人気コミック『弱虫ペダル』を舞台化したシリーズ第5弾
「舞台『弱虫ペダル』箱根学園篇~野獣覚醒~」開幕!
主人公・荒北靖友を演じる鈴木拡樹にインタビュー
2008年より『週刊少年チャンピオン』で連載中の人気コミック『弱虫ペダル』。ロードレースという自転車競技を題材にした、コミックス累計1100万部突破という今最も熱い少年漫画だ。2014年10月にはテレビアニメ2期も放映中で、更なる盛り上がりを見せている。
舞台化は2012年2月に第1作目が上演。作・演出家 西田シャトナーが独自に生み出した表現技法“パズルライドシステム”を駆使し、舞台上でロードレースを再現。その手法は話題となった。
そして、小野田坂道役の村井良大をはじめ幅広く活躍する実力派俳優陣が熱演を繰り広げ、今年3月までに4作品を上演。最新作が10月23日(金)より大阪・シアターBRAVA!で幕を開ける。「舞台『弱虫ペダル』箱根学園篇~野獣覚醒~」は、原作の渡辺航自らが描き下ろしたスピンオフ漫画『SPARE BIKE』から、箱根学園の荒北靖友を軸に、ライバル達をクローズアップした物語。荒北役の鈴木拡樹に今作への意気込みを聞いた。
--今回で5作目となる舞台『弱虫ペダル』ですが、鈴木さんは荒北靖友をどのように捉えていますか?
荒北は僕と逆なところが多いですが、だからこそ見つかる魅力もたくさん持っていると思うんです。今作の“野獣覚醒”は、一度挫折を味わった荒北が新しい希望に向かって進みだすところを描いているのですが、最初から「てっぺんはどこだ?」って聞くところもすごくシビアだし、躊躇することなく「じゃあ、俺はそこを目指す」と言うところもカッコイイ。舞台でもばっちり、荒北の魅力を伝えたいと思います。
--2012年から始まった舞台『弱虫ペダル』の流れで言うと、インターハイの2日目を終えて、3日目のゴールを前という時点で、「箱根学園篇」の第2弾である“野獣覚醒”が上演されます。この点については、どうお考えですか?
作品として大きな勝負だと思います。というのも、今回、「箱根学園編」を描かせていただくことによって、もし次に「インターハイ3日目」ができるとしたら、「3日目」は箱根学園の一人一人をより知っていただいた状態で突入できます。それで、本来の主人公チームである総北高校とのバトルにも厚みが増すと思いますし、すごくいい機会だと感じています。
--原作と舞台、それぞれの魅力を教えてください。
原作の魅力から言いますと、僕はロードレースという世界観を知らないまま、このお話を読みました。小野田坂道くんが主役で、小野田くんもロードレースをまったく知らない、素人の状態からスタートして、どんどん成長していく。彼のリズムに合わせて僕たちも、「ロードレースってこういうものなんだ」ということを学んでいける。その楽しさですかね。それにプラスして、一人一人のキャラクターの性格も足されて、魅力が満載で。一度読み始めたら、止まらないんですよね。そういう魅力を持っているなと思いました。その原作を元に舞台ができるのはすごく嬉しいです。ただ、舞台では自転車に乗っているところをどう表現するか。そこに演出の西田シャトナーさんの技法「パワーマイム」が当てはまって。当初はどうなるんだろうという疑問がたくさんあったのですが、今では逆に舞台にフィットしすぎて、この作品は舞台化するためにあったのかなって思うくらい(笑)、とても舞台映えする作品になりました。舞台『弱虫ペダル』は、ハンドルだけでロードレースを描いています。なので、お客様も想像力をフルに使って、観ていただく。これこそが舞台ならではのことだと思います。劇場に足を運んでくださった方には伝わっていると思いますが、熱量がすごいんです! キャストも感じているその場の空気感が、お客様にもより伝わっているんじゃないかなと思います。
--作品はお客様の想像力もあってこそ完成されると。実際演じられていて、そういった手ごたえを感じられますか?
随所で感じますね。会場全体の空気が変わります。その役に集中していても、場の空気が変わったことがわかるんです。お客様もそう感じているんだろうなって思うところはありますね。
--今回は大阪公演が先ですね。
そうなんです。それが本当に嬉しくて。これまでは東京から始まって大阪へとうい流れだったのですが、地元が大阪ということもあって個人的に嬉しいです。あと、滝川英治さん、植田圭輔くんも大阪出身なので、大阪から“ハコガク篇”を上演できるのは、他のメンバーにとっても嬉しいことだと思います。
--スピンオフ漫画『SPARE BIKE』シリーズは、読まれてみてどうでしたか?
改めて靖友をかっこいいなと思うことが多かったです。舞台も、インターハイ篇に突入してからは走っているシーンがメインになってきていたんですけど、今回はスピンオフ漫画が原作でもあるので、一人一人のキャラクターをより見せられたらと思いました。
--動きと会話、それぞれ舞台で魅せる上で工夫されていることは?
走っているときは、発声が大変だったり、姿勢が前傾に近いので表情が見えにくいということもあるので、“ここは顔を思いっきり見せた方がいいな”とか、要所要所で計算して作っているんですけど、会話中はラフな会話劇ができると思うので、“あ、高校生なんだな”って再認識していただくようにしたいです。
--舞台についても勉強中とのことですが、どんな勉強をされたのですか?
いろいろです。勉強したいことがまだまだたくさんあるんですけど、最近では幅を広げて、音響、照明の勉強もしています。照明ってなかなか、勉強できないんです。日本で手に入る専門書も少ないですし。照明スタッフさんは特に、稽古が終わって劇場に入ってから限られた時間の中で(舞台を)作るので、僕たち役者が照明スタッフさんの仕事をあまり理解していなかったゆえに、舞台のプランを作り変えるということもあって。それは、こちらが理解していたら稽古段階から工夫できたことなんですよね。そういうことも視野に入れると、より一体感があるというか…。照明さんがやりたいことを理解する、音響さんがしたいことも理解する、そういうことがわかると、より舞台人になれるのかなって思います。また、そういう姿勢でやっていれば、お客様にも細かいところ、より深いところまで知っていただけると思います。
--では、最後に「舞台『弱虫ペダル』箱根学園篇~野獣覚醒~」をどのように楽しんでもらいたいか、メッセージをお願いします。
この作品を知らない方も惹きこまれると思います。“舞台って何?”って思ってる方は特に観に来てください!この作品はとても舞台ならではの面白さにあふれた舞台だと思います。舞台の原点と言っていいような手法も使っていますし、舞台の魅力を余すところなく知っていただける作品です。この記事を読んでくださっている方の中には、「舞台って行ったことないけど、どんなんだろう」って迷っている方もいらっしゃるかもしれませんが、観に来ていただけると楽しさがわかると思います。テレビでは味わえない生の臨場感、隣のお客様の息遣いとかもわかりますし、そこにハマる方も多いんじゃないかと思います!
(2014年10月23日更新)
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