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オモシロ企画が目白押し! 
ヨーロッパ企画のエンタメフェス「ハイタウン」が
2年ぶりに開催! GW後半は京都・木屋町へ!

人気劇団・ヨーロッパ企画による、オモシロ企画満載のフェス「ハイタウン」が2年ぶりに開催! 今回は、ゴールデンウィーク後半の5月3日(土)~6日(火)の4日間、京都・木屋町の元・立誠小学校にて行われる。京都在住の演出家6人によるコメディショーケース「コメディ実験室」をはじめ、上田誠によるミドルスケールのコメディを上演する「コメディホール」、特別ゲストを招いての日替わりのスペシャルイベント、映画上映など、練りに練られた多彩な企画が小学校内のあちらこちらで展開! 開催を前に、フェスの舵を取る劇団主宰・上田誠に見どころや楽しみ方を訊いた。

――「ハイタウン」の、元々のコンセプトから教えていただけますか。
 
上田:今まで僕らは演劇のフェスティバルとかショーケースに誘っていただいて、そこでいろんな人に出会ったり、新しいお客さんに出会って育てていただいたという想いがすごくあるんです。で、僕らもそういう場を自分たちで作れたらいいなと思ったのが始まりですね。公演を作るというよりも、いろんな人が出会える場を作るということがやりたかったんですよ。あと、お祭好きというのもありますね。ツアーで各地を周る本公演も、僕らにとっては大きな祭なんですけど、一つの場所でたくさん人が集まるということをしたくて。で、最初は“ヨーロッパエキスポ”というタイトルを考えたんですけど、もう少しヨーロッパ企画感を減らしてオープンな祭にするために「ハイタウン」というタイトルにしたんです。内容でこだわっているのは、“エンタテインメント”ですね。アート的な目線でプロデュースされているフェスティバルはほかにありますし、せっかくお笑いに馴染みのある土地でやるので、エンタテインメントという軸は崩さずにやりたいと思っています。

――そうすることで間口も広がるし、ライトに楽しんでもらえる気もしますね。
 
上田:そうですね。お客さんのところにきっちりと着地するというか。もちろん、作り手が楽しむところからやっていますが、作り手よがりのものではなくて、お客さんがちゃんと楽しめるものにしないと、という気持ちはありますね。

――2012年の「ハイタウン」で、劇団にとってプラスになったことはどんなことがありますか?
 
上田:やっぱり“出会い”ですね。京都のご近所劇団さんと知り合えたというか。普段、意外と劇団の中で完結してしまうので、あまり役者同士、演出家同士って接する機会がないんですよね。なので、新しい人たちと出会えて、その後一緒に仕事をするようになったことが一番大きいですね。
 
――前回も盛りだくさんな内容だったと思うんですが、今回さらにボリュームアップしているような感じですね。
 
上田:前回より期間が短くなった分、1日の企画数が増えた感じで。音楽フェスでも演劇フェスでもそうなんですけど、目当てのアーティストや劇団のほかに、たまたま時間が空いてほかのを観たら、すごく良かった!ということって、よくあると思うんですよ。偶発的な出会いというか。あと、いろんなお客さんとか出演者同士がたまたま廊下ですれ違うようなことが起こればいいな、となんとなく思っていて。そういう、ひと所に集まって同時並行的にやる面白味を前回すごく感じたんですよね。
 
――このフェスの軸となる企画「コメディ実験室」は、いろんな劇団の演出家やダンサーの方が作・演出を手掛けますね。内容は“ホラーコメディ”や“御挨拶コメディ”などさまざまですが、各作演の方と相談して決めるんですか?
 
上田:一応、キャスティングが被らないように調整したりはしましたね。内容は自由に決めてもらっています。僕はただみんなを煽るだけ(笑)。例えば、みんなでやる会議でAプログラムの人が話したときに、“Aすごく面白そうですけど、Bは大丈夫ですか?”とか、“あそこ面白いらしいよ~”みたいな、煽る作業です(笑)。
 
――上田さんは「コメディホール」で、約1時間のコメディを上演されるんですよね。その作品は15 年前に観て衝撃を受けた作品とのことですが、なぜ今回やろうと思ったんですか?
 
上田:今年は映像やお芝居で、自分の脚本で演出したものを発表できる機会に恵まれたんです。それはとても有難いことなんですけど、そうなると、別のこともやってみたいという気持ちが生まれてきて。それに、今年はヨーロッパ企画で動くことが多かったので、なるべくほかの劇団の方々とやってみたいなとも思ったんですよね。8月には本公演も控えているので、ちょっとこのあたりで、今後の自分の糧になるような作品をやりたいな、と。あと、この作品っていい意味でくだらない劇で、ルパンとか次元が出てきて、ごっこ遊びをするような場面があるんですよ(笑)。それって演劇の基本的な衝動なんですよね。そんな作品をやれる場所って滅多にないので、演劇部の部活ノリでやれるメンバーを集めて、作ってみました。
 
――どういうところに衝撃を受けたんですか?
 
上田:お芝居としてすごく面白かったんですよね。巨大な象の死体をめぐるお話なんですけど、“この死体どうしようか?”って話をしているうちに、いろんな方に話が散っていくっていうもので。まずその“画”がすごく劇的だなと思ったんですよね。僕は当時からヨーロッパ企画でストーリーとかプロット重視のお芝居を書いていたんですが、役者の身体でシーンをどんどん作って展開していく様を見て、演劇ってこんな力があるんだということを、まざまざと見せつけられたんです。例えば、帽子を被ったらパッと次元に変身するというようなことって、自分たちではあまりやる機会がなくて。自分たちの芸風とは違うところでの衝撃があったというか。
 
――では今回の作品は、上田さんにとってチャレンジでもあるんですね。
 
上田:チャレンジもそうですし、ノスタルジーな気分もあって。僕ら、本公演も割と未踏の領域にチャレンジしていて、“これって本当に公演が成立するのかな”っていうギリギリ感の中で新しいものを作って見せるんですね。一方で、再演とか自分たちの得意なこととか、経験して分かっていることを楽しみながら作って、お客さんに満足度を持って観てもらうと、より楽しいんじゃないかなっていう想いがあって。それで、本公演とは別で、自分の作品をどこかで再演できたらなということを考えていた時期があったんですよ。今回は自分ではやったことがない作品ではあるんですが、“きっとこのメンバーでこの台本をやると絶対面白くなるだろうな”という確信のあることを、楽しんでやっています。と、言いつつも、実際やってみると意外と大変で(笑)。
 
――そうなんですか(笑)。どういうところが大変ですか?
 
上田:プロレスのシーンとか、ルパンのモノマネを延々とやるシーンがあるんですよ(笑)。役者が勇気を持たないとできないような。照れなくやらないと逆に怪我するみたいな(笑)。でもすごく楽しんで、このタイミングで演劇部っぽいことをやってて。特に、僕や本多君、中山(祐一朗)さんとか、なんとなくそういう“楽しくお芝居やろうよ”っていう気持ちでやっている感じですね。
 
――初心に帰るというような?
 
上田:まさにそんな感じですね。僕が作品を多く発表できないときなら、“この機会に新作を!”という気持ちになるんですけど、今は割といろんな仕事をいただいている状況もあるので。
 
――15年前に観たものだけど、ずっと印象に残っていたんですね。
 
上田:そうですね。読み返してもやっぱり面白くて、いろんなことがいろんな時空で繋がっていくような。僕らは好きな作品があっても、既成の脚本をやらせていただく機会があまりないので、今回すごく楽しんでやっていますね。
 
――ほかにも面白そうな企画がたくさんあるので、時間が限られている人や、迷われる人もいるかもしれませんよね。そんな人たちのために、特にオススメしたいものを挙げるとしたらどの企画ですか?
 
上田:2階は基本的にずっとお店をしているので、時間があるときにのぞいていただけたらと思うんですが、演目で言うとやっぱり「コメディ実験室」ですね。もしお時間がなくて、“これだけしか無理!”という場合は、ぜひAかBをご覧いただけたらと思います。京都で頑張っている3人の若手演出家さんの作品を、一度に観られるのは面白いと思います。
 
――今回、イエティの大歳さん以外は、ほかの劇団やユニットの方が作・演をされているんですね。
 
上田:そうですね。でも、全作品にヨーロッパ企画の役者が出演しているので、演出家の人たちには自分の世界を発揮してもらえたらと思いますね。うちのメンバーはエンタテインメントに着地させることを続けてきた人たちなので、その中で、どう立ちまわっていくか、楽しんでいただければ。
 
――『水曜どうでしょう』の藤村忠寿さん、嬉野雅道さんとのトークショー(5/3(土・祝)18:00~)など、スペシャルイベントも盛りだくさんですね。
上田:そうなんです。もちろん、イベントとして面白いトークになるように構成はするんですが、それよりも、お二人に京都でいろんな企画を観ていただいたり、ほかの出演者たちがこのトークを観て刺激を受けたり、そういうことが起こればいいなという希望もあるんですよね。4日は男肉 du Soleil団長の生誕祭(5/4(日・祝)18:00~)をするんですけど、これ、本当は人に見せちゃいけないイベントなんですよね (笑)。
 
――見せちゃいけない(笑)。
 
上田:雰囲気的には内輪のものですからね(笑)。“誕生日”という名目でもないと、こんな芸やったらあかんやろっていう。自分たちの中では面白くて盛り上がってるけど、お客さんに見せる芸風ではないから、普段なら絶対やらないことを、この日は団長のためにやっちゃう。“まかない”みたいなものとして楽しんでいただければ (笑)。
 
――あと、5日の「企画ナイト」(5/5(月・祝)18:00~)にも素敵なゲストが。
 
上田:これは前回もやった企画で、僕が笑いの師匠とあおいでいるせきしろさんとバッファロー吾郎A先生に出ていただきます。額に汗かくイベントなんですけど(笑)。
 
――大喜利みたいな感じですよね。
上田:3人で協力プレーする大喜利ですね。3人とも作家なので、どこまで発想を飛ばせていけるかがカギですね。イベントとしては9回目なんですが、関西は前回の「ハイタウン」でやって以来です。あと、6日は『キングオブコント2013』で優勝したかもめんたるさんが来て下さるんです(5/6(火・祝)15:30~)。どちらも、関西で観られる貴重な機会だと思うので、ぜひ楽しんでいただきたいですね。
 
――本当にどの日も魅力的ですね。皆さん、目的とするものを観つつ、新たな発見、出会いを楽しんでほしいですね。
 
上田:そうですね、お客さんも僕たちも、たくさん新しい出会いがあればいいですね!」
 
取材・文:黒石悦子



(2014年5月 1日更新)


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ヨーロッパ企画presentsハイタウン2014

▼5月3日(土)~6日(火)
元・立誠小学校(京都)

コメディ実験室 「Aプログラム」
5月3日(土・祝)12:00/16:00
5月4日(日・祝)14:00
5月5日(月・祝)12:00/16:00
5月6日(火・祝)14:00
音楽室
自由席-2000円
当日券(自由席)-2500円
[作・演出]大歳倫弘(イエティ)/合田団地(努力クラブ)/村角太洋(THE ROB CARLTON)
[出演]酒井善史/諏訪雅/土佐和成/西村直子/他

コメディ実験室 「Bプログラム」
5月3日(土・祝)14:00
5月4日(日・祝)12:00/16:00
5月5日(月・祝)14:00
5月6日(火・祝)12:00/16:00
音楽室
自由席-2000円
当日券(自由席)-2500円
[作・演出・振付]池浦さだ夢(男肉 du Soleil)/きたまり(KIKIKIKIKIKI)/村上慎太郎(夕暮れ社 弱男ユニット)
[出演]石田剛太/角田貴志/中川晴樹/永野宗典/他

コメディホール「象の鼻はなぜ長い?」
5月3日(土・祝)12:00/15:30
5月4日(日・祝)12:00/15:30
5月5日(月・祝)12:00/15:30
講堂
自由席-2000円
当日券(自由席)-2500円
[脚本]田中遊(正直者の会)
[脚色・演出]上田誠(ヨーロッパ企画)
[出演]本多力/他

※開場・開演時間は変更の場合あり。
問サウンドクリエーター◆06-6357-4400

その他の公演等、詳細は公式サイトで!
http://www.europe-kikaku.com/projects/hi-town2014