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札幌の注目劇団introが
新作『薄暮(haku-bo)』で大阪初登場!

札幌を拠点に活動する劇団introが大阪に初登場。10月3日(金)~5日(日)、in→dependent theatre 2ndにて新作『薄暮(haku-bo)』を上演する。脚本・演出を手掛けるのは、劇団主宰でもあるイトウワカナ。近年は東京にも活動を広げ、ポップな表現の中に描かれる作品の“地域性”が高い評価を受けている。今回、初の大阪公演を前に、イトウに話を訊いた。

「演出はとにかくポップに作りますね。でも脚本が真逆で、毒気が効いていると言われることが多いです」と語るイトウ。彼女がよく題材にするのは、女性の生活や家族の話だ。稽古場で劇団員と話をしながら、面白いと思ったことを物語に取り入れていく。今回の新作では、札幌に生まれた姉妹の話を軸に、さまざまなエピソードを絡めながら展開する。
 
「大人になると、未来のことを思い描かなくなっていくねっていう話から、一度、過去を振り返ってみたいなと思ったんです。それで今回は、小さい頃に経験したことを、実体験と想像と、メンバーの若い時の状況とをすべて織り交ぜながら、ひとりの人を作りました。“薄暮”は日が沈む前の状態のことで、この話では、本当の夕暮れの時間帯のことも言えるし、将来のことがよく見えない状態でもあるし、年をとって先が闇になっていく直前のことでもあるんです。私自身、薄暮は空の色が大きく変わっていくファンタスティック感が好きなんですけど、逆に暗くなっていくのが嫌いな人もいて。その寂しさって、冬になっていくときの感覚に似ているんですよね。私、あの感覚が本当に嫌いで移住したいくらいなんですけど(笑)、それでもずっと同じ場所に居続けるのは何か理由があるのかなって。そういう、自分の地域性を考えてみたいとも思ったんです。今まで自分のことを題材に書いたことがないので、恥ずかしい気持ちでいっぱいです(笑)」。
 
演出では、リズム感にこだわったセリフ回し。「ポップといわれる所以はそこにあるのかも」と語る。「リズムはとにかく大事にしていて、早口なんですけど、一拍開けてくださいっていう指示を出したりしています。セリフでは、ひどいことをサラッと言わせることが多いですね(笑)。女々しい人に、目を覚ませ!って平手打ちするような。それが気持ち良いと言ってくださる人もいますし、意地悪だね~って言われることもよくあります。言いたい放題吐き出させて、話が進んでいくスタイルは独特なんじゃないかな、と思います。でも今回初めて、ちょっとゆっくりなシーンも取り入れているんです」。
 
いつもターゲット層を決めて書いているというイトウ。しかし、さらに上の世代からも高い支持を受けている。「大体いつも女性に向けて書いているんですが、30代女性に向けて書くと、50代男性にも響いたりするんです(笑)。なぜか、その世代の方とも相性が非常に良いんですよね。今回は、同世代の男女に向けていて、30代のドンピシャの人が観ると、共感していただけたり、何か感じていただけるんじゃないかと思うので、特に同世代の方にはぜひ観ていただきたいと思います」。
 
取材・文:黒石悦子



(2014年10月 3日更新)


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プロフィール
いんとろ●脚本・演出のイトウワカナを中心に、’06年よりユニットとして活動開始し、’09年より劇団化。以降、札幌を拠点に年2~3回のペースで公演を行っている。平均年齢36歳。奇抜なポップ感覚、非日常を感じさせながらも日常的な言葉の数々を駆使し、猛スピードで展開。’12年に初の東京公演を行い、'13年には佐藤佐吉賞優秀演出賞を受賞。

intro『薄暮(haku-bo)』

▼10月3日(金)19:00
▼10月4日(土)14:00/19:00
▼10月5日(日)14:00

in→dependent theatre 2nd

前売2500円 当日3000円
高校生以下無料(数量限定要予約)

[作・演出]イトウワカナ

[出演]佐藤剛/のしろゆう子/石田聡子/滝ヶ平愛美/宮沢りえ蔵(大悪党スペシャル)

【アフタートークゲスト】
10月3日(金)19:00
ごまのはえ(ニットキャップシアター)
高原綾子(ニットキャップシアター)
澤村喜一郎(ニットキャップシアター)

10月4日(土)14:00
加藤智之(DanieLonely)、Sun!!

10月4日(土)19:00
赤星マサノリ(sunday)、坂口修一
 
※10/5(日)はアフタートークなし。

[問]090-2698-1955

インディペンデントシアター
http://itheatre.jp/

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