ホーム > インタビュー&レポート > 落語が沁みる、喬太郎にハマる 柳家喬太郎インタビュー
「落語家は60歳からが1番イイ」という話があります。
よく"60代は噺家として一番充実する"って言われるのですが、うちの大師匠・柳家小さんは『のぼるのは六十まで。六十からはくだっていくんだ』って言われていたらしいです。一方で、昭和からの落語ファンは『年を取ると噺家は味が出る。70代、80代ではさらにね』って言われます。それなら、自分に都合のよい年の取り方をしようと思っています(笑)。2024年秋には35周年を迎えますが、50年、60年とやられている先輩方も多くいらっしゃいますので、自分の35周年なんてまだまだだなと思います。
喬太郎くん、まだまだ小僧っ子だな!(笑)
この前、以前から私の落語会を開催してくださっていた、落研の大先輩に久しぶりにお会いしました。もう80代になられているのにお元気で「喬太郎君、いくつになった?」「ハイ、今年還暦になります」「おぉ、まだまだ小僧っ子だな!(笑)」ってな話をしました。...それがもう、...何だか、ジーンとくるくらい嬉しかったんですよね。「自分って、まだまだ小僧っ子なんだぁ」と。そんな風に言ってもらえる人の存在がたまらなく嬉しくて...。同時に年のことをあれこれ考えても仕方がないなと思いました。この先、70代を迎えられた時に、『充実した60代だったなぁ』と思えたらそれでいいのかなと。
これまでフルパワーでやってきたので、かなり疲れを溜めてしまっていた部分が正直あります。"少しセーブしながら"と、頭をよぎる時もありますが、体力が続く限りこれからも目一杯やりたいですね。
喬太郎師匠、お弟子さんを取られました?
何年かぶりに弟子を取りました。ただ、この記事が公開される頃には、いるかどうかは分かりませんよ(笑)
そんなもんです、師弟なんて。今時点(取材時期:2023年5月)では見習いで、まだ前座にもなっていないのでどうなっていくのか...。師匠のさん喬が、我々弟子たちにずっと言っていることで『師匠というのは(弟子に)水を与えることはできるが、その水を吸うかどうかは自分(弟子)次第。どんなに水をやっても、吸わなければ育たないし、花も咲かない』と。僕もどんな水を弟子に与えることができるのか分かりません。しかし、人前でしゃべってお客様に喜んで帰ってもらうためには、時に厳しいことを言わなければならないし、理不尽なこともたくさんあるかもしれません。覚悟をもってやってくれたらと思いますし、弟子を取ったことで自分もどう育っていけるのかなとも考えています。
今回は「ネタ出し」をしましょうか
35周年を迎えることで特に何をするわけではないのですが、今回は特別に「ネタ出し」をしましょうか。この落語会は、三味線の恩田えり師匠に第1回からきていただき、生のお囃子を皆様に楽しんでいただいています。これまで浪切ホールさんでは、えり師匠としっかり絡むネタはやってこなかったと思うので...。どうでしょう?『ハワイの雪』は!?絡みもあって、面白いかもしれません。きっとお客様に喜んでいただけると思います。
(2024年1月10日更新)