより多く持てたことに感謝しています。全方位に自分の思っていることは伝えたいですし、何かを聞かれたら即答できるようにしていました。相手を迷わせてしまったらいけないですし、一つの指針となるように心がけています。
――大阪公演は間もなく開幕です。
6人のすごいパワーで楽しんでもらえると思います。自分でいうのも何なんですけど、ビジュアルとパフォーマンスがカッコよくて綺麗な世界観で作っている上に、演劇としてのテーマやメッセージ性もある。カッコよさを求めている人や、難しいメッセージを読み解きたいと思っている人など、幅広い方に来てほしいですね。
――ラストも考えさせられますが、毎回、感じるものは違いますか。
毎回、気づきはあります。僕は禅や哲学が好きで、今日も禅の本を持参しているんです。世の中、諸行無常だという考え方が好きで、人生、何をしても結局、骨になるだけですから(笑)。それでも、目を開けて、前を向いて歩いていこうというのがこの作品のテーマですし、人生もそうかなと思います。どうすれば幸せになれるかと考えた時に、いい記憶や楽しい体験をたくさん作ったもん勝ちだと。この作品に「この日のことを一生忘れないだろう」という歌があるんですが、そんな瞬間を一秒、一秒作っていくのが大切だと思っています。
取材・文/米満ゆう子
ヘアメイク/新田彩加
撮影(舞台写真)/小境勝巳・佐藤 薫・高田真希子
(C)「blue egoist」製作委員会
(2024年12月 6日更新)
チケット発売中 Pコード:529-194
▼12月6日(金)13:00/18:00
全席指定/当日引換券-12500円 サイドシート/当日引換券-9900円
▼12月7日(土)・8日(日)12:00/17:00
全席指定/当日引換券-13500円 サイドシート/当日引換券-9900円
オリックス劇場
[演出]松崎史也 [脚本]小沢道成
[音楽]和田俊輔 [振付] REX
[プロデューサー]阿部顕嵐
[出演]阿部顕嵐 七海ひろき 立石俊樹
福澤 侑 高橋怜也 後藤 大
※未就学児童は入場不可。車椅子でご来場の際はお座席までのスムーズなご案内のため、チケットご購入後、必ずご観劇の2営業日前までにご連絡ください。お連れ様がご観劇される場合もチケットは必要です。なお、ご購入の席種によりましては、差額が発生する場合がございます。予めご了承ください。
[問]Mitt■03-6265-3201(平日12:00~17:00)
公式サイト
https://blueegoist.com
Official X
https://x.com/OF_blueegoist