「上方落語若手噺家グランプリ2016」予選会
第一夜をレポート!
4月7日より天満天神繁昌亭にて「上方落語若手噺家グランプリ2016」の予選会が始まった。
「上方落語若手噺家グランプリ2016」とは、昨年から始まった若手中心の落語コンテストで、入門4年目から20年未満の上方落語協会所属の噺家がエントリーできる。各予選の上位2名と、各予選3位の中から最も得点が高かった1人の計9人が6月21日(火)に開催される決勝戦に進出。優勝、準優勝を決定する。
「上方落語若手噺家グランプリ」、昨年は桂吉の丞が優勝し、笑福亭べ瓶が準優勝した。今年は誰がグランプリを獲得するのか、落語ファンの注目度も高く、4月7日に行われた〈予選第一夜〉は満員御礼。その模様をレポートしよう。
予選会の持ち時間は一人8分。出演順は事前抽選で決まっており、トップバッターを飾ったのは露の眞。次から次へと忍術を繰り出す「忍法医者」を口演、いかにも怪しげな医者の姿を生き生きと演じた。続いては桂三語で「たぬさい」。世間を騒がせた時事ネタも取り入れながら、賭博場での光景を賑やかに描いた。3番目は桂雀五郎で「時うどん」。うどん屋への“ダメ出し”の威勢のよさに場内爆笑、後半の“一人二役”もテンポよく魅せた。
お次は桂恩狸が登場し、「十徳」を口演。高座に上がると同時に「エントリーナンバー4番、桂恩狸、27歳、フレッシュに勉強させてもらいます!」とご挨拶。ハキハキと分かりやすく展開するも、少々スピーディー。駆け抜けるように出番を終えた。打って変わって笑福亭智之介はじっくりと「住吉かご」を披露。人物、情景など、丁寧に描写した。中トリは林家染吉で「御公家女房」。聞き馴染みのない“お公家言葉”で笑いを誘い、テンポよく進めた。
中入り後は月亭八斗からスタート。八斗は赤い長羽織を颯爽と翻し舞台に登場、その姿に歓声も上がった。ネタは創作の「信長の誕生日」。信長、藤吉郎、ザビエルなど歴史上の人物が続々登場、照明効果も駆使して臨場感たっぷりに演じた。続いては笑福亭たまで「地獄八景」。「米朝師匠やったら1時間半のところ8分で!」との一言に爆笑、会場の期待が募った。最新の時事ネタから“あの世”の芸能ニュースまで、舞台でしか聞けないネタの数々は大ウケ、大胆なアレンジで沸かせた。
次は桂華紋で「道具屋」を。会場を一気に“古典”の雰囲気に塗り替え、道具屋と客とのやり取りできっちり笑わた。トリは桂鞠輔。芝居の要素もたっぷり楽しめる「七段目」を口演。芝居の再現シーンでは意気揚々と演じ、華やかに彩った。
審査中は司会進行を務めた笑福亭仁扇が出演者に感想を聞いた。大トリとなった鞠輔は「こんな状況ありえませんよ!」とまだまだ興奮覚めやらぬ様子。ネタ中、鶯の鳴きまねをするもかすれ声となったたまは「鶯、もっとええ音すると思ったんですけど。すごい稽古したんです」と残念そうに語っていた。
そして結果発表へ。1位笑福亭たま、2位桂三語という結果に。3位は同点2人、露の眞と桂雀五郎が敗者復活に駒を進めた。
「上方落語若手噺家グランプリ2016」予選会は、4月14日(木)、21日(木)、28日(木)と開催。次代を担う原石たちの落語をぜひ楽しんで!
(2016年4月14日更新)
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