ホーム > インタビュー&レポート > 韓国発の人気ミュージカル『伝説のリトルバスケットボール団』 成長と再生の青春ドラマに挑む橋本祥平、梅津瑞樹にインタビュー
日本でまだ珍しいプレビュー公演の試みは、本作のプロデューサー・深澤耕輔による「無名だが素晴らしい作品を知ってもらいたい」という熱意をエンジンに進んでいった。
橋本 深澤さんは韓国まで足を運び、作品を2回ご覧になったようで。僕はその「日本のお客さんに届けたい」という言葉に共感して、稽古やプレビュー本番に取り組んでいました。
梅津 一日だけでしたが、稽古は他の舞台作品と同じように1ヵ月みっちりやったよね。座組にはバスケ初心者も経験者もいて、シュートやパス練習もした。部活みたいだったな。
橋本 体育の授業以外でボールに触れる機会のなかった僕にとっては、その時間が貴重で。演じるスヒョンの「バスケって楽しい!」って感覚を追体験するみたいでした。
梅津 祥平さ、カーテンコールでお客さんに「マネージャー、水持って来て!」って言ってたよね(笑)
橋本 いやいや!訂正させて!! ハンカチがぐしゃぐしゃになるまで涙している方が客席にいて、皆さんの反応があまりにもよかったから......お客さんの存在が、本公演を僕たちと一緒に盛り上げてくださるバスケ部の「マネージャー」に思えたんですよ。断じて水は要求してません!
梅津 なるほどね。僕も客席にいたら泣いていたな。歳を重ねて30代に突入した今、どんなに努力しても二度とあのまぶしい友情や青春を手にすることはできない。現実との距離を実感する一方で、自分の青春が素敵だったような錯覚にも陥るんだよね。
橋本 わかる! 当時が妙に美化されて思い起こされるよね。それくらいパワーがあって、人の琴線に触れる作品。
劇中では、いじめられっ子の主人公スヒョンが、バスケットボールの得意な高校生の幽霊3人組に出会って困難を乗り越える姿が活写される。日本初演にあたって、どのような創作が行われたのだろうか。
橋本 スヒョンは、彼を取り巻く環境の影響を受けやすい人物なんですよね。心がすり減るのも、反対に救われるのも周りの人物によるところが大きい。だから僕ひとりで役づくりをした、というよりスタッフ・キャスト全員で話し合いながらキャラクターを仕上げていきました。瑞樹くんは試行錯誤していたよね?
梅津 そうね。僕はスヒョンと出会う幽霊のひとり(ダイン)を演じたんですが最終的にオバケのQ太郎みたいな存在だな、と思い至りました。
橋本 ドラえもんのようでもある、とも言っていたよね。
梅津 スヒョンに寄り添い、彼がくじけそうな時はそばにいて支えるけど、時にケンカして、最終的に別れるって構造がのび太とドラえもんだし、正太とオバケのQ太郎だなって。単に助けるだけじゃなくて、幽霊はスヒョンからエネルギーをもらっているところもある。お互いに成長しているんですよね。
橋本 うん、優しく寄り添ってくれた。一見スポ根もののようでありながら、心の機微や人間同士の思いやりが繊細に描かれているのが『リトルバスケ』の魅力だと思います。
取材・文/岡山朋代 撮影/石阪大輔
スタイリスト/小林洋治郎(Yolken) ヘアメイク/佐々木渚香
(2024年1月19日更新)
パク・ヘリム作、ファン・イェスル作曲による韓国のミュージカル。本国のミュージカル賞である「イェグリーンミュージカルアワード」3部門にノミネートされた。日本初演となる今回は、上演台本・訳詞を私オム、演出をTETSUHARUが担当。学校でいじめに遭い「自分は誰にも見えていない」という失意の中で自ら命を絶とうとする高校生スヒョン(橋本)が、彼の身体に憑依する幽霊3人組(梅津・糸川耀士郎・吉高志音)をはじめ、弱小バスケットボールチームを率いるコーチ(平野良)や部員(太田将熙)と心を通わせていく様子が描かれる。
▼2月15日(木)~25日(日)
草月ホール
▼3月2日(土)12:30/17:30
▼3月3日(日)12:00/17:00
松下IMPホール
全席指定-10800円
[作]パク・ヘリム
[作曲]ファン・イェスル
[演出]TETSUHARU
[日本語上演台本・訳詞]私オム
[出演]橋本祥平、梅津瑞樹、糸川耀士郎、吉高志音/太田将熙・平野良
※未就学児童は入場不可。一部、舞台・演出が見えづらいお席となる可能性があります。ご了承ください。出演者及び公演スケジュールは予告なく変更となる場合がございます。予めご了承ください。公演中止の場合を除き、事情の如何に関わらずチケットの払い戻しはいたしません。必ずご認識のうえ、チケットをお申し込み下さい。車いす席をご利用のお客様はチケットをご購入の上、事前にお問い合わせ先にご連絡ください。
[問]公演事務局■0570-200-114