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松尾貴史「酔っ払いの演技は藤山寛美さんの言葉を」

 1963年の日本初演より長年愛されてきたミュージカル『マイ・フェア・レディ』。2013年、G2により演出が一新、新たなキャストを迎えてリボーン(再誕生)し好評を博した。ロンドンの下町娘イライザの父・ドゥーリトル役を演じたのが松尾貴史。本作がミュージカルデビューとなった彼に、3年ぶりの再演への想いを聞いた。
 
 「ミュージカルは絶対やらない、やれないと思ってました。演出家のG2とは仲良しだけど、最初G2も東宝の方に『彼はミュージカルはやらないです』って、話を勝手に断ってたらしい」と笑う。G2とは演劇ユニットAGAPE storeで長年組んでいる仲。ただ松尾自身、実はこの酔っ払いのドゥーリトルならやってもいいかなという想いが昔からあった。「父がこの映画が好きで、一緒にテレビで見ていた思い出があります。ドゥーリトルは屁理屈を言ったり酒好きなところが、父にも似ているし僕にも似ている。無責任なところもね(笑)」。

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 実際に演じてみると『運がよけりゃ』『教会へは遅れずに』というこの役のビッグナンバーも、「気持ち良く歌えました。手拍子も頂いて、おだてられれば木に登る感じですよ! あのシーンは自分が楽しみ、皆さんにも一緒に楽しい雰囲気になって頂くのがポイントです」と話す。
 
 貧しい家庭に育ったイライザが、ヒギンズ教授のレッスンで淑女になるシンデレラ・ストーリー。自堕落な父親であるために再演では新たにヒゲを付け、酔っ払う演技にも磨きをかける。「昔テレビで見た藤山寛美さんの演技指導の言葉が残っています。『酔っ払いは前のめりではなく、かかとに重心がくるんや』って。つまり前に行きたいけれど、後ろに重心が行ってしまうと。試してみたら『お!』となって面白かったです。再演にあたっては、滑舌のいい“立て板に水の酔っ払い”でと演出家に言われています」。
 
 そのG2の演出については、「暗転嫌いで、各シーンがオーバーラップしながらきれいに進んでいく。いつも緻密やなって思いますね」と話す。娘のイライザは、元宝塚歌劇団トップスターの霧矢大夢&真飛聖のWキャスト。「霧矢さんはすごく親しみが持てる娘、真飛さんは生き抜く力が強いという感じで、全然違うから面白い。おふたりとも再演でパワーアップするのは間違いないです」。
 
 松尾自身も先頃、ふたりだけのミュージカル『マーダー・フォー・トゥー』でハードに3役を演じ分け、人生初のピアノ演奏を堂々披露した経験が生かされるはず。「ジャンルで仕事を断ったことはありません。マゾヒスティックにお引き受けすることが最近楽しい(笑)」。ラジオ、落語、折り紙など多彩な才能の持ち主は、「プロフェッショナルな世界」のミュージカルに今夢中だ。

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 公演は、7月10日(日)から8月7日(日)まで東京・東京芸術劇場 プレイハウス、8月13日(土)・14日(日)は愛知・愛知県芸術劇場 大ホール、8月20日(土)から22日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。チケットは発売中。

取材・文:小野寺亜紀
撮影:森好弘



(2016年6月28日更新)


Check

ミュージカル
『マイ・フェア・レディ』

【東京公演】
▼7月10日(日)~8月7日(日)
東京芸術劇場 プレイハウス

【愛知公演】
▼8月13日(土)・14日(日)
愛知県芸術劇場 大ホール

Pick Up!!

【大阪公演】

発売中 Pコード:448-913

▼8月20日(土)15:00
▼8月21日(日)12:30/17:30
▼8月22日(月)13:00

梅田芸術劇場メインホール

S席-12500円 A席-9000円 B席-5000円
U-25当日引換券-7000円(25歳以下)

[劇作・脚本][作詞]アラン・ジェイ・ラーナー
[音楽]フレデリック・ロウ
[翻訳]G2(訳詞) [演出]G2
[出演]霧矢大夢、真飛聖(Wキャスト)/寺脇康文/田山涼成/松尾貴史/寿ひずる/水田航生/麻生かほ里/高橋惠子/他

※未就学児童は入場不可。一部Wキャストあり。
※U-25当日引換券は、ご観劇日当日開演45分前より「U-25引換所」にてチケットと年齢が確認できる身分証をご提示のうえ座席券とお引換下さい。ご観劇日当日25歳以下の方のみ対象となり、引換時に25歳以下であることが確認できない場合は座席券との差額をお支払い頂きます。座席は事前にご用意しており、先着順ではございません。

[問]梅田芸術劇場■06-6377-3800

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