RAZORS EDGEが仕掛けるサーキットイベント
『STORMY DUDES FESTA』が今年も開催!
KENJI RAZORS(vo)&KRASH(ds)インタビュー
’13年より実施されているRAZORS EDGE主催イベント『STORMY DUDES FESTA』。開催5年目を迎える今年は使用会場にSUNHALLが追加された。昨年はメンバーの脱退や新メンバーの加入など、バンドとして大きな動きがあったRAZORS EDGEだが、『STORMY DUDES FESTA』が5年目を迎えるにあたって初年度の開催経緯から今年の見どころまでを語ってもらった。
――『STORMY DUDES FESTA』は、“自主企画のイベントよりも大規模なイベント”というコンセプトで’13年から始まったイベントなんですよね?
KENJI RAZORS(vo)「はい。今思うと、当時は結構挑戦でしたね。自分達のバンドの歴史の中でも、同じメンバーで長く活動できていた時期で、作品を出してツアーをしたり、いろんなイベントやフェスに呼んで頂いたりしていましたが、楽しいけどなんだか心にぽっかり穴が空いたような感じがあったんですよ。例えば、大きなイベントに呼ばれてワイワイ楽しくやっても、これが次に繋がっているのかどうかわからないこともあったり…。そういう時に、じゃあ自分達がやっていたイベントよりも大きくて、RAZORS EDGEの人脈だからこそできるフェスをやりたいと思ったんです。8バンドも誘ったら大きなイベントになるんですけど、20、30呼んでサーキットフェスができたらいいなとパッと思いつきました」
――KENJI RAZORSさんが思いついて、メンバーの方にお話して実現したんですか?
KENJI RAZORS「最初は「え~って感じでしたよ。“どこでやるの? 誰とやるの?”みたいな(笑)。イベンターとしても優秀で実績もあるピザオブデスのスタッフから“KENJI(RAZORS)君、サーキットイベントは気軽にやらない方がいいよ”と言われたりね。300人入るキャパを3つ集めたら900人ですが、“一か所に集中するから900人売っちゃダメ”とか、“みんなが動きやすいように組まなくちゃいけないし、いろいろ大変だよ~”って。でも僕は、自分達だからこそできるポイントで面白さが出せると思いましたし、極端なサーキットフェスをすることで、他にないってみんなが思ってくれたら勝ちだと思ったんです。今でこそ2013年よりもフェスが乱立していて、どこを見ても同じようなバンド、同じようなお客さんがいて、どこでやっても誰が出演してても一緒やん!みたいな状況になっている気がします。僕は、プロデューサー側の気持ちとか、オリジナリティーがもっと出ているものを見たいし参加したいから、じゃあ自分でやろうっていう感じでしたね」
――KENJI RAZORSさんが仰られているオリジナリティーというのは、音楽のジャンルですか?
KENJI RAZORS「そうですね、ご存知のように僕たちは速くて短くてうるさいバンドなので、知り合いもそういうバンドだったり、アヴァンギャルドなカッコイイこと、面白いことをやっているのになかなか大きいフェスには出にくいバンドがいる。そういう人たちにとって1年に1回の楽しい場所になったら、規模は関係なくフェスだと言えると思うんです。そんなライブの方が好きだと言ってくれるお客さんもいるだろうし、隙間をグーっと凝縮させた感じです」
――最初はPangea、AVENUE A、HOKAGEの3会場からのスタートでしたよね。PangeaはKRASHさんが運営されてますが、他の会場はどうやって決められたんですか?
KENJI RAZORS「HOKAGEの店長であるトシ君(PALM)と、AVENUE A(現BRONZE)のショウ君(EDGE OF SPIRIT)と急に仲良くなったのが’13年くらいで。昔からみんなバンド活動をしているのに、僕はその2人とはそんなに面識なかったんですよ」
KRASH(ds)「実はPangeaでライブをするまで、RAZORS EDGEって限られたところでの交流が多かったので、アメ村で活動しているバンドとは面識が少なかったんです。Pangeaでライブをするようになってから、大阪にもいっぱいバンドいるやんという感じの認識になってきたんですよ」
KENJI RAZORS「KRASH経由ですよね」
KRASH「Pangeaができた後、SLANGが“大阪でやりたい”と言ってくれた時に、せっかくだからこの機会にいろいろとバンドを誘いたいなと思って」
KENJI RAZORS「その時のメンツはSLANGやSPREADは元々繋がりがありましたが、他は初めて対バンするぐらいの感じだったんですよね」
KRASH「Pangeaに出演してくれた時に、僕はライブを見たことがあって、向こうも僕のこと知っていてくれたんですよね。そこからKENJI(RAZORS)くんがそれぞれのバンドと仲良くなって」
KENJI RAZORS「その日の打ち上げにEDGE OF SPIRITのショウ君も来て、一緒に焼肉してみんなで仲良く飲んで。その時に撮影した写真はリーダー格が並んだすごい写真です(笑)」
KRASH「こういうメンツだからハードコア、パンクロック色の強いイベントをやれたらいいなと思い、当時AVENUE Aを経営していたショウ君と、HOKAGEのトシ君と話をしてスタートしました。僕らはメロディックなバンドとも仲が良いので、もっとそういうバンドが多いブッキングになりそうでしたが、キッカケを与えてくれたのがショウ君やトシ君だったりで。それに、SLANGのKOさんのライブをキッカケに集まったような感じでしたので、繋がりもありますし彼らのようなジャンルのバンドを呼んで実現したら面白いだろうなって、それが原型ですね」
――アーティストや会場は増えていますが、その原型は今も形としては残っている状況ですよね?
KENJI RAZORS「そうですね。今年で5年目ですが、ありがたいことに5年連続出演してくれているバンドが結構いるんですよ」
――3会場から翌年の’14年には5会場になり、かつチケットもその時点で前売が完売するという…。
KENJI RAZORS「1年目は結構厳しかったですが、2年目で一応ソールドアウトできました。“こんなイベントはない”と、1年目に来てくれた人がみんな楽しんでくれたので2年目はリピーターさんだらけで(笑)。でも最近はその噂が地方にも広まり、遠方からもお客さんが来てくれるようになっています。関西の子が東京へ遊びに行った時に、ライブ友達に話をしてくれ、それ行ってみようかな!という風に、ちょこちょこクチコミでね。僕ら全然メディアを使えていないので本当に昔っぽいやり方でやってます(笑)。東京でやってたら僕たちめちゃくちゃ当ててるで~って思いながら」
KRASH「でも大阪だから面白いっていうのもありますね」
KENJI RAZORS「そう言ってくれる人もいっぱいいるけどね」
――本当にそういう音楽が好きなお客さんや、出演したいと言ってくださるアーティストばかりだから今っていう状況があるんですね。では、プレイヤーで出演されるRAZORS EDGEとしての当日のライブの意気込みを教えてください。
KRASH「個人的には主催イベントでもそうでなくても、人前に立った時点で向かう気持ちは一緒かなと思います。ただやっぱり思い入れなどの要素は自分たちが主催する方が強いですが、ライブそのもので違いはあまりないような気はします」
――『STORMY DUDES FESTA』のステージに立ってあらためて思うことは?
KRASH「ステージに立つまでにめっちゃ疲れるんですよ(笑)。朝早いし、動き回るし、ステージ立つ前に足がつるくらい疲れるので辿り着いた感はありますね」
KENJI RAZORS「ありがたいことに、どの会場も会心のライブができているフェスで、ワンマンでソールドアウトした時に感じるものや意気込みとは全然違うんですよね。例えば35バンドが出演していて、今日は30バンド見たなぁっていうくらい走りまわってから僕たちは出番を迎えるから、ステージに立つ頃には足がつっているぐらい疲れてるんです。でも、見てきた景色がどれも最高だし、普通のライブと本当に違う。“これで俺らがちゃんとしたステージを見せないとダメだ”、“今日っていう最高の日を俺らで台無しになんてできない”という強い気持ちが湧く。お客さんも僕らのステージが最後だから、“いつもそんな風にしとけや!”と思うくらいすごいので戦いですね(笑)。だから、お客さんも主役みたいなイベントだなと思っています」
KRASH「出演バンドのテンションも違いますしね」
KENJI RAZORS「ああ~、それもあるね。演奏している時に袖やフロアにいる出演バンドの人たちも、数が多いからめちゃめちゃ賑やかです。昔のパンクロックはそういうのが当たり前だったんですけど、それが最近はあんまりないのかな? でも『STORMY DUDES FESTA』は泥酔者は多数でしたけど、周りに有名人がいるみたいな景色にも出会えるからお客さんにとっては嬉しいことなんじゃないかなって(笑)」
KRASH「泥酔者のせいで結構機材トラブル招いたりしてましたね(笑)」
KENJI RAZORS「そうそう(笑)」
――それだけみなさんが楽しんでるってことですよね。
KENJI RAZORS「はい。出演者も“1年で1番楽しい”、“また来年も絶対呼んでください!”って言ってくださるのでありがたいです。もちろん、お客さんも“また行きます!”と言ってくださいますしね」
――時期やタイミングではなく、「『STORMY DUDES FESTA』であれば行きます!」というフェスになってきているんですね。
KENJI RAZORS「もっともっとそうしたいです。ソールドアウトもしますが、開催前ギリギリとかなので、もう少し早く売り切れたら僕らももっと楽に…(笑)。だから、これは絶対行かなきゃいけないイベントだって思ってもらいチケットを早く手にいれたくなるようにフェスも成長させていきたいです」
――今年は5周年ですが、新たなコンセプトや展望などはありますか?
KRASH「SUNHALLが増えるのが一番大きいですかね」
KENJI RAZORS「今までは物販のスペースもないくらいパンパンで。例えばスケーターとか、ライブ・ペインティングとか、そういう方を呼ぶスペースもないので結局ものすごくシンプルにやっている。面白いことやれたらとは思いますが、あまのじゃくな性格なので、他のフェスがやってるようなことは“真似じゃん”って考えるから何もしていないという」
――いいライブを見せるというシンプル・イズ・ベストで5周年をするかもしれないし、皆が驚くようなこともあり得るかもしれない?
KENJI RAZORS「規模を大きくしていくためにはいろいろ必要だと思うんですけどね」
KRASH「言っていいのかわからないですが、例えばRAZORS EDGEがBIGCATでのワンマンをソールドできるようなバンドであれば、会場にBIGCATを入れるというのも視野に入れられますが、現状は、FandangoやPangeaをソールドアウトさせられるかどうかというくらいのバンドです。単純にフェスの規模を大きくしていくだけだと、身の丈以上のことを無理やりやろうとしている感じになるので、集客にしても何にしても他の人の力に頼る部分が大きくなっていくじゃないですか。それで成立するイベントってどうなのかなと思いますし、それが次に繋がるのかどうかという部分でもあんまり実感ができないですしね。だからまず、RAZORS EDGEというバンドがBIGCAT規模の会場を埋められるようになってからでないと現実的じゃないというかね。今回、SUNHALLという会場を増やすことも、ソールドアウトのラインが何百とあがるから冒険していることになる。それに、今の会場の規模で観るのが楽しいバンドが多数出演してくれていると思うから…。大きくしてきたいけど、今のキュッとした楽しさというのも大事だし難しいところだなって思いますね」
――バンドとお客さんの距離感や空気感が良くて来てくださる人も確かにいらっしゃるでしょうしね。ただ有名な人を見たいというよりも、ライブハウスで距離の近い熱いライブが観たいという人がほとんどかもしれないですね。
KRASH「好きなバンドがギュッと詰まっているから、僕たちも“年に1回大集合して大騒ぎしようぜ”と誘いやすいし、お客さんもきっと楽しいでしょうし」
KENJI RAZORS「本当にその通りだと思いますよ。無理をして面白さを減らすようなことは一番つまらないし、“新しいことにチャレンジしていないことはダサいこと”ではなくて、分かりにくいかもしれませんが、僕らなりにチャレンジはしているので。あとは時代の流れや空気もありますから、もしメロコアブームの影響でハードコアのお客さんが増えれば、パンク系のバンドの数も増えていくでしょうし、面白くなっていくと思いますね。HOKAGEやSHINKAGURAとかの小さなキャパシティには、そういう若手をもっと出してあげてっていうことができたら本当に面白いなと思いますけど、こういう音楽が流行る時代またくるのかな(笑)?」
KRASH「どうなんだろう(笑)」
――年々出演者数も増えていますし、そういう意味で規模が大きくなる?
KENJI RAZORS「会場を増やしてバンド数を増やせば規模が大きくなるというのも合っているけど、それだけじゃない」
KRASH「今会場選びで意識しているのは、交差点を渡ることなく一周で行けること。PangeaがあってBRONZE、SUNHALLがあって、CLAPPER、HOKAGE、SHINKAGURAがあってってね。なんとなーくこの感じが捨てがたくて(笑)」
KENJI RAZORS「世界的にもこんなところないと思うんです。コンパクトだけどある程度の規模ができるサーキットフェス」
――2015年の動画を見たんですが、人がもう…(笑)。
KENJI RAZORS「BRONZEの横のコンビニとかすごいことになってましたよね」
KRASH「お客さんの楽屋みたいにね(笑)」
KENJI RAZORS「今年からはコンビニに挨拶しといたほうがいいかな」
――(笑)。では最後に読者へメッセージを。
KENJI RAZORS「まだまだ知らない人も多いとは思いますが、観に来てくれたら絶対にビックリする、あなたの知らない世界があります。そんなに興味のない人はチケットを買わなくてもいいので、当日アメ村に来てください。『祭りでもやってるのか?』みたいな空気と、やたらとみんなが楽しそうにしている姿が見られると思いますので、チケットを買って入りたいなって絶対に思うはず。バンドを知らなくてもいいですから、そういう空気が1年に1回アメ村に生まれる光景を見に、とりあえず足を運んでみてください。花火とかはあがってないですけどね」
KRASH「フェスなので若い子にきてほしいなと思います」
KENJI RAZORS「体力に自信のある中高生! 『お前らのイベント1日周るよりしんどい部活してんねんで!』という奴がいたら面白い。どっちがしんどいか勝負しようぜって」
KRASH「ぴあさんでチケット読者プレゼントとかしますか」
KENJI RAZORS「ただし坊主に限るとかね(笑)」
KRASH「バンドに興味のある体育会系の坊主限定ね(笑)」
text by 小西麻美
『STORMY DUDES FESTA 2017』タイムテーブル ※クリックすると大きくなります。
(2017年10月20日更新)
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