ホーム > インタビュー&レポート > 結末は観客次第! s**t kingz『HELLO ROOMIES!!!』東京公演レポート
結成15周年を迎えた4人組のダンスパフォーマンスグループ・s**t kingz。彼らの最新作舞台『HELLO ROOMIES!!!』の東京公演が、9月14日~19日に新国立劇場中劇場で行われた。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で「約2年延期」された本作は、s**t kingzいわく「当初の構想から時間をかけて、新たに創りあげた自信作」だという。劇中にはメンバーのshoji、kazuki、NOPPO、Oguriに加えて映画監督を夢見る"人形"の「A子」が登場し、A子の身に巻き起こる悲喜こもごもがコメディタッチで描かれる。
チャンスに恵まれず悶々と日々を過ごすA子の部屋には、積み重なる複雑な想いが"心のゴミ"として可視化され溜まっていく。実際、A子が大きくため息をつくたびに半透明のゴミ袋が部屋を模した美術セットの中へ投げ込まれると、思い通りに行かない人生を嘆くA子の心情が伝わるようだった。s**t kingzの4人は"心のゴミ"などA子を取り巻く個性豊かなキャラクターに扮する。
セリフもモノローグもナレーションもないのに、表情を変えるはずのないA子の喜怒哀楽が手に取るように伝わるのは、s**t kingzのダンスパフォーマンスが言葉以上に"雄弁"だからであろう。ものづくりに対するA子の葛藤に十分感情移入し、心を寄せるようになったころ、観客にはとある選択肢が提示される。選択肢に対する拍手の多さ・大きさで結末が変わるマルチエンディング形式が、思わず「他を観たい」という気持ちにさせた。その選択肢がA子だけでなく、現代を生きる人間なら誰でも葛藤しうる普遍的な内容だったからだ。
全曲オリジナルの劇中歌にも注目したい。公演パンフレットによれば、白紙の状態からメンバーが一曲ずつアイディアを話し合い、イメージを膨らませ、音楽プロデューサーへの相談を経てクリエイターに制作を依頼したそうだ。その結果、Novel Coreとコラボした舞台のテーマソング「TRASH TALK feat.Novel Core」や、上野大樹とコラボしたコンセプトソング「心躍らせて feat.上野大樹」をはじめ、KEN THE 390、GENTLE FOREST JAZZ BAND、butaji、KOPERU、ESME MORI、DEJI、植松陽介、遥海、Reichi、GOTH-TRAD、さらさといった実力派アーティストとコラボレーションした楽曲も劇世界を彩ることになった。
東京公演は完売公演が続出し、9月19日に終了。その後、11月10日(木)~13日(日)に大阪・森ノ宮ピロティホール、11月18日(金)~20日(日)に愛知・日本特陶業市民会館 ビレッジホールへ巡演したのち、11月29日(火)~12月1日(木)に東京・新国立劇場 中劇場にて「東京凱旋公演」が行われる。チケット販売中。
取材・文:岡山朋代
撮影:秦和真
(2022年10月27日更新)
チケット発売中 Pコード:512-620
▼11月10日(木)~13日(日) (木)(金)18:30 (土)12:00/17:00 (日)12:00
森ノ宮ピロティホール
全席指定-9000円
※未就学児童は入場不可。
※販売期間中はインターネットにて販売。店頭での直接販売はなし。1人1公演4枚まで。チケットは11/3(木)10:00より引取が可能となります。
[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888