ホーム > インタビュー&レポート > 助手のワトソンが女性という設定でも話題を呼んだ 韓国発ミュージカル『シャーロック・ホームズ』 橋本ホームズ×一路ワトソンのコンビはそのままに シリーズ2日本版関西公演がまもなく開幕!
--『シャーロック ホームズ ~アンダーソン家の秘密~』(以降、「1」)すごく楽しかったです。ワトソンが女性というのがこの作品のポイントですが、前回、おやりになっていかがでしたか?
シャーロック・ホームズの助手ということで物語を説明する役割が多かったので、「1」でも冒頭から「シャーロック・ホームズはこんな事件の解決をするんです」と説明するところから始まり、幕開けからピリッとした緊張感がありました。ただ、作品の中でワトソンとホームズのコンビが少しホッとするような場面もあって、引き締める部分と緩める部分、両方の役割を持っていたと思います。
--「2」でもプロローグは歌で?
そうなんです。今回は冒頭から本編の事件に関して説明していますので、かなりへヴィな幕開けになります。曲がすごくカッコよくて。また、前回より出演者が増えているので、大掛かりなミュージカルのようなオープニングに見えるかなと思います。どうなっていくんだろうと、ワクワクさせる感じですね。
--『シャーロックホームズ』は韓国発のミュージカルですが、日本で作られたような印象がありました。
私は「1」を韓国で見ていたので、頭の中では韓国ミュージカルの音楽性を感じていたんですけど、橋本さんがぐいぐいと“橋本ワールド”に引っ張っていらしたので、気が付いたらみんなそこに乗っていましたね。橋本さんのパワーで、いい意味で日本のオリジナルのような感じに持っていってくださっていたんです。
--“橋本ワールド”というのは?
いい意味で、橋本さんが持ってらっしゃるカラーがどの作品にも出ていらっしゃるんです。今回ももちろん、シャーロック・ホームズ以外何者にも見えませんが、シャーロック・ホームズって映画でもいろんな方がやっていらっしゃるし、韓国オリジナルのホームズ役の方もいらっしゃるんですけど、今となっては私達の中ではシャーロック・ホームズといえば橋本さんなんですよね。インパクトが非常に強い方なので、そういう方が一人、真ん中にいらっしゃることで橋本さんが作るシャーロック・ホームズの世界に身を投じるというか(笑)。私はまさしくそうでしたね。男性のワトソンを女性に置き換えていたので、どういう立ち位置で、どういう役作りをしようかなと最初は悩んでいたのですが、気が付いたら橋本さんに引っ張られていたというか。ワトソンが姉さん女房的に引っ張っている風情ではあるのですが、結局、橋本さんの芝居観や歌の世界に引っ張り込まれていた感じがありました。なので、今回はもうちょっとワトソンも自立しようという覚悟です(笑)。
--改めて橋本さんとコンビを組まれてどうですか?
実は前回が橋本さんと初めての共演でした。しかも橋本さんはすごくお忙しくて、稽古場でディスカッションができなかったんです。お互いにひたすら自分の歌を覚えて、自分の台詞を覚えて、ボーンってぶつけるぐらいしかなく、こんなふうに名コンビと言われるなんてゆめゆめ思ってないという状態で初日を開けました。だから、きっと根本的に持っているものが合ったんだろうなと思って。今回久しぶりにポスター撮りで会ったときに、すごい居心地がよかったので、元々何か似通った部分があったんじゃないかなと思いますね。今回は前回のような探っていた部分がなく、お互いに割りと言いたいことを言っていますから、本当に楽です(笑)。前はこんなことを言ったら橋本さん傷ついちゃうかなって思っていたことも言って、向こうも言ってくるから、気持ちいいですね(笑)。
--作品の面で、「1」と「2」の異なる部分はどこでしょう?
昨年1月に「1」が大阪で幕を開けて、その後、東京で上演して。東京公演の初日に韓国でシャーロック・ホームズをやっていらしたソン・ヨンジンさんが観に来られたんです。その時点でソンさんは既に「2」の稽古に入っていたんです。で、私達が「『1』が大変だった、難しかった」って口々に言っていたら、口角を上げてにまって笑うんですね。「何?」って聞いたら、「今、僕達がやっている『2』は比じゃない」みたいなことをおっしゃて。私達、急に無口になっちゃって(笑)。その時点で日本での「2」の上演は決定していなかったのですが、やれたらいいなとみんなで話していました。今、譜面をめくりながら、あの時のソンさんの言葉が思い出されます。「難しい」とおっしゃっていた意味がよくわかります(笑)。
--音楽が難しいのですか?
音楽が難しいです。この難しい音楽に日本語をはめた森雪之丞さんはブラボーですね。とにかく曲が長いんです。「1」の比じゃないんですよ! 切り裂きジャックを語っている歌詞なので、ある意味、残酷なことを言いますし、旋律もキーも、切実な叫びになっています。ただ、演じ手達が精一杯のところで表現していれば、「こんな大変な事件があったんです!」っていう空気になるから、その意図は伝わると思うんですけど…。実際やると本当に危ないですね (笑)。2曲目で全員、倒れちゃうんじゃないかと思うんですけど、頑張ります! 今回も16分くらいあります。
--「1」と「2」のワトソンさんの違いを、改めて教えてください。
「1」では、女性のワトソンをどう演じようかと考えていました。非常にクールな、事務的な立ち位置なのか、心の奥ではホームズに対して異性としての何か特別な思いを持っているのか、人間味をどのあたりから出せばいいのか、そういうところをすごく悩みました。最終的にはホームズに対してほのかな思いを持っているというところを作れていたので、「2」ではそのベースは変えずに前回のワトソンを上手に持っていきたいと思っています。また、今回非常に違うのは、あまりにもホームズが窮地に立たされてしまうので、ワトソンが頑張るしかないというところもあるんですね。前はホームズについて行って後ろでメモを取るワトソンだったとしたら、今回のワトソンにはホームズとケンカしてもいい、私が行く!みたいなところもあるので、ワトソン独り立ちという感じでしょうか(笑)。
--切り裂きジャックは、シャーロック・ホームズにはない題材ですよね。
そうなんです。切り裂きジャックの史実に沿った事件はプロローグの私が歌う部分で説明するのですが、本編に出てくるエピソードはオリジナルです。
--また『シャーロックホームズ』を上演できるという嬉しさはありますか?
そうですね。舞台のたびに初対面の方が集まって、ああでもないこうでもないと話し合いながら作っていくというベースがあるとしたら、今回は、そのベースの上で新しいチャレンジができるので、前回からの続投ということに関して言えばスタート地点を割と前の方に置けるんです。そうすると切り口もいっぱい見えてくるので、そういう意味では非常に役者冥利に尽きるというか。ベーシックな部分は既にあるので、すごく楽しいですね。
--そこに新たなキャストが入られます。
別所哲也さんとは初めてで。橋本さんは、ミュージカルで別所さんと同じ役をされていたとのことですが、共演はしていないそうなんですね。ミュージカルファンにはたまらない役どころをやっていらっしゃる方々が一緒の舞台に立つんです。
--「1」では大阪が初日でしたが、「2」は大阪で千秋楽を迎えられますね。
「1」のときの大阪での幕開けは本当によかったです! 関西のお客様が乗ってくれて、笑ってくれて、盛り上げてくれたことに背中を押されて東京に帰れた感じがしました。稽古中からずっと緊張していて、肩の力がぐーっと入っていたのが、大阪のお客様にほぐしてもらったという思いがありましたね。橋本さんとも“関西が初日でよかったね~”って言っていたんです。日本でこういう推理ものを上演するのは、ある意味すごく冒険だったと思うんです。だから関西のお客様が喜んでくださったことがすごく自分達の励みになりました。今回は大千秋楽が関西なので、関西の方に思いっきり盛り上げていただけたらと思います。頑張ります!
(2015年5月18日更新)
発売中
Pコード:441-023
兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
全席指定-11000円
[劇作・脚本]キム・ウンジョン/斎藤栄作(上演台本)
[翻訳]森雪之丞(訳詞)
[演出]板垣恭一
[作詞]ノ・ウソン
[音楽]チェ・ジョンユン
▼5月21日(木)13:00
▼5月23日(土)12:00
▼5月24日(日)12:00
[出演]橋本さとし/一路真輝/秋元才加/良知真次(Wキャスト)/竹下宏太郎/まりゑ/春風ひとみ/コング桑田/別所哲也/他
▼5月22日(金)13:00
▼5月23日(土)17:00
[出演]橋本さとし/一路真輝/秋元才加/小西遼生(Wキャスト)/竹下宏太郎/まりゑ/春風ひとみ/コング桑田/別所哲也/他
※未就学児童は入場不可。一部Wキャストあり。
[問]芸術文化センターチケットオフィス
[TEL]0798-68-0255
ミュージカル「シャーロックホームズ2 ~ブラッディ・ゲーム~」
http://www.s-holmes.com/
▼5月21日(木)13:00公演
[出演]橋本さとし/秋元才加/良知真次/別所哲也
▼5月22日(金)13:00公演
[出演]橋本さとし/一路真輝/小西遼生/良知真次
時は1888年、ロンドンで5人の売春婦が変死体で発見されるという狂気的な殺人事件が発生した。その捜査をロンドン警視庁から依頼されたシャーロック・ホームズ(橋本さとし)は、犯人に向けてある罠を仕掛ける。しかし、新たな殺人事件が発生し、助手のワトソン(一路真輝)の助けも虚しく最大のピンチに陥いる。そんなふたりの元に、盲目の聖女として崇められるマリア(秋元才加)とエドガー(小西遼生・良知真次/Wキャスト)、バーミンガム警察から派遣された敏腕刑事・クライブ(別所哲也)らが加わり、世紀の殺人鬼“切り裂きジャック”と対決する。