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和太鼓、和楽器、ロックダンス…未知なる掛け合わせで
新たなエンターテイメント・ショーを創出する関西発の
舞台「WARRIOR ver.1」がシアターBRAVA!に登場!

1998年、和太鼓奏者の飛鳥峯英により結成された倭太鼓飛龍。音楽性にプラスして演奏スタイルにもウェイトを置いているという彼らは、日本の様式美も取り入れ、360度どの角度から見ても絵になる太鼓の打ち方で老若男女を魅了する。また、“古い楽器を用い、新しい音楽を作る”というコンセプトのもと、数々のコンサートを開催してきた。そして、さらなる地平を目指して、ダンスや和楽器とのコラボレーションで魅せる舞台「WARRIOR ver.1」をシアターBRAVA!で開催する。
この舞台に参加するのは、飛龍のメンバーはもちろんのこと、尺八や篠笛など和楽器を用いてデジタルミュージックや洋楽の要素を取り入れたサウンドでオリジナル音楽を開拓している山口整萌と、エネルギッシュでダイナミックなダンスで数々のコンテストに出場、優勝している実力派ダンスチームのBUSTA JAKK BOOGIE。公演を前に、倭太鼓飛龍の主宰・飛鳥峯英と座長・堀江秀幸、山口整萌、BUSTA JAKK BOOGIEのリーダー、TAKE-Cが作品の魅力や見どころを語った。

――まずは、「WARRIOR ver.1」開催のきっかけを教えてください。

飛鳥峯英(以下、飛鳥):和太鼓を使ったスーパー・スペクタクル・エンターテイメントショーを作りたいなと思ってたんです。それは随分前から自分の中でもやもやとしていたことなんですけども。そのやりたいことを全部、紙に起こした時期があって、それが今回の「WARRIOR」の核になる部分です。ただ、1年、2年では準備できそうになかったので、まずはシンプルなところからスタートしたいなと思いました。

――見せる要素のこだわりは?

飛鳥:そのひとつが「絶対ダンスを入れたい」ということ。現代の歌舞伎を作りたいんです。斬新な色遣い、過激なパフォーマンス、日本の舞台芸術の原点であるものが、江戸時代にできあがった歌舞伎に集約されていると思うんですけど、それを現代の僕たちが音を作って踊る。最初、ダンスのことは不勉強で、ただ漠然と西洋のダンスを取り入れたいなと思っていたんです。そしていろいろと勉強していく中でロックダンスにぶちあたって、BUSTA JAKK BOOGIE(以下、BUSTA)さんと出会いました。
 
――ロックダンスと和太鼓に共通点は?
 
飛鳥:和太鼓の演奏において、動きよりも止まった形に重きを置いているんです。そういう意味で、ロックダンスも“LOCKする”、止まるということにテーマを置いている踊りなので、どんぴしゃやと思いました。BUSTAさんは海外のダンスをされていますが、僕はこれを日本人が踊るということで大きく日本舞踊と捉えているんです。新しい日本舞踊じゃないかなと。
 
――なるほど。そして山口さんとは?
 
飛鳥:そこに伝統楽器で作る新しい音楽を作りたいなと思ったとき、たまたま尺八奏者の山口整萌くんと出会うことができて、彼に一目ぼれしました(笑)。
 
--そうして役者がそろって、ver.1が始まるわけですが、今回はどのようなステージをお考えでしょうか?
 
飛鳥:今回は序章ですね。今回、ご縁があってサッカーブランドのWARRIORさんから衣裳提供していただくことになり、「WARRIOR」というタイトルにしたのですが、突き詰めていくとこれって景気のいい大阪弁なんですよね。「うぉーりゃー!」っていう(笑)。全然意図していなかったんですが、ある方に言われてまさにそうやなと。景気が悪い悪いと言われているこのご時勢ですが、すごく勢いのいいタイトルをつけることができたなと思いました。
 
--堀江さん、山口さん、TAKE-Cさんの意気込みを聞かせてください。
 
堀江秀幸(以下、堀江):今回の公演は挑戦ではありますが、観ていただいた人に衝撃を与えたい、楽しんでいただきたいという思いがメインにあります。太鼓が鳴っていて、踊っている人がいるという、そういう単純なものには絶対したくないんです。BUSTAさんも、整萌さんも同じ思いでやってくださっているので、お客さんが“聴いていいのか、観ていいのかわからへん”、“うわ~!!”ってなるような、そういう衝撃を与えたいな思って作っています。太鼓界にも、ダンス界にも、邦楽界にも、何かぐさっと爪あとを残して“何かもうわからへん、めっちゃおもしろかったな、かっこよかったな”というものを作れたらなと思っています。
 
山口整萌(以下、整萌):僕はもともとレゲエのDJをさせてもらっていて、本物の音楽をしたくてニューヨークに1年半ぐらい、単身で渡米しました。黒人の聖地といわれるブルックリンに住んで、そこから日本を見たときに黒人にしかない良さ、白人にしかない良さ、日本人にしかない良さに改めて気づいて。それから帰国して家元に弟子入りして「整萌」という名前をいただきました。そして日本の文化を学んだとき、海外の文化を学んだときと同じような感動や、日本人の持つ文化の力や深さを改めて再認識して。その深さを知らない若い子たちにも感動を与えられるんじゃないのかと思って活動を始めました。この「WARRIOR」も、日本を大事にしつつ、今までにないものを作り上げたいという思いが自分の音楽性とリンクしました。僕もその感性に一目惚れして、今回、お応えさせていただきました。誠心誠意、全力を込めてやりたいと思います。
 
TAKE-C:僕もストリートダンスの世界でロックダンスやっていて、コンテストやバトルに出て切磋琢磨するような世界でやってきたんですけど、お客さんとのコミュニケーションという部分で気づきがありまして。先日、単独ライブをしたのですが、常にお客さんを盛り上げて、自分たちがやってきたものをお客さんに観てもらって一緒に盛り上がるということを自分たちも体感して。飛龍さんともそういうところで意見が一致したというか、新しいものをお客さんに観てもらいたいという意識に今回、一緒にやらせてもらおうと思いました。その中で挑戦が和太鼓で踊ること。そのことを初めて聞いたときはものすごい衝撃を受けまして、最初はどうなるんだろうって思いました(笑)。でも僕らのシーンの中では、和太鼓で踊る人はいないんです。だからこそチャンスだとも思って。公演当日は、いろんなお客さんが来ると思いますが、ストリートダンスをやってるお客さんたちに衝撃を与えたいですし、和太鼓のお客さんたちにもストリートダンスの良さを伝えたいなと思います。衝撃的な始まりでも、“ありやな”ってなって、やがては当たり前になってほしいなと思います。がんばります。
 
--公演の構成など、どのようにお考えですか?
 
飛鳥:構成と和太鼓演奏の振り付けは私で、ダンスの振り付けはBUSTAさんにお願いしました。僕自身、和太鼓の演奏スタイルに踊りという意識はなかったんですが、BUSTAさんに最初に見てもらったとき「これはダンスですね」って言ってもらったんです。それで無意識にそうしてたんやなって思って。ロックダンスの動きと日本の古典舞踊で振り付けてきた動きが妙に合うんです。あと、誰でも覚えられるような簡単な振りを考えてます。当日、お客さんにも覚えてもらって一緒に踊ってもらおうかと。まず「日本の音っておもろいな」って思ってもらって、日本の音で踊る楽しさを感じてほしいですね。今、学校教育ではダンスを取れ入れているので、ダンスに対する意識も高いと思うんです。ただ、やったことのない方もいてはると思うので、ダンスに対して「おもろいからやってみようかな」って思ってもらえるよう、意識の拡大にもつながったら面白いと思います。
 
--整萌さんとTAKE-Cさんは、この初のコラボで新たに取り入れることや、何か挑戦はありますか?
 
整萌:尺八をしてるからって簡単に融合できるのかというとまたそうではないですよね。やっぱりそれに合う音色であったり、自分たちが放つ全体の空気感であったり。僕は、現地で黒人の音楽を学んで、そこでいろんなことを感じた尺八奏者だからこそ出せるものがあると思って。それが僕の一番の持ち味です。BUSTAさんのダンスも根本的な部分では共通するところがたくさんあると思うので、お互いに化学反応して、リンクさせて、自分たちなりのものを出せればなと思います。
 
TAKE-C:それぞれが今までやってきたものがクロスオーバーする瞬間にどうなるのか。今のところ未知数ですね(笑)。
 
--音楽では、整萌さんは尺八と篠笛、両方ともされるんですか? 
 
整萌:どちらもやります。曲のイメージによって使い分けます。
 
--楽器の構成は他にどのようなものがあるのでしょうか?
 
飛鳥:メロディ楽器では津軽三味線、尺八、篠笛、能管(横笛の一種)…。三味線は今まで生音に忠実に再現してきましたが、今回はかなり加工するんです。いわゆるエレキギターのエフェクターをつけて。
 
堀江:太鼓でも三味線でもそうなんですけど、海外の文化を真似するのと取り入れるのは全然違うと思うんです。たとえば三味線にエフェクターを取り入れるのは、一歩間違えると“それやったらエレキギターでええやん”ってなると思うんです。太鼓も並べて打ったりして、“それやったらドラムの方がええやん”って。僕の中では、ここのラインが重要で。なので、 “津軽三味線にこれを足してみたら、こんなことできたんやで”っていうことをやりたいですね。今回も、整萌さんの音楽が入って、BUSTAさんの踊りが入って、お互いにいい化学反応を起こして、本番中でもミックスアップされていったらなと思います。
 
整萌:飛龍という車体があって、整萌というタイヤがあって、BUSTAというバンパーがあったとして、自分だけ個性を出しすぎてタイヤだけ大きくしてもうまく走らないと思うんです。みんながしっかり進めるような大きさで、タイヤとしての性能、ホイールとしてのすばらしさを見せる。「LOCK」という意味でも、収まった中で個々の性能を高めて見せる。それが一番すばらしいものになると思うんです。“この音の中で尺八はこういう役割をすれば一番、音楽が生きる”、“この踊りが生きる”というポイントを見つけて全員でグルーヴアップして、ひとつのものを全員が奏でることができれば最高だと思います。
 
--BUSTAさんのダンスはどういったものを?
 
TAKE-C:ただルーティンやって、そろっていて、めちゃすごいなっていうものじゃなくて、そこから個をどこまで引き出せるかということをコンセプトでやってます。その相乗効果で一体感が生まれると思って、飛龍さんの作品もそういう気概で取り組んでいます。
 
--関西発信で。
 
飛鳥:そうですね、元々シアターBRAVA!さんにお世話になっていて、飛龍のベースのような意識でやらせてもらっているので、ぜひ関西発信で。まずバージョン1。今回、サブタイトルに「叩かずにはいられない 踊らずにはいられない」とつけたのですが、感極まったときに叩いてしまう。手やったり、隣の人やったり、足拍子やったり。そして踊ってしまうというすごく原始的なところに突っ込みたいなと思ってるんです。そのためにもまずバージョン1を固めて、今後、そこに肉付けするという意味でバージョン2、バージョン3ができればと思っています。



(2014年6月20日更新)


Check
写真左から山口整萌、BUSTA JAKK BOOGIEリーダーTAKE-C、倭太鼓飛龍主宰・飛鳥峯英、座長・堀江秀幸

倭太鼓飛龍「WARRIOR ver.1」

発売中

Pコード:228-398

▼6月22日(日) 17:30

シアターBRAVA!

全席指定-5400円

[出演]倭太鼓飛龍/山口整萌/BUSTA JAKK BOOGIE

※未就学児童は入場不可。小学生以上は有料。

[問]
GREENS[TEL]06-6882-1224
シアターBRAVA![TEL]06-6946-2260

和太鼓飛龍公式サイト
http://www.wadaiko-hiryu.jp/

シアターBRAVA!特設サイト
http://theaterbrava.com/play/201406hiryu.shtml#brava

チケット情報はこちら

●プロフィール

倭太鼓飛龍(わだいこ ひりゅう)
1998年、和太鼓奏者の飛鳥峯英により結成。和太鼓を使い、最も新しい音楽を創ることを目指す。日本独自の様式美に加え、峯英の作るパフォーマンス性、アート性に優れたドラマティックな楽曲で従来の和太鼓音楽の域を超えた活動に挑戦し続けている。世界陸上大阪大会での閉会式演奏や、JAL音舞台シリーズ「唐招提寺音舞台」への出演、そして、「一打祭」を代表とする総勢100人を超える作品で特に高い評価を受けている。様々なジャンルのアーティストとの共演、アルバム「飛龍」をはじめ、数々のライブDVDを発表し、時代劇映画「蠢動-しゅんどう-」では映画音楽を担当した。また、海外公演では連日スタンディングオベーションを巻き起こすなど、国内外で幅広い活動をおこなっている。

BUSTA JAKK BOOGIE(バスタ ジャック ブギー)
「OSAKA DANCE DELIGHT2」連覇、「JAPAN DANCE DELIGHT FINALIST」、「OLD SCHOOL NIGHT」優勝など輝かしい成績を納める関西発のLOCKING CREW。リーダーのTAKE-Cを筆頭に、エネルギッシュなダンスとダイナミックなアクロバット、パッション溢れるダンスで見る者を魅了する。

山口整萌(やまぐちせいも)
学生の頃よりギターを始め、DJを経験。その後、単身でニューヨークに渡る。 様々なジャンルの音楽や アート、人種や考え方に触れるうちに日本人の持つ独特の文化や感受性の高さ、奥深さに改めて 気付き、自らのオリジナリティーを求め帰国。その後、和楽の門を叩く。そして家元より尺八、篠笛を伝授され「整萌(せいも)」の名を授かる。2011年からソロとしての活動を開始し、従来のアコースティックなサウンドにとどまらず、デジタルミュージックの要素も取り入れ、新しくもどこか懐かしく感じさせる斬新なスタイルで全国のライブハウスやクラブに出演。またフランスのビックフェス「Art Rock2011」や「FIFA women’s world cup events」にも出演するなど、海外での活動も展開し、高い評価を得ている。