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「気心の知れた仲間達と切磋琢磨していければ」
しりあがり寿原作の舞台『真夜中の弥次さん喜多さん』
で喜多八を演じる藤原祐規にインタビュー

宮藤官九郎の初監督作品でもある映画も有名、しりあがり寿の漫画『真夜中の弥次さん喜多さん』を原作とした、歌、ダンス、パフォーマンスで魅せる同名舞台が2016年1月に上演される。江戸を飛び出し、お伊勢参りの旅に出た弥次郎兵衛と喜多八。“リヤル”を求めて西へ西へと進むふたりだが、その道中は奇妙奇天烈なことばかり…。男色で“ヤク中”というキャラ、喜多さんを演じる藤原祐規に話を聞いた。

--今回はとても個性の強い役柄だと思うのですが、喜多八のような役は、以前にもありましたか?

今までにないですね(笑)。最初のシーンから、どういう見せ方をするのか(笑)。

--役作りはいつもどういうふうにされているんですか?

基本的に、キャラクターの成長がどこかしら絶対にあると思って、そこがどこなのかというのを台本を最初から最後まで読んで考えます。全部読んでから逆算とかしますね。『真夜中の弥次さん喜多さん』に関しては、とにかく楽しく、楽しく(笑)。カオスな表現とかもいっぱい出てくると思いますが、それも世界観の一つとして。そのカオスな世界観に存在しても不思議じゃない人間でありたいと思っています。

--藤原さん自身は、どういう方ですか?

役者としては常に悩んでいるというか…満足をあまりしない、「できない」と言う方が正しいです。

--「やりきった!」という思いを抱かれることが少ないのですか?

やりきったとしても、もっと上があるじゃないですか。もっと、もっと、もっと進むためにはどうしたらいいかって。そんなにポジティブな方でもないですし。だから、自分とこの役はすごく合ってるなというキャラクターとは、あんまり出合わないですね。そんなにネガティブな登場人物は、なかなか出てこないです(笑)。単純な好き嫌いで言えば、暗い過去を持っている役のほうを好きになります。

--満足感が得られないというのは、クリエイトの面ではいいことでもありますよね?

そうですね。満足したいなとはずっと思ってますけど、どこかで満足したら終わりなのかもしれないという思いもありますね。

--では、どういうところに舞台の魅力を感じられていますか?

映像や、声の仕事は、収録したものを皆さんに観たり、聞いたりしてもらいますが、舞台の醍醐味は生の役者がその場で演じていることですね。カットもかからない。映像だったらカットがかかって、一番いいものを取ると思うんですけど。それは声の仕事も同じで。舞台にはそれがなくて、幕が開いたら、よっぽどのことがない限りは幕が閉まるまでやる。どんなにミスがあろうと最後までやる。そこには、その場にいる役者たちだけが発するライブ感があります。あと、お客さんによって劇場全体の空気も変わってきますから、ある種、お客さんと一緒に作っている感覚は舞台だけだと思います。そのライブ感がやっぱり舞台の面白さじゃないかなと思います。

--幕が開いて閉まるまで、いつもどんなお気持ちですか?

作品によっても違います。すごく緊張して最初から最後まで台詞を思い出しながらっていうときもあれば、何のブレもなく、台詞が勝手に出てくることもあって。稽古場でも、本番でも出たことのない、自分でも“こんな感情になるんだ”みたいな感覚に陥るときもあります。かといって、それを毎回、コントロールできるわけじゃないですし、前と同じようにできるわけじゃないというのも舞台の面白さではないかなと思います。

--“こんな感情になるんだ”というのは、どんな感じですか?

それが果たして正解なのかはわからないですけど、とっても楽しいです。勝手に動いてるなぁ…みたいな。自分が準備してきたものからかけ離れていれば離れているほど、楽しいなぁと思います。なかなかないですけど…。

--それが訪れるのはどういうタイミングなんでしょうね。

どうなんでしょうね。でも、スイッチが入る瞬間があって。大体の場合が、絡んでいる役者さんの何かを見たとき、聞いたときに、新しい発見が自分の中に入ってきて。そのときに意識がクリアになるというか、そういう感じです。

--声優、舞台、映像と、それぞれどのようにフィードバックされていますか?

舞台からは、目の前の役者とのやり取りの大事さとか…。舞台って、自分で間を取ったりとか、表情が使えたりしますよね。大雑把に言えば、どれだけ間を取ったとしても、動きに意味があったら1分でも(場が)もてる。声の仕事はそうはいかなくて、アニメだったら時間も決まっているし。そういった意味では、声だけじゃない表現方法が舞台にはいっぱいある。簡単に言えば、声は泣きそうでも、顔は笑っているとか。逆に声の仕事では、その一言にどれだけ情報を乗せられるか。例えば、その人の過去や人生を声にどれだけ詰められるか。その一言にどれだけを何を詰められるか。そういった意味で、声優も俳優も、全く違うアプローチの仕方でやらせてもらっているので、両方使えると思っています。声の仕事の技術を舞台で使うことも、使い方がよければすごくいい表現方法になると思うし、舞台の表現方法も声の仕事に絶対に使えると思うので、いいとこ取りできればいいなと思います。

--最後に、舞台に向けての意気込みをぜひお願いします。

男色で“ヤク中”と一言で申しましても、そこにはそれなりの理由があるのだと思うので、そういったことを突き詰めてやりたいなと思います。あと、キャストがみんな知り合いで、全員、1回以上は共演したことがあるんです。気心の知れた仲間達だからこそ、面白くしないとただの馴れ合いになってしまうのではないかと思うので、そういった面でも気合の入り方が違います。“あいつ、こんな面白いことやってきたんだ。じゃあ、俺も”というふうに、みんなで切磋琢磨をしていければいいなと思います。意見を言い合える仲間達なので、絶対に面白く出来ると思います! あのカオスな世界観を舞台として魅せて、どれほど面白いと思ってもらえるかが勝負だと。今までやってきたこと全部出して、皆様の心に残るように、一生懸命お届けできればと思います!



(2015年12月 4日更新)


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藤原祐規
ふじわらゆうき●4月24日生まれ、三重県出身。俳優、声優として多方面で活躍中。2016年2月には、ラジオ番組『文化放送モバイルplus presents ツダケンとフッキーのはてるまでラジオを舞台化する生放送』を文字通り、舞台化した『叫べども叫べども、この夜の涯て』の上演も控える。

おん・すてーじ「真夜中の弥次さん喜多さん」

Pコード:447-419

▼1月22日(金)19:00

▼1月23日(土)13:00/18:00

▼1月24日(日)13:00

サンケイホールブリーゼ

グリーン席-10800円(前方エリア/特典付)

指定席-7500円

[原案・原作]しりあがり寿

[演出]川尻恵太(SUGARBOY)

[劇作・脚本]神楽澤小虎(MAG.net)

[出演]唐橋充/藤原祐規/松本寛也/三上 俊/田上真里奈/岡田あがさ/西山丈也/松本祐一/
田代哲哉/富田麻帆/伊藤修子/汐崎アイル ほか

※未就学児童は入場不可。

キョードーインフォメーション[TEL]0570-200-888

公式サイト
http://www.clie.asia/on_yajikita/

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