「必死に闘う生き様を観て、何かを感じてほしい」
髙嶋政宏、相葉裕樹ら多彩なキャストを迎えて贈る
劇団鹿殺し『俺の骨をあげる』が間もなく開幕!
思い通りにいかない世の中で、泥臭くも必死に生きる人たちの生き様を描いた物語を、歌やダンスを取り入れてエンタテインメント性の高い作品へと仕上げる劇団鹿殺し。その彼らの代名詞となる『BONE SONGS』をリメイクした『俺の骨をあげる』が8月10日(金)、大阪ビジネスパーク円形ホールで幕を開ける。開幕を前に、演出家・菜月チョビに話を聞いた。
2009年上演の『赤とうがらし帝国』を2013年に『BONE SONGS』としてリメイク上演。それをさらにリメイクしたのが今回の『俺の骨をあげる』だ。ひとりの女・タエと、その骨となって生きた5人の男たちの人生を描いた物語で、今回は髙嶋政宏、相葉裕樹、伊万里有らを客演に迎えて、男たちを軸に描いていくという。「すごくバラエティ豊かな役者さんがそろいましたし、劇団員のオレノグラフィティ以外、全員180センチ以上あるので、この人たちがいなくなったときに存在の大きさがすごく際立つんです。それだけでも作品にぴったりだなと思います。『BONE SONGS』のときはタエの一代記という形で打ち出したんですけど、今回は“骨をあげる男たち”をクローズアップするように描いています。タエは主人公のようで、ただ骨たちに歩かされているだけ。骨をあげている側がすごい世界観を持っていて、死んだ後も人を動かしていく形にしたいなと」。
中でも「プロレスラーで一番骨太な役」というタエの父親を演じる髙嶋については「本当にプロレスラーにしか見えないくらい(笑)」と語る。「50歳過ぎてるのに一番体力があるし、本当に妥協せず全力でぶつかってくださるから、自分も弱音を吐いていられない。前向きな気持ちを持てないくらい体力的にしんどい作品なんですけど、舞台上で必死に闘っているその生き様を見せるからこそ、お客さんにも感じてもらえるものがあると思います」。またミュージカルでの活躍目覚ましい相葉や、2.5次元ミュージカルの『刀剣乱舞』などで注目を集める伊万里についても「鹿殺しに出ること自体を楽しんでくださっている感じがします。ぶっ飛んだ役をやっていただくのですが、イメージが壊れることを恐れていないというか、逆に壊していきたいと、いろんなことにチャレンジしてくれています」と語る。
生バンドの演奏を入れて、音楽劇ならぬ“ストロングスタイル歌劇”と銘打って届ける本作。その圧倒的な音楽パフォーマンスも見どころとなる。「私たちは元々、路上とかライブハウスでお客さんを引き込んでいったという自負がある。だから普通の音楽劇とは違う底力みたいなものを表すのに“ストロングスタイル”がぴったりかなって(笑)。この作品の音楽は、演劇のための音楽でもあるし、音楽のためのお芝居でもある。両方がこれだけ強いっていうのは他にはないと思います。両方が合わさることによって、ミュージシャンがライブでやるよりも強いし、演劇をただやるよりも強い。だからライブが好きな方にも観ていただきたいなと思いますね。中身はカラッとバカな作品なんですけど、下向きな気持ちをポジティブに転じさせてくれるメッセージがある作品。そういった演劇的な魅力もたくさん詰まっています」。
公演は8月10日(金)から12日(日)まで大阪ビジネスパーク円形ホール、15日(水)から19日(日)まで、東京・サンシャイン劇場にて上演。チケットは発売中。
取材・文:黒石悦子
(2018年8月 8日更新)
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