ホーム > インタビュー&レポート > ブランド派もプチプラ派も、女性必見の舞台をレポート
ピンクの大人可愛いパッケージで一世を風びしたエリザベス・アーデン。科学的なアプローチでスタイリッシュなイメージを定着させたヘレナ・ルビンスタイン。化粧品業界に革命と進化をもたらしたふたりの巨匠はまた、歴史に残る宿命のライバルとして知られる。共に強い上昇志向を持つ彼女たちが、互いに嫉妬と競争心をあらわに業界を生き抜いていく。時代の波を背景にその半生の生き様をミュージカルとして舞台に乗せた作品が『エリザベス・アーデンvs.ヘレナ・ルビンスタイン -WAR PAINT-』だ。エリザベスに明日海りお、ヘレナに戸田恵子がW主演。大阪公演の初日を観劇、その魅力をレポートする。
舞台はピンクのエリザベスとブルーのヘレナで展開。幕開きはエリザベスから。ピンクのミニスカート姿で"アーデン・ガール"たちが、1930年代ニューヨークを華やかに彩る。そこへ輝くオーラをまとったエリザベスが登場。明日海りお、宝塚歌劇団花組トップで培ったカリスマ性を発散。そしてニューヨークへ再び返り咲いたヘレナ。実力派の戸田恵子は時にユーモアを感じさせながら存在感を放つ。ここから美容業界のトップを狙い、企業経営者としての熾烈な戦いが繰り広げられる。共に相手を「あの女」「あちら」と呼ぶふたりだが対面せず、それぞれに、また同時にふたりを見せながら進行する演出だ。
シーンごとの美しい衣裳替え、シンプルな中に華やかさのある舞台美術、そして難曲と言える楽曲の数々。しかしこの作品、単に女のバトルを見せる舞台ではない。つねに相手会社の業績を意識し、引き抜き合戦も含め新手を打つ経営手腕と新商品の発想力がすごい。ウォータープルーフのマスカラやビタミン配合の商品を誕生させたヘレナ、高級クリームや美容と健康の保養施設(今のエステ)を始めたエリザベス。知らなかった。そこで得た巨万の富だが、世の中は「女がお金を持つのはいい。でも、女が稼ぐのはダメ」という時代。そして、彼女たちの前にマニキュアをネイルエナメルと呼んだレブロンが出現する。トップからの凋落。私生活でも、エリザベスの夫は離婚後ヘレナの会社に勤務、ヘレナのパートナーはエリザベスへと寝返る。実話だ。後半、天才ふたりを「恐竜」と歌いつつ酒を飲む、上原理生と吉野圭吾の演技が男の複雑な想いを伝える。
物語の最後、エリザベスとヘレナは初めて対面。このシーンのためにこれまでがあった、と感じる。「覚えておいて。女性は皆、美しくなる権利を神から与えられているの」、「醜い女なんていない。怠惰なだけ」。年齢を経ても響くセリフの数々。この作品、女性への応援歌と受け取った。
京都公演は6月8日(木)から13日(火)まで、京都劇場にて。チケット発売中。京都公演初日にはアフタートークイベントが決定。さらに京都公演の来場者特典として、ビジュアルステッカー配布も。
取材・文:高橋晴代
(2023年6月 5日更新)
チケット発売中 Pコード:517-483
▼6月8日(木)15:00
▼6月9日(金)13:00
▼6月10日(土)12:00/17:00
▼6月11日(日)13:00
▼6月12日(月)13:00
▼6月13日(火)13:00
京都劇場
全席指定-14500円
[脚本]ダグ・ライト
[音楽]スコット・フランケル
[歌詞]マイケル・コリー
[翻訳・訳詞・演出]G2
[出演]明日海りお 戸田恵子
上原理生 吉野圭吾/他
※出演者等の最新情報は公式ホームページ等でご確認下さい。
※未就学児童は入場不可。出演者変更に伴う払戻し不可。車いす席をご利用のお客様はチケットをご購入の上、事前にお問い合わせ先にご連絡ください。2枚でご購入されたお客様は、状況によっては連席でご案内できない場合がございます。公演中止の場合を除きチケットの払い戻しはいたしません。
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