東京公演は前売り完売! 話題沸騰!!
ところかまわず駆け回るいたずら好きの道化たちに
フロアを覆い尽くす蜘蛛の糸や大量の雪…
大人も童心に返って楽しめる体感型ファンタジーショー
『スラバのスノーショー』がまもなく大阪に初登場!
主宰のスラバ・ポルニンにインタビュー!
1993年の初演以来、世界30カ国以上、120を超える都市で500万人を動員してきた“体感するファンタジーショー”、『Slava’s SNOWSHOW スラバのスノーショー』。ロシア出身のアーティスト、スラバ・ポルニンが創作・演出するパントマイムショーで、動きと表情だけで人間の喜怒哀楽を表現。会場に蜘蛛の糸を張り巡らせたり、大量の“雪”を降らせたりと、観る者を圧倒させるパフォーマンスも人気を呼び、世界7カ国で数々の演劇賞を受賞、世界中を魅了している。
そして2014年夏、満を持しての日本公演が実現! 8月6日からは東京公演が始まり、噂が噂を呼んで瞬く間に前売りチケットは完売に! まもなく始まる大阪公演も期待せずにはいられない『スラバのスノーショー』について、主宰のスラバ・ポルニンに話を聞いた。
――まず、『スラバのスノーショー』創作のきっかけを教えてください。
スラバ:90年代の初めにある道化のプロジェクトが成功し、一旦きりがついたので、そのカンパニーを閉じて新しいことを始めようと思っていました。その時はまだそれが何なのか言葉で表現するのは難しかったのですが、今までやっていた道化とはまた違う可能性を探していました。道化の世界とはまた違う、現代のいろいろな文化を融合した形で何か面白いことができないかと思っていたんです。それで、悲劇とか、不条理といった、まったく違うジャンルのものを道化と結び付けたようなものがしたいと思い、台詞、言葉を一切使わず、ビジュアルで表現して発信していくことを課題としました。そしてビジュアルの表現方法の一つとして絵画に注目し、ファンタスティック、あるいはシュールレアリスティックな表現に関心を持つようになり、だんだんと絵画の世界にも近づいていきました。
――絵画の世界は、たとえばどんなものに関心を持つようになったんですか?
スラバ:日本では宮﨑駿さんの世界観に非常に近いものを感じますし、舞踏の山海塾とも接点があるのかなと感じています。ヨーロッパの芸術家では、イタリアの映画監督のフェリーニ、ピナ・バウシュのコンテンポラリーダンスの世界、それからロバート・ウィルソン、そういった方たちと接点があるように思います。道化の世界というは、ある意味で子どもたちのための見世物になっていったと思うのですが、私がやってきたことは現代のお客さんの琴線に触れるようなものが作れるようになったんじゃないかなと思っています。
――『スノーショー』は雪をモチーフにされています。なぜ雪なのか、その着眼点を教えてください。
スラバ:複合的な意味を持っているもの、一つのイメージにいろいろなものを孕んでいるのが好きなんですね。私にとって雪は、すばらしく、ロマンチックな存在です。たとえば秋が終わって、だんだんと雪が降り始める。その白さは、まるで花嫁さんの衣裳のようで、荘厳で、とても美しいものです。また、真っ白なノート、紙、まだ何も書かれていないまっさらな状態。そういったものも連想します。雪は、いろんな連想を孕んだとき、非常に面白く、クリエイトになっていきます。一方で雪は恐怖とも隣接しています。
――その恐怖というのは?
スラバ:子どものとき小さな村に住んでいました。すごく雪深い地域でした。母は商売をしていて、冬になると何メートルも積もった雪の中を仕入れのために出て行き、数日間、戻ってこないこともありました。そんなとき、「お母さん、いつ戻ってくるのかな」と思うこともありました。北の民族にとって雪というのは死のシンボルでもあるんです。
――なるほど。
スラバ:私の妻のエレーナはヤクートという北極圏の地域の出身なのですが、そこはマイナス50度、60度になってしまうようなところです。その地域の雪の捉え方が面白くて、雪には64種類の色があるというのです。また、子どもにとって雪は最高の遊び道具です。子どもたちは朝、「雪だー!」と喜んで出て行き、夜まで飽きもせず遊んで、大満足して家に帰ってきます。私にとって子どもは、人間の理想的な姿です。なので、『スノーショー』の主役も子どもなんです。
――理想的な姿というのは、たとえばどういうところでしょうか?
スラバ:私たち一人ひとり、大人になるにつれていろんなものを諦めたり、失っていきます。夢や可能性、そういったものをなくしていきますが、子どもの頃のことを思い出すことによって理想に近づくと考えています。誰でもそうだと思いますが、“子どもの自分”を持っている人は幸せだと思うんです。子どもらしさを失わないでいる。そういったことが幸せと結びついているのかなと思います。
――宮崎駿さんのアニメと接点があると考えられているのも、その子どもの姿でしょうか?
スラバ:そうですね。駿さんの作品も、子供に対する接し方や態度とか、夢とは何なのか、そういったことを追求されているように感じます。
――また、雪は死のシンボルということですが、この『スノーショー』も生死観を織り交ぜた作品になっているのでしょうか?
スラバ:同時にいろんなものが入っています。死のシンボル、美のシンボル、子どもなど、雪にはいろんなものが入っていると思いますが、生と死に対する私の態度が作品に現れるているのは、そのとおりです。
――『スノーショー』は道化が主役ですが、そもそも道化とはどういう存在なのでしょうか?
スラバ:まず申し上げたいのは、伝統的な道化と、『スノーショー』の道化はまったく違うものであるということです。ロシアにも道化の殿堂があったのですが、私はそれに対して革命を起こしたような、まったく違うことをやってきました。何年も何年も、道化は笑いを起こすものだという認識がありました。ですが、私は、道化とはそれだけではなく、いろんなものを孕んだ世界全体のことだと提示しました。たとえば、私のカンパニーの道化は、笑っている状態と泣いている状態を同時に見せることができます。また、同時に恐怖や神秘的なもの、謎、奇跡を呼び起こします。一般的には道化は“国民から愛されるべき子ども”という定義があり、わがまま放題をやって暴れたり、バカなことをやっても全部許されます。また、芸術史における道化とは唯一、権力を持った王に対して真実を言うことできる存在と位置づけられています。一番身分が低くて、一番愚かですが、実は真実を伝えることができる存在なんです。
――そういう存在だからこそ、大人も楽しめるものだと。
スラバ:正確には、私たちが作っているショーは大人に向けらたものです。大人を子どもにするためのショーなんです。なので、ショーの最後には、みんながみんな子どもになります。どの大人も子どもになってしまいますね。
――『スノーショー』は世界30カ国、120以上の都市で上演されていますが、大人が子どもになるというのは、どの国も共通していますか?
スラバ:そうですね。いろんな国ですべての大人が子どもへと変わっていく姿を見ています。1000人のお客さんが毎晩、幸せになってく姿は、この仕事をやっている中での最大の喜びであり、幸せです。ショーが始まるまでは私たちが幸せの波を送っていますが、ショーの最後になるとお客さんの方から私たちに幸せを返してくれます。
――初演が1993年というとこで、今年で21年になりますが、その間、『スノーショー』はどのように進化されていったのでしょうか?
スラバ:1993年当時にこれを観た人は、全然違うと思われるでしょう。当時は道化がふたり出てきて、基本的にはふたりの人間関係を繊細に描き、その関係がだんだん大きくなって、いろんな人が巻き込まれて膨らんでいくという、そういう感じのショーでした。最初に作ったのは黄色の人物と緑色の人物で、黄色の人物から黄色い友達が出てきて、対抗するかのように緑の人物からも緑の友人が増えて、それがあまりにも増えて、客席も黄色と緑だらけになって、誰がお客さんで誰が出演者か分からなくなるという、そういう氾濫した状態でした。それを作ったときにロンドンから最高の演劇賞をいただきました。それから毎年、メキシコとか、オーストラリアからいろんなショーをいただくようになりました。
――スラバさんは、道化に対して革命を起こすという意味も込めて『スノーショー』を始められました。そうして、いろんな国で演劇賞を受賞されて、そのことについてはどのように受け止めていらっしゃいますか?
スラバ:世界の国でいろいろな評価をいただいたことは、“これでよかったんだな”という自信にもなりますし、勇気を持ってもっと思い切ったことができると思っています。ファンタジーの世界の表現も、どんどんやっていきたいなという励ましになりますね。
――パントマイムで人間の喜怒哀楽を表現されますが、国によってその受け止め方は違いますか?
スラバ:そうですね。国によって演出を変えています。イギリスでは抑えるというか、余分な動きがないような、ミニマムな形にしています。スペインでは暴れ回ります。いろんなものを壊したりとか、抱き合ったりとか、いろんなことをやります。その国の人たちが理解しやすいよう、参加しやすいようにと心がけています。
――各国でそのような工夫をされて、どの国でもバッチリ成功ですか?
スラバ:はい(笑)。本当に不思議なのですが、このショーは絶対に失敗しないんです。それはおそらく、お客さんを愛しているからだと思います。愛をたくさん送れば、その分戻ってくるのだと思います。
――日本は初演ですが、どのような見せ方をお考えですか?
スラバ:いろいろと頭で考えることはありますが、一番大事なのはその日出会うお客様の状態がどうなのかということです。でもそれは頭で考えることではなく、舞台に出て、一歩踏み出して初めてわかるので、舞台に出るしかありません。いつも、そうやってやるのですけど、三歩ぐらい踏み出したときに「あ、これ、すべったわ」というときがあるんです。そんなときは、残りの30分でいかに取り戻すかという必死の努力があります(笑)。すごく小さな人間になってみたり、ものすごく大きな人間になったり、走り回ったり……いろんなことをやって。もう手探り、必死で作っています。
――そうなんですね(笑)。では、スラバさんからご覧になった日本の印象を聞かせてください。
スラバ:世界にいくつか大好きな国がありますが、日本もその一つです。
――たとえばどういうところがお好きなんですか?
スラバ:たくさんあります。すごく小さなことに対して注意を払うところ。優しいところ--言葉にするのは難しいのですが…。あと、私の家には日本に関する物がたくさんありますし、歌舞伎の色使いや動き方に非常にインスピレーションを受けています。日本庭園や造園、そういったものにも感化されていて、私の家には7つの庭がありますが、そこには日本庭園もあります。自然への接し方、行動、思いやり、配慮、そういった細やかなところは日本人のすばらしいところだと思います。私自身、“ちょっと日本人なのかな?”という感じがしていますし、うちの息子も“自分は前世で日本人だったんじゃないか”というくらい日本に惚れこんでいて、半年に1回は日本を訪れています。奥さんと結婚したのも、奥さんの外見が日本人みたいだからです(笑)。
――なるほど(笑)。では最後に『スノーショー』を楽しみにされている日本の方々にメッセージをお願いします!
スラバ:私は一人ひとりのお客様と出会うために、『スノーショー』を上演し、『スノーショー』を人生で最大の祝祭と捉えています。カンパニーの人間たちも本当に息が合っていて、ハッピーなショーを作っているというひとつの思いがあり、非常にいい状態です。お客様一人ひとりと世界を分かち合うことは非常に嬉しいことなので、皆様とお会いできることを楽しみにしています。たくさんのことを伝えていけたらなと思っています。
(2014年8月15日更新)
Check
写真右が、スラバ・ポルニン。左がスラバ氏の息子のヴァーニャ・ポルニン。
SLAVA'S SNOWSHOW
スラバのスノーショー
発売中
Pコード:436-832
▼8月20日(水)18:30
▼8月21日(木)14:30/18:30
▼8月22日(金)14:30/18:30
▼8月23日(土)13:00/17:00
▼8月24日(日)13:00
シアターBRAVA!
S席-8000円
A席-6500円
※出演者は日程によって変更になる可能性があります。
[問]チケットよしもと予約問合せダイヤル
[TEL]0570-550-100
http://slavasnowshow.jp/