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立川談笑を上方に迎えて贈る「談笑・春蝶 二人会」

10月19日(土)に大阪・扇町ミュージアムキューブCUBE 01にて「談笑・春蝶 二人会」が控える桂春蝶。東京・立川流の立川談笑とは初めてという春蝶。一体どんな会になるのでしょうか。

――昨年10月にオープンした扇町ミュージアムキューブですが、落語の公演として最初に出演されたのが春蝶さんとお聞きしました。扇町ミュージアムキューブの印象はどうでしたか?

やりやすかったですよ。客席と一体化するというか。客席が(角度の高い)ひな壇になっている感じも良かったし、やっていて気持ちよいホールでした。お客さんも見やすいんじゃないかなぁ。

――今回は立川談笑さんとお二人会ということで、きっかけは何かあったんですか?

それが知らないんですよ。なんでこうなったのか...(笑)。イベンターさんが談笑兄さんと僕を選んでくださったので、僕は人選に関与していないんです。なので僕もイベンターさんに聞きたいです(笑)。

――談笑さんとのご共演は?

初めてです。もう、ご挨拶からですよ、この日は。「初めまして!」というところから始まります。「立川」という屋号を聞くと、どんな噺家も構えるというか。格闘技でたとえるとグレイシー一門みたいな感じがしますよね(笑)。「グレイシー」とついているだけで、めちゃめちゃ強いと思っちゃう。だから、いい意味での怖さもあります。でも、怖いと思えないと良い二人会にはならないですからね。立ち技なのか、寝技なのか、談笑兄さんは今回、どんな技を持ち込まれるのか。「共演」というより「競演」になると思うので、すごく楽しみです。

――「立川」と聞くと圧が強い感じがしますね。

そうです。談志師匠に育てられたという、ものすごく厳しいところで技を磨いてきたみたいな印象ですね。そこで認められた方ですから、例えば少林寺から降りてきた人とか、永平寺から降りてきた人みたいな、すっごい高いハードルを乗り越えてきはったんだなあという印象はあります。

――この二人会では、昼の部は談笑さんがトリで、夜の部は春蝶さんがトリとのことですが、どんなネタをやろうと?

談笑兄さんのネタもありますから、現時点では何とも言えないんですけど、今、自分がやって一番気持ちいいネタになると思います。

――春蝶さんは、柳家喬太郎さんの「母恋くらげ」や、(先代で父である)二代目春蝶さんの噺もされていますが、ご自身の「落語で伝えたい想いシリーズ」とはまた違う新作もやっているんですか?

それはやっていないです。たとえば、僕は古典も自分の脚本で書くのが好きなので、春蝶カラーに染めた古典になります。談笑兄さんもそのタイプじゃないのかな。「この古典を自分の解釈で書くなら、こういうことかな」という。

――談笑さんも古典にインパクトのあるタイトルを付けられますよね。「芝浜」を「しゃぶ浜」、「紺屋高尾」を「ジーンズ屋ようこたん」、「蒟蒻問答」を「シシカバブ問答」とか。アレンジも割とハード系なのかなと思ったので、談笑さんとは正反対の個性の春蝶さんとの組み合わせは楽しいのかなと思いました。

今回のチラシも二人のバックの色が青と赤でくっきり分かれていますけど、こういう二人会でいつも思うのは、たとえば自分の(個性としての)色は青、談笑兄さんが赤としますよね。それを、相手の影響を受けて自分の色が変わっちゃうのは良くないと思うんです。自分は青やったら青のまま堂々とやるし、向こうも赤のまま。その色をブレンドして紫にするのはお客さんなんですよね。どっちの色がいいかなと思うのもお客さんです。なので、自分がいつもやっていることを堂々とやれば、こういう二人会は成功すると思います。

――東京の方との二人会の機会は?

僕はだいたい柳家花緑兄さんとの会が多いですね。でも、上方の落語家同士でも、あんまり二人会はやらないです。

――では最後に、「談笑・春蝶 二人会」にかける意気込みを、改めていただけますでしょうか。

東京の方を大阪にお迎えするのですが、上方っぽさとか、江戸っぽさというのが、いい意味でそんなにない二人なのかなと思います。それぞれ上方、江戸のバックボーンは背負っているけども、「ザ・江戸落語」、「ザ・上方落語」という枠にあまりとらわれていないというか。談笑兄さんも独自の形でやっている方なので、この二人会をご覧になったお客さんがどう反応してくださるのか、すごく楽しみです。

取材・文:岩本
撮影:福家信哉




(2024年10月18日更新)


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桂春蝶

「談笑・春蝶 二人会」

▼10月19日(土) 13:00/17:00
扇町ミュージアムキューブ CUBE01
全席指定-4000円
[出演]立川談笑/桂春蝶
※未就学児童は入場不可。
[問]ページ・ワン■06-6362-8122