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咲き乱れる悪の華！
『絵本合法衢』で稀代の大悪党二役を演じる
片岡仁左衛門に悪役の魅力と「七月大歌舞伎」
の見どころと意気込みをインタビュー！

7月3日(金)に大阪松竹座で初日を迎える「七月大歌舞伎」。大阪に夏の訪れを告げる風物詩としてもおなじみの本公演は、今年も昼の部、夜の部とも歌舞伎の楽しさや面白さ、魅力が感じられる作品が揃った。昼の部は四世鶴屋南北作の『鈴ヶ森』、舞踊で魅せる『雷船頭』、森鷗外の短編を宇野信夫が脚色、演出した新歌舞伎『ぢいさんばあさん』を上演。そして夜の部では、大阪松竹座では初となる、四世南北作の『通し狂言 絵本合法衢（えほんがっぽうがつじ）』を上演する。『絵本合法衢』で、大名多賀家の一門・左枝大学之助（さえだだいがくのすけ）とその配下の立場の太平次（たてばのたへいじ）の二役で悪の限りを尽くすのは片岡仁左衛門。作品はもとより、「七月大歌舞伎」への思いを聞いた。

 
史実を基に四世南北の手によって作られた『絵本合法衢』は、大阪、京都を舞台にしたお家乗っ取りとあだ討ちの物語。武士の大学之助と、市井の小悪党、太平次という異なる立場の悪人二役を演じる仁左衛門は「とにかく悪人（役）が好きなんですよね」と語る。「この二役はやりがいがあります。武家人と市井の民のコントラストですよね。また、この物語は非常に残酷なお芝居なんですが、悪が強ければ強いほど話に面白みがあります」とその魅力を説く。
 
「七月大歌舞伎」では、昼の部に『鈴ヶ森』、夜の部に『絵本合法衢』と、四世南北の作品が二作上演される。南北作品の魅力を尋ねると、「どの作品も人間が“生”なんですよね。きれいに書き上げていない。太いタッチで非常に生き生きと、人間模様がうまく組み立ててあります。悪人は悪人なりに、善人は善人なりに、一生懸命生きている姿を描いています。演者としてもすんなり話の世界に入っていけます」と語る。
 

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初めて歌舞伎を観る方にも分かりやすい作品が並ぶのも「七月大歌舞伎」の特筆すべき点。「昼の部では、『鈴ヶ森』は理屈なしで楽しんでいただけます。『雷船頭』も踊りで楽しんでもらえますし、夏らしくて非常に楽しく出来上がっています。『ぢいさんばあさん』は私の大好きな狂言で、初めてご覧になった方も肩がこらずに楽しんでいただけます。ほのぼのとした、涙もあり、温かみもあり、笑いもありというお話で、お客様には“ああ、楽しかったな”という気持ちで劇場を後にしてもらえると思います。昼の部は上演時間も短めなので、気軽に観ていただけます」と仁左衛門。夜の部『絵本合法衢』でも、「観終わって、どこかでお茶を飲みながらお芝居の感想を言い合えるようなお時間もあるのではないかと思いますので、ぜひ」と誘う。
 
また、『絵本合法衢』では、演出・補綴の故奈河彰輔氏への追悼の意も込められている。「奈河さんとは半世紀以上のお付き合いで、お芝居の作り方を勉強させていただいた大恩人です。一緒に本を作るときも、たとえば『三味線やくざ』では、自分の思いを訴える長台詞があったんですけど、“この台詞を言わんとこの役の気持ちがわからへんから”と言ったら、奈河さんが“仁左衛門さんの気持ちはよくわかりますけど、長かったらお客さん聞いてまへんで”と。要点を掴んで、ぽんぽんぽんと運ぶ。通し狂言といっても『絵本合法衢』も全編をやると朝から晩までかかるものなので、それをどう刈り込んでいくか。ストーリーがわかればいいというものではないですから。楽しめて、ストーリーもわかるものを」と監修も勤める仁左衛門。特別な思いで挑む。
 
「『七月大歌舞伎』は約40年前に“歌舞伎を育てる会”から始まり、そのおかげで関西での歌舞伎公演が増えました。そういう意味でも、夏の公演は大事にしたいなと思います。そして、当時の思いを忘れずに、多くのお客様に観ていただきたいと思います。歌舞伎をご覧になったことのないお客様にも“ああ、歌舞伎って面白いな、また観よう”と思ってくださるようなお芝居をお見せできれば。普段から思っていることですが、特に『七月大歌舞伎』は意識して、大成功を納めたいと思います」と意気込む。
 
「七月大歌舞伎」は7月3日(金)より大阪松竹座にて開幕。上演は7月27日(月)まで。チケット発売中。
 



（2015年6月26日更新）


Check
片岡仁左衛門

七月大歌舞伎

発売中　Pコード：444-766

▼7月3日(金)～27日(月) 　大阪松竹座

一等席-17000円
二等席-9000円
三等席-6000円

＜昼の部 11:00＞
『御存 鈴ヶ森』
『雷船頭』
『ぢいさんばあさん』

＜夜の部 16:00＞
『通し狂言 絵本合法衢 立場の太平次』

[出演]片岡仁左衛門/片岡秀太郎/中村歌六/中村時蔵/中村錦之助/片岡孝太郎/市川家橘/市川高麗蔵/他

※日時･席種により取り扱いのない場合あり｡4歳以上は有料｡

[問]大阪松竹座[TEL]06-6214-2211

大阪松竹座
http://www.shochiku.co.jp/play/shochikuza/

歌舞伎美人「七月大歌舞伎」
http://www.kabuki-bito.jp/theaters/osaka/2015/07/post_42.html

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