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新感覚エンタテインメントとしての可能性を探る
ショーケースライブが、大阪の心斎橋SUNHALLに誕生

全く新しいショーケースが、大阪アメリカ村の心斎橋SUNHALLで12月10日(金)から12日(日)まで上演される。演劇と音楽ライブ、そしてインターネット上でのバーチャル空間を結ぶパフォーマンス「Fat Cat Kingdom」がそれだ。その仕掛け人であるDOMIへのインタビューでその輪郭が見えてきた。

新しい事にチャレンジする方が何倍も楽しい

 
――今シーズンの躍進の感動も冷め止まぬオリックス・バファローズ。その公式球団歌『SKY』をMEGASTOPPERのリーダーとして提供し、また自らのバンド「100小節のカナリア」でも活動されてるDOMIですが、そもそも今回の公演を発想したきっかけを聞かせてください。
 
昨年(2020年)から今年(2021年)にかけて、エンタテインメントのあり方が大きく問われる形となりましたよね。DAN(筆者)の世界、写真家の世界でもきっとそうなんだろうけど。活動の場をバーチャルに移したアーティスト、従来通り現場でのライブ活動を継続したアーティスト。どちらの意図も分かるんですが、多様化と言うにはあまりに極端すぎて。バーチャルかリアルかの二者択一でしかない。俺はもっと混沌とした揺れる現実を表現したかったというのがありまして。今回のプロジェクトはそれがそもそものきっかけなんです。実はこの「Fat Cat Kingdom」、この一連のプロジェクトの中の一つのシンボルとして構築しました。このショーケースを起点として更にリアルとバーチャル双方で大きな事をやってやろうと。だからこそあくまでこれは一連のプロジェクトの「起点」なんですよね。
 
――音楽家のDOMIがなぜ芝居と音楽ライブの融合なのでしょう? あとコラボレーションって凄く難しそうですよね。
 
関西、特に大阪は「お笑い」と「阪神タイガース」のイメージが強いんですよね(笑)。けれど我々は、例え小さいチームでもその辺としっかり戦えるチームでありたい。大きなマーケットの中心に存在したいんですよね。でも実は京都の「ギア-GEAR-」さんのように確立したエンタテインメントも誕生してきていますよ。コラボは確かに難しい所が多いです。取り組みにあたる時間軸がそもそも違うので。「良いもの」の感覚も違いますよね。けれど。そんな現状を憂うより新しい事にチャレンジする方が何倍も楽しいと思うんですよね。
 
 
 
タイトルに込められた想い
 
 
――DOMIはこれまでに多くの楽曲を世に投げかけ来たんだと思います。もちろんその楽曲、特にタイトルにも節々にこだわりが感じられるのですが。今回のプロジェクトのタイトルが「Fat Cat Kingdom」。このタイトルに込められた意味を教えて下さい。
 
Fat Catって実は「金持ち」を揶揄する言葉なんですよね。今回の舞台となるホテルでも成功を目指す者、逆に成功者から堕ちていく、そんなありとあらゆる者たちが渦巻くホテルを舞台とした物語です。「お前Fat Catだろ」とか「明日俺はFat Catになってやる」とか双方向に夢がある。何かと何かを融合するのに、こんな適した言葉は無いと思ってます。どちら側からアクセスしても良い。そこに不変なものとしての「ホテル Fat Cat Kingdom」が存在し続けるのだから。
 
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DOMI
 
――なるほど。では更にインターネットを絡めた意味はどこにありますか?
 
冒頭でも言いましたが、コロナ禍によってリアルとバーチャルがきっぱり別れてしまったように感じますよね。ライブは怖いとか、配信は消極的だとか、お金(ギャランティー)の事も含めて溝が深まったような。けれど、バーチャルの中にもひときわ輝くリアルが必要、またリアルの中にもバーチャル世界のような無限の広がりが必要なのが事実だと思います。そういう二つの世界観を、やはりバンドマンである自分としてそれを「リアル」にこだわって表現したかった。そんな俺の熱意と、まだ見ぬ多くの新しい才能が参加しているパフォーマンスの第一歩となる本公演にぜひご期待いただきたいと思っています。
 
 
 
音楽としての「Fat Cat Kingdom」

 
――今回はsound track『Fat Cat Kingdom』も発売されます。これまでのDOMIの世界観とはまた少し違う趣の曲、例えばコンピレーションであってもフォークやバラード、スパニッシュも多く含まれていますが。
 
「100 小節のカナリア」に関してはこれまでのDOMI的世界観であるが故に「Fat Cat Kingdom」とも大きくは違っていないと思います。またellyが歌うので世界観の幅はかなり広がりましたが、聴く人が聴けばイメージはそんなに大きな違いは無いのかなと。ただ、シーサーと麻里愛に関しては確かにそうかもしれませんよね。俺を縦に振っても横に振ってもあの曲は出て来ない。あの爽やかな感じは俺には出せないと思います。Harimはもう規格外ですよね。なんせスペイン語で歌うんですから。写真を撮りながらDANがずっと楽しそうだったのも印象的だった。ラティーノの明るさというか。新しい音楽センスはHarim、そして手前味噌ですが「100小節のカナリア」のelly、この2人に関してはひしひしと感じています。いや、2人ともじゅうぶんキャリアには恵まれているんですが。そこに、これからの才能っていう意味での麻里愛でしょうか。いずれにせよこのアルバムは今までの俺には無かったような、新しい才能の寄せ鍋みたいな仕上がりになったいますよ。
 
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Harim
 
――何か最後に伝えたい事は?
 
多くの新しい才能が参加しているパフォーマンス。その第一歩となる本公演にぜひご期待いただきたいと思っています。ご来場をお持ちしています。
 
――実は彼らステージマンにとって、今回のコロナ禍は新しい何かを見つけ出すチャンスだったのかもしれない。時間が経てばそう思えてしまうような気がしているのは、カメラマンである私がレンズ越しに彼らを見続けてきたからこそだろう。彼らが織り出すエンタテインメントのエネルギーが、このコロナ禍から新しい何か生み出してくれるような予感がする。

文・撮影:DAN(DANAKI photo)



(2021年12月 7日更新)


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Fat Cat Kingdom

演劇+音楽ライブ一体型の
新感覚ショーケース

チケット発売中 Pコード:509-030
▼12月10日(金)~12日(日)
(金)18:30 (土)(日)13:30/18:30
SUNHALL
前売券-4000円(プレゼント付、ドリンク代別途要)
[劇作・脚本]村瀬秀信/他
[演出]金哲義/遠坂百合子/奥井隆一/他
[音楽]大里健伍/山本マキ/100小節のカナリア/齋明寺麻里愛/他
※12歳以下は入場不可。お問合せ:Fat Cat Kingdom公演事務局:info@fxck.jp


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