大ヒットアニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」を
原作スタッフがスピンオフ作品として舞台化
最終章となるシリーズ第三弾が上演！

――初演は大盛況となり、原作ファンからも大きな反響があったのではないでしょうか。

鈴木　原作アニメのスタッフが携わっており、作品の世界観を逐一聞くことができる良い環境の中で作ることができました。原作本編にはないオリジナルストーリーですが、しっかりとPSYCHO-PASSの世界観で、考察したい作品ファンには足りない部分を埋める素材にもなり、実写化している意味のある舞台になっていたと思います。

――舞台上にカメラを多数仕込み、映像を駆使する演出の面白さも印象的でした。

鈴木　やっぱり本広監督が居たことによる演出だったし、どんどん広まればいい手法だと思いました。GoProを複数仕込んでいて、お客さんからは目立つことなく、その場所に立ったら映像がリアルタイムに流れる。

和田　前衛的で凄いですよね。

鈴木　それが事件のトリックにも使われていたり、監視社会としての一面も表現できていた。あれは発明だったと思います。

――今作も脚本は原作シリーズを担当する深見真さんが手掛けていますが、どのような内容に？

鈴木　九泉が監視官として戻ってきます。ということは、第一弾をご覧になった方はわかると思うんですけど、最後の場面から生き残ったんだ？と。じゃあ嘉納（和田琢磨）は？というところも、きちんと今作で語られるのでご安心ください。九泉の過去にも触れる機会があるんですけど、そこでシビュラシステムが九泉に対してどう思ったのか、だから九泉を選んだのかな、と思うような伏線も盛り込まれる形になっているのかなと思います。九泉はメンタルケアなども受けた状態で戻ってくるので、活躍できるかは劇場で御覧ください。もしかしたらポンコツになっている可能性もあるので（笑）。

――そして和田さんは新たな監視官・海堂自我として登場します。

和田　メインキャストが和田（琢磨）から和田（雅成）になりました。そこだけスタッフさんが間違えずに大丈夫かな？と心配だったんですけど（笑）。

鈴木　何かのミスリードかな（笑）。

和田　何か問題があったときは和田琢磨のせいにして、良いことだけ僕のものにします（笑）。演じる海堂はとても真面目で、ザ・監視官という役柄ですね。

鈴木　ストーリーもすごくPSYCHO-PASSシリーズらしい印象を受けました。今回も皆さんのご希望どおり、もどかしい展開が結構あります！なぜ生きているのか、正しいとは何なのか？を訴えかけてくる作品なので、「いつものPSYCHO-PASSだ！」と感じてもらえるのではないかな、と思いますね。

――楽しみな部分や期待できることは？

鈴木　やっぱりセットの使い方が面白かったのでそれは気になります。あと、音楽がすごくイイ！ロックなテイストの曲とか流れると本当にテンションが上がるので。

和田　そもそも凛として時雨さんが主題歌を作ってくれますもんね。アニメを観ていてもあれだけでテンションが上がるオープニングだったりとか。

鈴木　舞台の方も初演から音楽を提供してくださったのですが、もうカッコいい！

和田　あと個人的に楽しみなのは、やっぱりドミネーターですね。ビジュアル撮影のときも持ちましたけど、舞台上でも拡樹くんとドミネーターを構え合うシーンは楽しみです。

――お二人の掛け合いも楽しみです。

鈴木　新鮮な絡み方かもしれないね。

和田　確かに僕と拡樹くんって深い役はなかったですもんね。

鈴木　本音がぶつかり合うのって、共演している舞台「刀剣乱舞」では一瞬しか描かれないじゃない。基本的に三日月は真っ直ぐ来られてもすかしちゃってるから。だから、真っ直ぐ喋り合えるのは初めてかもしれないですね。そこが楽しみです。

――このシリーズは脚を使ったアクションがとても目を引きました。

鈴木　蹴り技かぁ。それはキャラクターによってもルーツがあると思います。元軍人のキャラクターもいたりと、アクションがキャラクターごとに違っていて楽しかったんですよね。

和田　確かに、蹴り技が多い印象ですね。観ていて、めっちゃ蹴るな！と思いました。

鈴木　革靴なので蹴る方もなかなか怖いんですよね。でも割とリアルっぽいアクションシーンが多いので、エンタメ寄せよりはどちらかというと生感のあるアクションですね。

――では、お互いの色相の色や犯罪係数はどれくらいだと思いますか？

鈴木　彼の色相は常守監視官と同じ感覚でパウダーブルー。犯罪係数についても監視官になれるタイプだと思っているので、シビュラが適正ありと判断しそうなレベルだと思います。責任感の強さと真っ直ぐさが良さだと思うし、この世界観が実際にあったら、たぶん彼は監視官をやっていると思います。

和田　嬉しい。拡樹くんは犯罪係数0ですよ！ずっとどこで測っても0！色相もクリア！

鈴木　それはそれで怪しいから職質かけたほうがいいと思う（笑）。

和田　彼は鈴木拡樹というヘルメットを被っています（笑）。それは冗談ですけど、拡樹くんはどのカンパニーに居ても絶対的な安心感がある。彼が判断することの間違いのなさと、ナチュラルにそれをやっている。

鈴木　僕も頑張ろうと思っていた時期があって空回りしていたのもわかるし、どうやったらみんなを頼れるんだろう？という考え方にシフトチェンジしてからうまくいくようになったんだと思う。今はみんなをとても頼っています。

――PSYCHO-PASSシリーズの魅力は？

鈴木　「こう考えてみてください」という提示がうまいなと思います。安全が保障されている世界で自分の才能に合った職業も判断してくれるけれど、それが本当に幸せですか？という問いかけであったり、考えるきっかけをくれているところが単純にストーリーを観るだけじゃなくて考える時間が楽しい作品でもありますよね。

和田　舞台の面で言うとやっぱりアクションが魅力だと思いましたし、キャラクター一人ひとりがわかりやすい。アクションにしてもこの人は軍に居たんだな、とか。登場人物の設定に置いていかれないというのが一番の魅力なんじゃないかなと思いますね。でもアニメもそうですけど、舞台版も結構残酷な死に方が多いですよね。

鈴木　本当に報われない！みたいなところも、切なくはありますけどシリーズの魅力だったりしますよね。彼がもしこの先も生きていたら......と想像させる部分がうまいなと。役者側も少しでも愛される要素を作っておくことによって死ぬときの衝撃であったり、逆に嫌われているキャラが一瞬美しく輝いて昇華して散ったり、生き様を美学にしているところもあるのかなと感じます。

取材・文／能一ナヲ
撮影／森 好弘

スタイリング／中村美保
ヘアメイク／堀江裕美

鈴木拡樹〈コート〉DIET BUTCHER/Karaln　〈シャツ〉GalaabenD/Karaln　〈パンツ〉nude:mn/Karaln
和田雅成〈ジャケット〉incarnation/Karaln　〈シャツ〉GalaabenD/Karaln 　〈パンツ〉DIET BUTCHER/Karaln

（2024年3月 1日更新）