ホーム > インタビュー&レポート > 劇団Patchメンバーも参戦! ダンスカンパニー男肉 du Soleilの 「冴えない男たちの汗と涙」を描いた新作ステージ
――今回はどんな物語が展開するのですか?
今回はふたつの小説からヒントを得まして。宇宙産業をやっている工場が社会人野球部を作って、二足のわらじを履いて頑張るっていう、それだけの話です(笑)。元々、スポーツものをしたいと思っていて、やるなら社会人野球かなと。というのも、『実況パワフルプロ野球』というゲームで、社会人プロ野球編っていうのがあるんですよ。工場で働きすぎると野球が下手になって勝てないし、野球をやりすぎると工場が倒産するっていう設定で。このジレンマがいい!と思って、そこに小説の宇宙産業を絡めたんです。僕ら、東大阪にある近畿大学の出身で、その工場地帯の感覚も分かりますし、これは使えるなと(笑)。宇宙ロケットの工場と野球部で、片方に力を入れたらもう一方が落ち込んでいくというジレンマを、ダンスとかラップでうまく見せたいと思っています。
――誰が主役というのはないんですか?
僕が工場の社長役なので主役っぽいんですけど、ゲストで出てもらっている劇団Patchの岩﨑(真吾)君もキーマンですし、井戸(綾子)さんも割と中心になっていますね。
――岩﨑さんはどういう経緯で出演することに?
元々僕が「Patch8番勝負」という彼らの公演で演出として一ヵ月参加させていただいて、そこで出会ったんです。で、今回新しいゲストを探していたときに、岩﨑君面白かったなと思って声をかけたら“ぜひ”というお返事をいただきまして。
――面白いと思ったのはどんなところですか?
めちゃくちゃ純粋なんですよ。ギラギラ感がないというか、田舎からポンと出てきた優しい好青年のような雰囲気があって。ちょっと天然なので、演出する時も1言うと、2返ってくるのではなくて、アルファベットが返ってくるみたいな(笑)。こっちが伝えた意図とは違う捉え方をしたり。でもそれは彼の持ち味というか、感覚として面白いものを持ってるんだなと思って。それに、何よりもすごく真面目なんです。器用な子が多いPatchの中で、彼は不器用で踊るのも苦労していたんですけど、それでも一番必死に最後まで練習していて。誰よりも必死になって汗をかいて踊っているところが逆に魅力的でしたし、サラッとこなされるよりも、不器用だけど真摯に向き合ってくれる感じがすごく男肉っぽくていいですね。
――泥臭いアツさみたいな。
そうなんです。彼の人間味がすごく男肉にハマったなという感じです。実際、最初の稽古で全力で一周走ってくれって言ったら、足の皮がズル剥けになるくらい全力疾走して(笑)。その素っ頓狂な感じも含めていいなと思います(笑)。
――真面目なんですね(笑)。
本当にピュアなんですよ。言われたことをちゃんとやるっていう。
――もうひとりのゲストの井戸さんは、どこで活動されている方なんですか?
元々、京都でドキドキボーイズという劇団にいた人で。一度うちのワークショップに来てくれて、その後、稽古にも見学に来てくれたんです。で、今回、社長の一人娘役のイメージに合う女優を探すことになって、声をかけたら出てもらえることになって。彼女は、稽古中ずっと無表情で淡々としている感じなんですけど(笑)、できなかったら眉間にしわ寄せて、頭かきむしったりするんです。彼女も電話で相談してきたりもしますし、必死で挑戦してくれている感じがいいですね。
――ふたりに注目してみます(笑)!宇宙産業がモチーフに含まれているということは、今回も男肉定番の、壮大な物語が期待できそうですね。
僕らのテーマは“SAVE THE EARTH”なんでね(笑)。最初は会社の物語をダンスやラップを交えながらやりつつ、最後はダンス連打で、ダンスで汗かいて地球を救おうぜ!と(笑)。
――ダンスの選曲の基準は?
僕ら世代が通ってきたJ-POP、アニメ、ゲームの歌ですね。ダンス連打としては4曲で、全部で8曲踊ります。流行りの曲は使わずに、ちょっと古いくらいのものを。あと、誰も気づかないボケみたいなのも入れたりして、遊んでいますね。
――今回のダンスでチャレンジしていることとか、新しい試みはありますか?
今回は“祝祭”をテーマにしているんです。で、お祭りって何やろうって考えると、盆踊りもそうですけど、基本的に同じフリを円になって動いたりするでしょ。だから、最後のダンスはずっと円になって踊ったり。今までは、例えばJ-POPならAメロは全体で踊って、サビはめちゃくちゃ激しくしてっていう作り方だったんですけど、実はサビを簡単にした方がお客さんはノリやすいということが分かって。それはクラブイベントで感じたことなので、演劇を観る方たちもそうなのかは定かではないですけど、今回はそういうところを意識して作っています。とにかくみんなで走って移動して、同じことを繰り返して、お祭り騒ぎにする。結局、ピョンピョンとジャンプして手を挙げながら真ん中に集まってくるのが、一番祝祭感があるんじゃないかなと思います。
――確かに、分かりやすいですね。
そうなんです。分かりやすさがすごく大事だなと思ったんですよね。
――その“祝祭感”に着目したのはなぜですか?
コンテンポラリーとかモダンダンスとか、ショーダンスとか…、いろんなダンスを入れたくて。僕らは、ダンス連打をしてみんなが死ぬというのはテッパンとして決めていて、どういうダンスをしたら最後ワーッと盛り上がれるんやろうって考えた時に、最後はどんどんテンションを上げていくものがほしいなと。それをダンスでやるとなったら、お祭りだろうと思ったんです。元々は、前回出ていただいたヨーロッパ企画の永野宗典さんが、“男肉の祝祭性がいい”と言ってくれて。でも自分たちとしてはそういうつもりはないというか、お祭りは好きなんですけど、祝祭ってそのもう一つ上なので、考えたこともなかったです(笑)。でも今回はそこを到達点として、最後のダンス連打に関しては、祝祭らしくしようと。
――今までよりも、より祝祭っぽく。
そうなるといいなと思います。そもそも、死んで生き返るわけですからね。儀式感が溢れまくってるでしょ(笑)。そこに一番ピークを持ってきて、ざっくばらんに、地球がヤバいから踊るぞっていう、シンプルな形にしているんです。
――行きつくところは、地球を助けるためにダンスを踊る (笑)。
そうです。必死になろうぜ!汗かこうぜ!っていうところですね、結局は(笑)。
――では最後に、今回の意気込みを改めてお願いします。
今回は会社と野球の物語で、さえない男たちがガッツリ涙を流して熱くなるという、一直線の部分を描いています。まさに、汗が飛び散るのを感じると思うので、そこを味わっていただきたいなと思いますね。
――男肉らしい、暑苦しい感じですね。
今まで以上に(笑)。そいつらが泣いて、笑って、叫んでというのをガツンと見せますので、劇場で一直線に肌で感じてほしいなと思います。
取材・文:黒石悦子
(2015年11月10日更新)
▼11月11日(水) 19:00
▼11月12日(木) 19:00
▼11月13日(金) 19:00
▼11月14日(土) 13:00/18:00
元・立誠小学校 音楽室
当日
一般-2900円(指定)
学生-2500円(指定)
男肉飛び散る席-2500円(指定)
絶対安全席-3000円(指定)
※11/12、13は、公演終了後「おまけトークショー」あり。
※未就学児童は入場不可。
サウンドクリエーター
[TEL]06-6357-4400
発売中
Pコード:447-017
▼11月16日(月) 19:30
▼11月17日(火) 19:30
▼11月18日(水) 19:30
駅前劇場
一般-2500円
学生-2000円(当日要学生証)
男肉飛び散る席-2000円
絶対安全席-3000円
※11/16、17はおまけトークショーあり。
※未就学児童は入場不可。
[問]サンライズプロモーション東京
[TEL]0570-00-3337
[出演]池浦さだ夢/江坂一平/小石直輝/高阪勝之/城之内コゴロー/すみだ/チェン/森本萌黄/吉田みるく